「こーちゃん、これもお願いできるー?」
「(こくん)」
「ありがとー。」


どうもー。
おやかた様の素敵なお庭が松永さんのおかげで半分ほど破壊されてしまったので、こーちゃんと二人でお方付けしてます。
真樹緒ですー。
こんにちは!
ぬ?
もうすぐ夕方やからこんばんは?
んー、ほんならこんばんは!


やぁ、今ね。
爆発してもうた石のかけら集めてるん。
ちょっとでも片付けとかなやっぱりさっちゃんに怒られてしまうからね!


松永さん?
松永さんも片付けやなあかんのになー、「日の光は苦手でね」とか言うてお部屋に戻ってしまってん。
……日に焼けるんが嫌なんやろうか。
指ぱっちんでお山爆発させるくせに意外とせんさいよねー。
ぬーん。


「真樹緒。」
「ぬ?」
「こっちだ真樹緒。」
「あー!政宗様!」


俺らが丁度石を集め終わった時になー、政宗様らも大事なお話終わったみたい。
名前呼ばれて振り返ったら、政宗様が廊下のとこで手をひらひら振ってました。


政宗様!
お疲れさまー!
ちゃんと同盟組めた!?
おやかた様とお話した!?
俺ら、政宗様らがお話してる時ちょっとお庭破壊してもうてなー。


「とおっ!!」


政宗様にむかってジャンプ!!
さぁ政宗様、俺を受けとめてー!
思いっきり受けとめてー!!


「おっと。」


腕を広げた政宗様はちゃんとすっぽり俺を抱きしめてくれました!
相変わらず素敵な筋肉ですね!
あったかぬくぬく素敵筋肉。
でも何や久しぶりー。


「お話終わったん?」
「ああ、丁度今な。」


政宗様にだっこされたまんまおでこをごつん。
お疲れ様―ってうりうり。


ぬー。
これも久しぶりー。
くっつくん久しぶりー。


……
………


幸せ!!


「ふふー。」


いっぱい幸せ。
いつもの政宗様やったらこの後顔とかおでことかにちゅってあるかもやけど、ここは奥州のお城ちがうからここまででストップな。


「Ah―?」
「あかんよー。」
「聞こえねぇな。」
「あっ!ちょ!もー!」


ストップって言うたのに政宗様ほっぺたにちゅーするん。

もー!
誰かに見られたらどうするん!
ここお城ちがうねんで!
さっちゃんとかゆっきーとかおやかた様とかおるねんで!


「excitingだな。」
「ちがうしー!」


もー!
政宗様、もー!
笑ってる場合ちがうで!
他所様のおうちでこんなことしてたらあかんねんから!


ちゅっちゅちゅっちゅしてくる政宗様の顔を両手でぐぃーっと遠ざけてみるねんけど、政宗様の力が強くて全然全く適わへんの。
じったばった暴れても素敵筋肉には適わへんのまじで…!


「cuteだな。」
「こちょばいんー!!」


いやーや!
こちょばい!
顔中がこちょばい!
ついでに首もこちょばい!

ほんで、やめてんかーってもだもだしてたら政宗様に捕まってた体がふわって浮いて。


「おお!」
「政宗様。」
「チッ…」
「こじゅさん!」


こーじゅーさーんー!
後ろを振り向けば呆れたようなこじゅさんが俺を抱き上げてくれてました!


おおおー!
こじゅさん!
ありがとこじゅさん!


「野暮な事すんじゃねぇよ、小十郎。」
「ここは奥州ではありません。」


憚りませ。


ぬー。
政宗様をしかるこじゅさんも久しぶりやなー。
懐かしー。
こじゅさんの首にぎゅっと巻きついてたら政宗様が「真樹緒を寄越せ」ってゆうんが聞こえた。


でもあかーんもん。
今は俺こじゅさんとおるんやもん。
久しぶりのこじゅさんとぎゅーやねんもん。


「こじゅさんこじゅさん。」
「どうした。」
「お疲れ様―。」


色々お疲れ様。
ご苦労様。
もう大丈夫?
政宗様にしたようにおでこをこつん。
すっごい近くに見えるこじゅさんにへらって笑う。


鼻と鼻をすりすり。
笑い返してくれたこじゅさんはいつものこじゅさんで嬉しくて、首にぎゅー。
ほんならこじゅさんが「真樹緒。」って。


「はい?」
「余り無茶はするな。」


肝が冷えた。
こじゅさんが俺の頭を撫でるん。


無茶?
無茶ってどれやろう。


甲斐まで来た事?
松永さんのおうちに行った事?
やぁ、どっちもさっちゃんに連れてきてもらったから大丈夫やで?
松永さんとこにはゆっきーも一緒やったし。


「真樹緒。」
「ぬん…」


そうじゃねぇ。
そうじゃねえだろう。
そう言って頬っぺた撫でる優しいこじゅさんの手がちょびっと切ない。


ぬー。
こじゅさんお見通し。


でもやぁ、俺が悪いのに。
急に飛び出していった俺が悪いのに。
でもこじゅさん怒らへんからちょびっと切ない。


「…ごめんなさい…」


こじゅさんの目をちゃんと見てごめんなさい。
もう危ないことせぇへんからってごめんなさい。
そしたらこじゅさん政宗様見たん。
俺もちらって政宗様の方向いたら政宗様、笑いながら肩をすくめてるん。

もしかしたら政宗様にも心配かけた?
ぬー。
ごめんなさい。


「真樹緒だからな。」


そこは仕方ねぇだろう?


「政宗様、それどーいう意味。」


くくくって笑う政宗様をじとって見てたらこじゅさんが溜め息。
もー!!ってまたこじゅさんの首に巻きついて。


「あれ?」
「真樹緒?」
「Ah―?どうした。」


やぁ、お久しぶりにこじゅさんと政宗様堪能してたから今まで気つかんかったけど。
あそこにおるん、もしかしたらゆっきーやない?
ほらあの曲がり角のとこにおるん。
赤いハチマキのゆっきーやない?


ちょびっと顔を赤くして震えて…って、
震えて?


「ぬ?」


え、どないしたんゆっきー。
そんな顔赤くして。
もしや風邪とかひいてもうた?

何かあったんかなーって俺がゆっきーに手ぇ伸ばした瞬間な。


「ゆっ、」

はっ破廉恥にございますぞ真樹緒殿ぉぉぉぉぉぉ!!!!

「「「!!!」」」


ゆっきーが。
突然ゆっきーが物凄い速さで廊下を駆け抜けてゆきました…!!
暫くぼーぜんと三人で立ち竦んでしまったのは仕方ありません!!


お、お耳がキーンってする…!!


  

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