from Mayhem(Reboot):02


間久部マキナは今、豪奢なマイルームの中で
落ち着かないブレイクタイムを過ごしている。


「………………。」


なんというか、赤い。
そしてどこまでも、黄金。
最初はムーンセルのデータベースを検索しつつ、
金ピカの要望に沿うような内装に調整していたのだが…

まさかこんな形でギルガメッシュの宝具にお目にかかろうとは
思いもしなかった。

“王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)”―――

世界中の財を集めたという彼の逸話を顕した宝具らしく
ココには彼が蒐集したあらゆる財宝が収められているらしい。
空間に黄金の歪みが現われたかと思えば、そこから出現したのは
玉座、壁一面を覆う壁掛け(イカット)、見たこともない獣の皮の絨毯、数々の調度品。
なんて引越しに便利そうな宝具だろう…。
そしてこの宝具、果たして戦闘に役立つのだろうか…。
一抹の不安を抱きつつも、取り敢えず熱いニルギリを啜る。
キッチン横のスチール椅子に座り、足をぷらぷらさせて思索に耽る。

金ピカ王に朝餉も食べてもらったことだし
そろそろ言峰神父のところにでも行かなければ。
ダイニング的なスペースにいる金ピカ王を、ちらりと見遣る。

彼はどっしりと構えたまま……………動く気配が無い。
ここに置いて行動しちゃってもいいかな…。

無言で出て行ってもいいだろうか。
一声かけたほうがいいだろうか。
結局よくわからないこの微妙な関係性。
というか本音を言えば話しかけたくない(薮蛇になりそうで)。
話したくない(自分がわからなくなる)。

まだ時間は午前の10時だというのに、ここまですっかり疲れてしまった。


「道化。」


そうこう迷っているうちに 逆に向こうの方が声をかけてきたので吃驚する。
思わず無意識に背筋を伸ばしてしまった。


「は、はい?」
「貴様、この後はどうするつもりだ?我と契約でもするか?」
「……………。」


そういえば、契約はマイルームに行ってから…とか言ってたっけ。
でも、嫌だな。面倒の塊みたいなヒトだし
なんか宝具も微妙だし…。
とはいえ、向こうから口火を切ってくれたのはある意味助かった。
よし、契約はしないけど外に出よう。


「言峰神父に話を聞きに行きます。けど
 ギルガメッシュはここにいてくれていいですよ」


聖杯戦争のルールを聴きに行く。
まさか、そんな退屈なミッション・ブリーフィングを聞きたがらないだろう。
その鎧も重そうだし、歩くの大変そうだし。
ギルガメッシュから離れて一人きりになる良い口実だ。
彼との契約をどうするかも、探索しながらゆっくり考えよう。
――なんて考えていると。


「お前をあの二癖も三癖もある男と一人で会わせるわけにはいかん。
 我もついていってやろう。感謝しろよ?道化」


……………意外と乗り気だ。
というか、その言峰神父と知り合いなのだろうか?もしや。
しかし、監督役の上級AIが二癖も三癖もあるってどういう…
信用できるのだろうか、そんな監督役。

本当は一人で探索したかったが、断るのも面倒そうだし
不本意ながらも同行してもらうこととなった。

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to the NEXT...



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