宇美とちあらちゃん

あれから数えて……何度目だろう。もう、数えきれないくらい迎えた、クリスマス。かたちはちがっても、それは今年もまたやってくる。

「お邪魔します。」

がさがさ、両手に提げた、見るからに重そうなビニール袋の音を響かせながら、宇美は靴を脱いだ。中学生だったあのころと、不思議なくらい見た目は変わらないのに、何年も鍛えてる身体はそれくらい造作ないらしい。今日、宇美をこの家に招いたのは彼女の義理の妹、ちあらだった。前からこの家にたびたび訪れていた宇美と彼女が個人で連絡を取るようになったのは、つい最近の話だ。口に手をあてながら、ふふ、宇美は笑う。

「なつかしい」

一番最近話題に上がったのは、とある写真の話だった。ちあらが見つけた、宇美と、宇美の弟でちあらの兄の神威の写真。何年前だろうか。ちあらの知らないリビングで二人、ピースサインでうつってる、笑顔の宇美と神威。ちょうど今日のような、寒い、クリスマスの日だったと、またしたいねと、そう宇美が言ったのが一週間ほど前の話。

そして今日、宇美は数日前から下準備をし、さっき家で焼いてきたという七面鳥を右手に、グラタンやパスタの材料を左手に提げ、神威の家にきていた。

「台所、借りるね」

そう言い、慣れた手つきで袋の中身を冷蔵庫にしまう。その姿は、とてもその場所になじんでいた。まな板と包丁を軽く水で流してから手を洗う。野菜と肉をバターで炒めると、いい香りが部屋に広がった。火を止めて、小麦粉をまぶして、牛乳を加えて。とろみがついたらマカロニを並べたグラタン皿にうつして、チーズを乗せてオーブンへ。パスタは、前に家庭菜園をしていると写真を見せてもらったバジルでソースを作ったらしい。あとであえるだけとのことだ。

「少し……話、しててもいいかな?」

とちゅう
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