moving mountains :05


はっとして顔を上げ、声の元を辿る。
通路の奥から、ギルガメッシュが現れたのだった。


「我が貴様と契約してやろう。」
「は?」


目前までやって着たギルガメッシュとマキナの間に暫しの沈黙が流れる。


「…………………は?」
「耳が遠くなったか?ここは至上の喜びと咽び泣くところだぞ?」
「いやいや……契約することで、双方に何のメリットが?」
「貴様は我という最強のサーヴァントを手に入れ、我は暇潰しの玩具を手に入れる」
「いや…今の私に、貴方に遊ばれてるヒマはないんで…そもそも、貴方にセイバーができるんですか―――」


自分で言っておいて、動きが止まるマキナ。
脳裏に浮かんだのは、乖離剣(エア)や終末剣(エンキ)、原罪(メロダック)を振るう姿。その姿は妙に格好よくて―――…


「で、できるかもしれないですけど…!!」
「…素直に契約に応じて我の雑種(マスター)となるがいい。」
「…………」


令呪の刻まれた左手を強引に掴まれ、引き寄せるようにして引っ張られる。お陰でマキナの足先が地面についたりつかなかったりと非常に不安定な状態になってしまった。


「我は言峰と違って、悠長には待たんぞ。この機を逃せば次はないと思え。」
「えっ、は…!?」
「他なサーヴァントの宛てでもあるか?だが、果たしてそれが貴様の思惑通りに動く保証はあるのか」
「………………」
「我も貴様の思惑通りには動かぬと?その通りだ、貴様の命令など訊く気は毛頭ない。だが―――…貴様の言葉どおりならば、貴様は我をよく知るのだろう?役立つとも知れぬ馬の骨を召喚するより、余程懸命な選択と思うがな。」


急な展開についていけない…!
“ギルガメッシュ”にこんな無理難題を迫られるのは久しぶりだ。もしや言峰と結託した上での企みがあるのか…?だがマキナは、この目茶苦茶なマイナス・プラス話法に納得しそうになっていた。確かにギルガメッシュの宝具についても性格も知り尽くしているし、一理はあるのだ。


「さあ、どうする道化―――」
「私は……」


恐らく、その会話はすぐ後ろの部屋に居た言峰に筒抜けだったのだろう。マキナが応えに窮していると、扉が開き、言峰が割って入ったのだった。


「勝手に話を進めてくれるな、ギルガメッシュ。仮にも私が今のお前の契約者(マスター)なのだからな。お前がマキナを新たな契約者とするならば、私にも話を通すのが筋だろう?」


どうやらギルガメッシュの行動は独断によるものだったらしい。しかし言峰は、矢張りというべきか…この事態を想定していたかのように―――また、あの陰鬱そうな笑みを浮かべていたのだった。これはもう、事前の話し合いなどがなくても、結託していたようなものだ。罠に嵌められている気がする。


「……で?お前はどうしたいのだ、間久部マキナ。ギルガメッシュとの契約を望むか?」
「…………………」
「ギルガメッシュを譲渡するとなれば、こちらにも条件がある」
「………一応、条件だけ聞いておきます」


どうせこれもまた無理難題な条件なのだろう。寧ろその方が、揺れ動いている心が“契約しない”方向に偏るからいい。マキナはぶらぶらと不安定な状態のまま、言峰の言葉を待つ。


「この地域には、穂群原学園という高等学校があるのだが…今回の聖杯戦争に関わるであろうマスターやマスター候補の者が多くいるようだ。穂群原学園に潜入し、その場においては監督役の代行として彼らの監視を頼みたい」


どれほど外道で非道な条件かと思いきや、意外な提示内容に虚を突かれる。きょとんとしたマキナの顔を見て、言峰は一層笑いを滲ませた。


「どんな条件だと思っていた?悪くない筈だぞ。何せ君自身、相手のマスターやサーヴァントを知る切欠ができるのだからな」


なんだ―――?
結局は、言峰も契約させたいのか?
……物凄く、そして今すぐ組織に電話をしたいのだが…ギルガメッシュは今この場で決めろと迫っている。

……………。
最悪の場合は、クーリングオフとかしてしまおう。
かくなるうえは、戦争(ころしあい)だ。


「……わかりました!契約します。けど―――私はそう簡単に玩具になりません!並居る英霊を打ち倒して、聖杯を勝ち取った私を甘く見ないでください!それに令呪だって3つありますから、好きにはさせません」


そう堂々と宣言すると共に、掴まれていた腕が放される。


「ふっ――――見物だな。」


目を蛇のように細めて嗤うギルガメッシュを睨み返す。この暴君め。慢心しているのはわかっているから、いつでも不意をついてやる。あのシャーウッドの義賊(アーチャー)のように。あの、太陽を落とした豪傑(ライダー)のように。そういった心構えだ。


「となれば、私との取引も成立だな。早速準備させてもらおう」


満足げに哂った言峰は、改めて自室へと戻っていく。言峰は言峰で所属している聖堂教会の力を使っての工作を始めるのだろう。

また二人きり残されたマキナは、威嚇でもするかのようにしてギルガメッシュを見据える。しかし逆に余裕の表情を浮かべたままのギルガメッシュは、再度マキナの令呪宿る左手を奪い、今度は自身の口元へと運ぶ。吐息が掛かり、くすぐったいと感じた次には軽く歯を立てられる。


「十年越しだが、これで貴様は我の道化(モノ)だ。」


―――…?
第四次聖杯戦争の時に、何かそんな話をジェスターとしていたのか?十年前にも自分を玩具にしようと試みたものの、ジェスターは完全に岸波白野のマスターだったから、叶わなかったと。そんなところだろうか―――?

全く、幾ら面白い便利宝具を持っているからといって、見くびらないで欲しいものだ。


「間久部マキナ、貴様を我のマスターとして認めてやる。その全身全霊を我に捧げるがいい!」


そう、マキナの左手の血流が止まる程に強く握り締めると同時、左手の令呪が赤い閃光を放つ。

―――そこまでは、普通の儀式だっ
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