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「こんなとこにいた、」

「んあ」


さっき勉強してたらいきなり電話が鳴った。それはクラスメートの仁王くんからで、彼は(今すぐ来んしゃい)という短い言葉を告げるとあたしの返答お構いなしに通話ボタンを押したらしい(残ったのは無機質な機械音だった)。よく分からなかったけど何とも寂しそうな声だったから、ついつい学校の周りとか公園を走り回ってしまった。公園の中を見たとき、白いものが光って見えたんで近付いてみれば蹲っている仁王。安堵の胸を撫で下ろす。


「なにしてんの」

「星みてんの」

「メルへニスト」

「なんとでもいえ」


元々そんなに話すような相手じゃなくて、好きなものとか知らない訳だから当然話題に困った。あ、急に周りがふっと暗くなったのは雲のせいかな。


「見える?」

「びみょ」

「んじゃ帰ろ」

「やだ」

「なんで」

「家、誰もおらんけぇ」

「仕事?」

「知らん」


そこまで言うと首に雑にぐるぐる巻かれたマフラーに顔を埋めてしまった。これ以上話したくないのだろうか。まあ、あたしだってずけずけと無闇やたらに人のプライベート覗くつもりないから気にしないけど。


「今日何日だっけ」

「…12月4日」

「うわー明日土曜じゃん、補習だりいいい」


携帯を見ているとメールが着たのでそのまま開封する。(勉強してんの?マジメだねぇー笑)…マジメも何も、あたし達は将来を見据えるれっきとした受験生ですよ。

(そーいえば、今日仁王君誕生日らしいよ!)


「…え」

「なに」

「ええええええ誕生日」


仁王君って、今隣にいるこの子であってますよね?仁王は再度顔を埋めると、そのまま喋り始めた。声がくぐもって聞こえる。


「…おれがなんのためにお前呼んだんか分かっちょるんか」

「いやだって、」

「言い訳は好かん」

「しらねーよ、普通に教えてよ」

「お前は知っとってあたりまえなんじゃ」

「えー理不尽すぎる」

「ん」


カーデで半分ほど隠れた手を伸ばしてきたから握手かと思って手を重ねたら、違うと言いつつも手を握られた。違う、ってなに。


「プレゼント」

「ないわ」

「たんじょーび…」

「…あーわかったわかった、だからそんな目向けるな良心が痛む」

「やった」

「明日持ってくから」

「いま」

「今から?何時だと思ってんの」

「行こ」

「えー」

「誕生日」

「…はいはい」


星もどき
(…おめでとは?)(はいはいおめでとおめでと)



091204
待ちに待った仁王くんはっぴばーすでい\^^/
もっと甘いの書いてみたいです。

おめでとう!




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