「いい加減起きなさい、二人とも」
頬をペチペチと叩かれた平古場が覚醒すると、視界に入ってきたのは呆れ顔の木手だった。
「あい?永四郎……?」
「今日は昼休みにレギュラーでミーティングするって言ったでしょ?なかなか来ないと思ったらこんな所で呑気に寝てるし」
どうやら昼になっても部室に現れない二人を、屋上まで探しに来たようだ。
木手の後ろには、苦笑している他のメンバーもいた。
「ついでに、校内でイチャつくのやめなさいよ。一瞬目のやり場に困っちゃったよ」
「ばっ…!別にイチャついてねーし!裕次郎がわんに寄っかかって寝るからこんな状態になってただけさー!」
「必死なところが怪しい」
慌てて訂正する平古場に、木手が畳み掛ける。
ニコリともせずに冗談をいうから、この男はタチが悪い。
「まぁまぁ、永四郎。時間もないし、ここで昼飯食べながらミーティング始めるさー」
見兼ねた知念が助け舟を出すと、それに同意する様に田仁志達もその場に座った。
皆で輪になり、昼ご飯を囲む。
平古場のカバンから弁当を持ってきてる辺り、知念にぬかりはない。
「えー、裕次郎。いい加減起きれ!」
「んー……まだ眠ぃ……」
頭をはたかれもそもそと動き出した甲斐も、カバンから昼飯を出し座る。
「なんか、ピクニックみたいですね」
呑気な新垣の言葉に、皆が微笑んだ。
そんな穏やかな、春の日の午後。