「涼太、これあげる」
「なんスかこれ?」
「最近発売されたお菓子。期間限定っていうからつい買っちゃった」
「相変わらず限定物に弱い…。でも俺が貰っていいんスか?」


涼太、色々わたしのこと心配してくれてるみたいだからそのお礼。なまえ姉ちゃんはそう言って得意気に笑った。
いやいや待て待て、こんなお菓子のお礼されても俺の心配が消えるなんてことはない、断じてない!しかもなんだよその得意気な顔!また何を誤解し始めたんだよこの姉は!


「姉ちゃん、あのさ…」
「わたし昨日色々考えたんだけどね、涼太がわたしの元彼に怒ってくれたり帰りを心配してくれるのって、わたしのこと気にしてくれてるからでしょ?だからねわたし、涼太に心配かけないようにするね」
「は、」
「これから何か悩んでたら涼太に相談するようにするし、涼太の悩みとかももっと聞くようにするね。せっかく毎日一緒にいるんだし!」


あ、れ?これって何だ、要するに俺を頼るってことか?え?あれだけ悩んでた俺って一体…。
一気に脱力し、はああと大きく溜息をつくと、姉ちゃんはどうしたの涼太と顔を覗き込んできた。どうしたもこうしたもねーよ!むしゃくしゃして手に握っていたお菓子の箱を見たら、可愛らしいキャラクターが俺を見ている。くそ、いつまでも子ども扱いしやがって。


「涼太、何だか朝から疲れてるね」
「(誰のせいだ!)…や、最近部活がハードで、」
「バスケ部は練習キツいもんね。今日帰ってきたらマッサージしてあげるよ」


髪を結びながら鏡越しに笑う姉ちゃんに何か思いきり仕返しをしてやりたい。けど何も思いつかなかったからやめた。
訳のわからない疲労感に襲われ姉ちゃんから目を離す。くそ、ほんっとにあの姉は何を考えてそういう結果に行き着いたんだ。一から十まで説明してほしい。いや、そんなことしたら姉ちゃんはたぶん頭パンクするからだめだな。
悶々と考えると余計に肩が重くなってきた気がしたので、頭を横に振り雑念を払う。そうしてもう一度溜息をつき用意された朝食を食べようとすると、テーブルの上の携帯が震える。誰だよこんな朝早くから。……笠松先輩だった。えーとなになに、朝練早く来いやバカヤロー?失礼な。


「姉ちゃん、俺朝ごはん食べたら先に行くっス」
「あ、わかった。片付けしておくからお皿置いといて」


パンを片手にメールを返していると、髪を結び終えた姉ちゃんが俺の前に座った。今日の髪型はお団子っスか。髪留めも可愛い、合格ッス。俺に習いいただきますと手を合わせた姉ちゃんは、ちらりと俺を見てニヤニヤしている。目玉焼きの卵を割りながら、俺は何となく嫌な予感がして思わず唇を引き結ぶ。これは何か悪いことを考えてる顔だ。


「…なんスか」
「涼太…。そうだよね、涼太も年頃だもんね。わたし気づかなかったけどさ」
「何を、」
「え?今のメール、彼女でしょ?全く、こんな朝からメール送り合うなんて羨ましいなー。若いね高校生!」




このバカ姉!





(木)世界は僕らにひどく優しい
07:59







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