警報の鳴る楽園
朝起きたらラインが来ていた。荒北さんからの呼び出しだった。
操作しなかったせいで暗転したスマホの画面を見つめたまま、スマホを握った指は力の入れすぎで白くなっていた。

一昨日のことを思い出す。そして、そっと首筋に貼られた絆創膏に触れた。
正直言うと、ものすごく行きたくない。だけど相談できる相手なんていないし、本人に直接言う度胸も持ち合わせていなかった。
部活の時間になっても結局何も変わらないまま、丸一日何も手につかなかった。ドリンクの補充をしている今も、背後で黒田くんと葦木場くんが私の不調を囁いているのがわかる。それでもマネージャーとしてするべきことは山ほどある。大量のボトルをそろそろ外周を終えて戻ってくるであろうレギュラー陣の元へ運ばなければ。

「お疲れ様です」
「ん、アンガトネェ」

荒北さんの顔は見られなかった。私の中で渦巻くこの感情の名前を決められないまま、荒北さんの瞳を見ることはとても恐ろしいことのように感じた。取って喰われそう。言葉にするとそんな感じ。

結局、部活が終わるまで私は荒北さんを視界に入れないように努めた。
…これじゃあ無理だ。二人っきりで話なんてできない。ましてあんな事

皆が部室からいなくなる前に私も帰ってしまおう。帰ってからラインで謝ろう。そう決めて部活終了のミーティングを聞いた。

「じゃあ、今日の日誌はミョウジだな」

サッと脳が冷たくなった。新開さんのやさしい声が、耳元でわなないて脳まで響かない。新開さんの斜め後ろ離れたところで、荒北さんがじっと私を見ている。無意識に締まっていたノドを、無理やりつばを飲んで開く。

「…今日、私でしたっけ」
「平田が今日休んだから、おめさんに繰り上げになったんだ。早く帰らなきゃならない事情でもあったか?」
「いえ…」

どんどん部室から人が減っていく。私はもうどうしようもなく焦ってしまい、思わず新開さんのジャージを掴んだ。

「…どうした?ミョウジさん、やっぱり今日具合良くないのか?」
「……新開ィ」

新開さんのすぐ後ろに、怖い表情の荒北さんがいる。
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