どうも腑に落ちない事に、俺は裕次郎には勝てないらしい。
身長は、認めたくないけどあいつのが“ちょっとだけ”高い。
テニスだって、いい加減だが腐っても副部長。本気だせば強いのは十分分かってる。武術含め、な。
足の大きさだって、悔しいけど裕次郎の靴は俺にはちょっと大きかった。
まぁ学力に関しては、当然俺のが上なわけだけど、正直低レベルすぎる戦いなので比較対象からは除外する。
なんとか勝てるものはないものかと考えあぐねていたそんな俺が、ついに見つけた答え。
「で、手の大きさ比べ?」
「やさ。さっきクラスの女子に『平古場くんって結構手大きいね』って言われたんばぁよ」
確かに、指は長い方だし平均より大きめかもしれない。
これだ!と思いふらふらしている裕次郎を屋上で捕獲し、さっそく手を合わせてみた訳だ。
なのに、
「……なんで同じなんだよ」
「そんな事、わんに言われても……」
やっぱりどうやったって裕次郎には勝てない。
落胆している俺に裕次郎は「ふらー」と笑って言った。
「心配せんでも、わんは結局一生凛に勝てないさー」
「?ぬーがよ?」
「なんちゃらの弱み、ってやつ」
「……ふらー」
それを言ったらこっちだって、一生勝てないっつーの。