*前半ブン太視点、後半宍戸視点。

たぶん、ジロ君は俺のことが好きだ。
もちろんテニスの事もあるけど、距離が近くなった今はもっと別の…ぶっちゃけちゃえば恋愛的な意味で。
それに気付いてしまってから、俺はどう接していいのかわからずになんだか一人でギクシャクしている。

それでもジロ君は相変わらずだ。
俺がジロ君の気持ちに気付いているのをおそらく知らないんだろう。
今日も天真爛漫な彼は実に無防備で、こっちが戸惑ってしまう。
これ美味しいよ!と差し出された缶ジュースを見て「間接キス」という単語が浮かぶ。
ほんっと俺ってば情けない。
これじゃまるで俺の方がジロ君を好きみたいだ。



「丸井君さぁ、たぶん俺のこと好きだよ」

本人はまだ自覚してないみたいけど、とポッキーをくわえながらジローが呟く。
自意識過剰なんじゃねぇの?とジローの手に持ったポッキーを頂戴しながら、岳人が横やりを入れた。

「自過剰じゃないC〜。だってさぁ、昨日も俺が飲みかけのジュース渡した時に、明らかに動揺してたもん。意識してる証拠だよねー」

頑張って平静を装う丸井君可愛かったなー、なんて無邪気に笑うが、内面を知り尽くしてる俺たちにはちっとも無邪気には思えない。

「お前、ホンット性格悪ぃな…」

「分かっててわざとやってんだろ」

丸井がジローの好意に気付いてるのを知ってる上で、あえてこういう行動に出てる。計算してる。
なんでこいつが人畜無害みたいな扱いなのか、未だに理解できねぇ。
まぁ、いたずらに気持ちを弄んでいる訳ではなく、こいつがずっと前から丸井の事を好きだったのは嫌と言うほど知ってるから。
結局は応援してしまう俺も岳人も激ダサだけど、こういうくさい青春も嫌いじゃない。



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