Thorn of revenge | ナノ
開幕を告げるリールB

「みのり、コーヒーでいいかしら?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
「どういたしまして。はい、熱いから気を付けなさいよ」
「はーい」

 空港の特別待合室の、ふかふかのソファーに座っている彼女は楠本みのり。楠本家は七名家と謳われる家柄のひとつで、彼女はその楠本家の一人娘。今年成人したばかりの大学二年生だ。
 そして、みのりにコーヒーを差し出したのは王李庵。今は彼女のボディーガードをしているが、元はフリーの殺し屋で、ボンゴレファミリー最強と謳われる闇の独立暗殺部隊「ヴァリアー」ボスのXANXUSを義理の兄に持つ。

「李庵の淹れるコーヒーは本当に美味しいね」
「あら、それならみのりの淹れてくれる紅茶だって美味しいわよ?」

 二人以外には誰もいない特別待合室で、彼女たちは会話に花を咲かせていた。
 楠本家が所有する自家用機の手配はすでに済んでいるのだが、二人がまだ特別待合室にいるのには理由があった。

「それにしても、いくらなんでも遅すぎじゃないかしら?」
「確かにそうだよね……。時間にはうるさい方だと思うんだけどなあ……」

 不満を漏らした李庵に、ちらりと壁にかかっている時計を見て、みのりは同意した。

「道に迷ってるのかな?」
「……ありえるわね。とりあえず、携帯に連絡を――」
「その必要はねえぞ」
「先生! 遅かったじゃない」

 李庵が上着のポケットから携帯を取り出そうとしたその時、二人以外の声が聞こえた。先生と呼ばれた人物――リボーンは遅れてきたことに謝る様子もなく、足元に荷物を置いた。

「文句なら俺の元教え子に言うんだな」
「それって、ボンゴレの次期十代目ボスくん?」
「その兄弟子の方だ」
「兄弟子っていうと、確か……」
「久しぶりだな、みのり。それに李庵も」
「ディーノさん!」
「跳ね馬ディーノ!?」

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