その後夜に迎えに来たトキヤに嬉しそうに報告をするハヤト。「毎日来ていいんだって!」と言う弟に「馬鹿!毎日いいわけないでしょうが!」と怒る兄。なんだか面白くて怒るトキヤに俺は言った。

「別に迷惑じゃねぇし、言い出したのは俺だ」
「砂月さん……でも」
「ほらぁ!トキヤのおばかぁ!」

俺はハヤトと視線が合うようにしゃがんで小指を立てた手をすっと差し出す。はてなマークを浮かべながらハヤトも同じく小さい手を出して小指を絡ませた。

「約束、だ」
「はりせんぼん!おさかな!」
「ハヤト、ハリセンボンじゃありません。針千本です」

頬を上気させ満面の笑みのハヤトにトキヤの的確かつ地味なつっこみを聞いてこいつらは毎日こんなやりとりをしているのかと考えたら内心笑えてしまった。指切りするなりハヤトは何か思いついたように顔を輝かせた。

「おとまりしたいにゃあ!」

その瞬間トキヤの手がピシャっと軽くハヤトの頭を叩いた。

「いくらなんでも駄目です、帰りますよ」
「え〜〜やだぁ〜トキヤぁ〜!」

俺はどっちでも良かったが甘やかしすぎも良くないと意味の分からない考えを持ってハヤトを帰すことにした。頬をふくらめて不機嫌になったハヤトを宥めるのは面倒だったがどうせ明日も来るんだろの一言で帰って行ったのだった。

「あー疲れた…」

肩をバキバキと鳴らして適当に部屋の片付けをする。今まで子供となんて接したことがないから初めはどうなることかと思ったがハヤトは意外に聞き分けがいいガキだったし、苦労はしなかった。逆に俺が進んで相手をしてやるのが多いかもしれない。

明日からは仕事とハヤト、どっちもこなしてみせる。時計は8時を指しているので俺は作曲することにした。


〜20120305



むだなけつい
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