ラグの中でコーヒーを、B
ツナside.
「ど、どうして俺の名前を知ってるんですか?」
「ハルちゃんからみんなのことは聞いてたし、山本くん獄寺くんって来たら、最後の子は沢田くんかなって思ったの」
「三浦から話聞いただけでツナだって分かるのってすごいのな!」
「そんなことないよ。あ、立ち話もあれだし席に案内するね」
そういって、彼女は俺たちを日当たりのいい四人掛けのテーブル席に案内してくれた。
俺の隣にハルが座ったことで、また獄寺くんと口喧嘩が始まったけど、そこは割愛ということで。獄寺くんを俺の前の席に座らせることでなんとか落ち着かせ、その隣に山本が座った。
「みのりさん、澄未ちゃんは今日お休みですか?」
「……澄未?」
「山本、どうかしたの?」
「どっかで聞いた名前なんだが……悪ぃ、俺の気のせいだ!」
ははっと笑って、メニュー本を見だしたけど、山本の知り合いに同じ名前の人でもいたのかな?
「澄未ちゃんは大学の講義が長引いてて、まだ来てないの。もう少ししたら来ると思うよ」
「ありがとうございます!」
お店の中に入るまで、住宅街にあるカフェだからあまり繁盛していないように見えたけど、店内は予想以上に賑わっていた。
でも見渡す限りだと、店員はみのりさんと、大学の講義で遅れているらしい澄未さんという人を入れても四人しかいない。今はそこまで忙しくないみたいだけど、混んだりしたら四人で大丈夫なのかな?
「沢田くんはどうする?」
「え?」
「注文してないの、ツナさんだけですよ」
え、みんないつの間に注文したの。
メニュー本には料理の写真が付いているけど、どれも美味しそうに見えて迷ってしまう。
「なにかおススメってありますか?」
「んー、今の時間帯ならサンドイッチセットかな?」
「じゃあ、それでお願いします」
「はい、承りました。李庵、注文入ったよー」
みのりさんは俺たちに頭を下げると、カウンター内にいる銀髪の女の人の元へ向かった。
獄寺くんと同じ銀髪に、XANXUSと同じ紅い目。身長は平均よりは高く、どこか大人っぽい人に見えた。
「十代目、少し失礼します」
獄寺くんは椅子から立ち上がると、頭を下げてカウンターの方へ行った。カウンターの向こうには、まだみのりさんと李庵さんという人がいる。
お手洗いの場所でも聞きに行ったのかな?
prev next