Thorn of revenge | ナノ
開幕を告げるリールD

李庵side.

「リボーンが日本を離れるとなると、ツナの護衛がいなくなるからな」
「ボンゴレ次期十代目ボスくんは、そんなやわじゃないでしょ」

 今から三年前のリング争奪戦では、あの兄さん率いるヴァリアーが、次期十代目ボスくんと守護者たちに負けたところを遠くから見ていた。
 十年バズーカで十年後の世界に飛ばされて、未来の強豪ファミリーを倒したということも、未来の大空のアルコバレーノのボスから記憶をもらった。
 それに継承式の時には、シモンファミリーがボンゴレの至宝である「罪」を奪い、霧の守護者を誘拐しても、次期十代目ファミリーたちのおかげで、事なきを終えたと報告を受けた。
 そんな大活躍をした子に、ましてやファミリーのボス自らが護衛をする必要があるかしら?

「備えあれば憂いなし、って言うだろ?」
「それに九代目の命令でもあるからな」
「……お父様からの?」

 ボンゴレファミリー最強と謳われる闇の独立暗殺部隊「ヴァリアー」のボスであるXANXUSは私の義兄で、つまりそれはボンゴレ九代目ボスの娘でもあるということ。ここまで言えば、かなり上の立場の人間に聞こえるかもしれないけど、実際は違う。
 私と兄さんは異母兄妹であって、血は半分しか繋がっていない。そして九代目ボスであるお父様との血縁関係はまったくと言っていいほどない。
 兄さんが幼い頃に死ぬ気の炎、それも憤怒の炎を出しているところを見た義母は「XANXUSは自分と九代目の子だ」という妄想に取りつかれた。それなのにも関わらず、お父様は兄さんを引き取り、後日妹の私がいることを知ったお父様は、私も引き取ってくれた。おかげで何不自由なく生活することができているから、お父様には本当に感謝しているし、たとえ血の繋がりがなくても、私は本当の父のように思っているし、慕ってもいる。

「お父様の命令なら仕方ないわね」
「私のせいで、わざわざイタリアから足を運んでもらってすみません」
「気にすんなよ。可愛い弟分に会いたいと思っていたし、日本に来る用事もあったからな」
「日本に用事ですか?」

 訳が分からず不思議そうに首を傾げるみのりに、ディーノは悪戯っぽく笑うと、彼女の頭をそっと撫でた。
 ディーノが次期十代目ボスくんの護衛以外で、日本に来る用事なんていったい……嗚呼、そういうことね。ふふっ。

「ディーノ。相手はそういうことに関してはかなりの鈍感よ? 大丈夫なのかしら?」
「ははっ、それこそ落とし甲斐があるじゃねえか。それに、今のうちに予約しとかねえとな」
「……? 二人してなんの話してるの?」
「あなたには、まだ関係ない話よ」

 まだ? と言って私とディーノを交互に見ながら首を傾げるみのりに、私たちはただ微笑みあった。
 言っちゃったら面白くないし、それにライバルが現れるかもしれないから、今は傍観者になっていようかしら?

「おいみのり、李庵。そろそろ行くぞ」
「そうだね。じゃあディーノさん、行ってきます」
「気を付けてな」
「それはこっちの台詞よ。早くロマーリオさんに電話しなさい」



to be continued...

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