zzz | ナノ
ずっと覚えていたはずなんですが…
目の前には笑顔の彼女。
『名前、あの…』
「ん?な〜に?」
『い、いえ。何でもありません…』
いつもと変わらず、自分の好きな歌を口ずさみながら、上機嫌で帰り道を歩く名前。
内心怒っているのではないかと不安な自分。
(実際怒っているとは思いますが…)
私はさっきから名前の一歩後ろを歩く。
(今度はスキップですか?危なっかしい)
するといきなりくるっと振り返った。
「どうしたの?比呂士」
『何がですか?私はどうもしてませんよ?』
「んー…嘘でしょ!」
『…何故ですか?』
「だっていつもだったら、『スキップなんてして、転んだらどうするんですか!?』
とか、まるで過保護なお母さんみたいなこと言うのに、今日は言わないし」
『・・・』
「当たりぜよ」
『仁王君の真似なんてしないで下さい。
彼は学校だけで十分です』
「ふふふ・・・」
いとも簡単に見透かされてしまいました。
一瞬ですが動揺してしまいましたよ。
もうすぐ名前の家ですか……
そろそろ勇気を出して言わなければなりませんね。
『名前』
「何?」
『…怒ってはいないんですか?』
「…んー…どうでしょう?」
『怒っているんですよね?・・・』
「怒ってるけど、気にしてない」
『本当ですか?』
「私は比呂士に嘘をついたことあるっけ?」
『そうですね。すいませんでした』
「…何について謝ってるのかな?」
『全てですよ。
忘れてしまっていたこと、
勇気を出してその事を謝れなかったこと・・・です』
「紳士らしくないね…」
『まったくですよ』
ため息をつく私を見て笑う名前。
そんな名前につられて私も笑う。
『なんで、こんなに悩んでいたんでしょうね。
謝れば名前が許してくれることは、どこかで分かっていた筈なのに』
「へ?何か言った?」
私は首を横に振って、彼女の手をとる
そして、今度は彼女に伝わるように言う
『必ずお祝いはしますよ』
『もちろんプレゼントも渡します』
すると彼女は花が咲いたような笑顔で
「明日が楽しみだね!」
と言う
それを聞いて、私は聞こえないくらいの声で
『忘れていた分、素晴らしい誕生日にしますからね』
と呟いた。
1日遅れのHappy birthday
(愛しい貴女に出来る)
(最大限の喜びを――)
(^ω^)------------->
琳ちゃんがあたしの誕生日に
書いてくれました^^
ありがとう!