from Mayhem :05






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      セラフより警告>>戦闘を強制終了しました。
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戦う前は思いもしなかった。まさか、こうやって英雄王と共に静かに棒立ちしていようとは。

――暴風…竜巻の中に居た。潮の匂いを伴って、『嵐の夜(ワイルドハント)』がやってきた。絶対防壁で仕切られた後(いま)は、それこそ嵐の後の静けさの中に居る。



「…成程、フランシス・ドレークで確定だ」



相手には逃げられてしまったが――否、幸い逃げてくれたが敵サーヴァントの正体は判明した。ワイルドハントの首領はオーディン、ヘルラ、エドリック…そしてアーサー王とフランシス・ドレーク。



「服びしょびしょ…王様、帰りましょうか?」
「──…少し懐かしい匂いがしたな」
「懐かしい?」



潮の香りだろうか。
塩水を司る、ティアマトか…?何だろうと考えながらギルガメッシュの表情を見る。その表情はどこか愛しげでもあり、何に想いを馳せているのだろうか。



「まさか、斯様な賊徒からあの娘の面影を一瞬でも感じようとはな」
「娘?お子さんがいらっしゃったんですか?」
「…我に娘はおらぬ」



娘いないんだ。王様なら子供が何十人もいてもいい気がするけど。それにしてもその娘じゃないならどの娘――いや、プライベートだ。無闇に踏み込むのはやめておこう。

それよりも、『嵐(ワルプルギス)の夜』をどう攻略すべきか。初めに霧が。次第に風が吹き始め、雨が降り始めた。今回は大嵐が来たところで強制終了されてしまったが、最後に大勢の男達の唸りのような響きが微かに聞こえてきていた。



「その上、あの男すら髣髴とさせるとは。存外比興な女だ」
「楽しそうで何よりです」



詰まらなそうにしているより、楽しそうな方がいい。常識的に考えて。準備運動にもならなかっただろうが一応はひと戦闘終えた後でもあるので、続いて当初の目的を果たすのか、それとも帰って休むのかその判断をギルガメッシュに委ねるよう、じっと待つ。

英霊『フランシス・ドレーク』。確かにあれ程の英霊が憑いたとあれば、間桐も有頂天になって当然だ。私だって楽しくなってしまうだろう。宵越しの銭は持たない刹那主義、享楽主義の豪傑。しかも巨乳、姉御肌。そりゃ、誰だって惹かれてホイホイ付いていくだろう。私だってついていきたいところだが…度胸もなく小心者なので、やっぱり憧れるだけに留めおきたい。私は花火にはなれない。



「何を笑っている」
「いえ?羨ましいようなサーヴァントだなと思って」
「…何?」
「だって、あのフランシス・ドレークですよ?凄いなあ」
「マキナ…貴様、自分が何を言っているのかわかっておろうな?」



しまった。うっかり鼻の下を伸ばして失言を…



「べ、別にギルガメッシュと比べてるワケじゃないですよ…!だって彼女も名だたる英雄ですから…!カッコイイものはカッコイイじゃないですか」
「他でもないこの我がお前のサーヴァントだというのに、雑種の分際で強欲に過ぎよう…!」
「王様が不満とかじゃなくて…!」



いや、最初は真面目に不満だったけど



「王様は至高の存在です。でも、何も素晴らしいのは至高のものだけじゃない。この世界には素晴らしいものがたくさんあるじゃないですか英雄王は英雄王で当然素晴らしいけど、彼女も彼女で素晴らしいから…」



やばい、言い訳が止まらない。どこで止めていいかわからない。誰か私をトメテクレ!
テンパっていると、また何故か顎を指で捕まれて先ほどの続きのように上を…英雄王の顔を直視させられる。



「器の小さい者程欲深いものよな?」
「…私とウルクの王は………文化が 違います。私にとって、欲しがることは賞賛することと同義…です…から……」



一体いつまで見させられるんだ。限界だ。もう直視できない。それに何より、この真っ赤な茹で蛸のような顔をまじまじ見られることが耐えられない。もうなんでもいいや。どう思われようが怒られようがいい。恥ずかしすぎて死にたい。



「畜生、爆発しろこのヤロー!」



拘束を振り切って泣きながら走り出した。外でも羞恥地獄、自分の部屋でも羞恥地獄。
おかしい。こんな聖杯戦争おかしい。




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