「おシゲちゃんはな、優しいけど怒ったら怖いん。」


松永さんのお膝を枕にしておシゲちゃんが怒ったらどんだけ怖いかを一生懸命松永さんに伝えてる真樹緒君です。
こんにちは!


「ほう。」


ちょっと松永さん、真剣に聞いてや。
俺の一大事やねんで!
おシゲちゃん怒らせたらめっさ怖いんやから!
こう、冷たい空気が吹きすさぶんやから!
しょぼーんってなってしまうんやから!


分かる!?


「それはそれは、由々しいな。」
「…そんな楽しそうに言わんといてんかー。」


半分ぐらいは松永さんのせいなんやで!
松永さんがこーちゃん連れて行ってしまうから。
政宗様に指ぱっちんするから。


もー。
俺どないしようー。
おシゲちゃん謝ったら許してくれるかなー。
ってかまずごめんなさいを聞いてくれるかどうかが問題やんなー。
どうしよう。


「もう真樹緒の顔なんて見たくないよ。」


とか言われたら。


……
………


どうしよう!!


「お、お、おシゲちゃーんーー!!


うわーん!
ごめーんんー!
嫌いにならんとってー!
おシゲちゃーん!


うわーん!
許してー!


「…卿はいつも突然だな。」
「ぐすぐす…やって…」


おシゲちゃんにつーんってされるのを考えてたら悲しくなってきてんもん。
ぎゅーって目ぇ瞑ったら涙がぽろぽろ。


ぬー。
嫌やー。
おシゲちゃんに嫌われるん嫌やー。


「真樹緒。」


目を擦ってはいけない、って。
跡がつくだろう、って松永さんが俺の頭をもさもさ撫でるん。


やって。
おシゲちゃん。


俺おシゲちゃん大好きやのに。
嫌われたらどないしょう。
俺、お願いされたのに。
おシゲちゃんの近くにいてね、って言われてたのに。
勝手に出てきてもうたん。


「真樹緒。」
「…まつながさん…」


べそべそ鼻鳴らしてたら松永さんの手が伸びてきた。


ぬー?
なに?
頭撫でてくれてたんちゃうの?


じぃ、ってその手を見てたら顔の方に近づいて。
近づいて、


ドスッ!!!


きたんやけど。


「…」
「(…)」
「………こーちゃん…」


こーちゃんが。
やぁ、こーちゃんはずっと俺の近くにおってんけどそのこーちゃんが。


「…風魔、卿も野暮な事をする。」


物凄く鋭いクナイを絶妙な具合で松永さんの人差し指と中指の間にドスっと。
ドスっと突き刺しました!


おおお…!
こーちゃん!
どないしたんこーちゃん!
びっくりして涙も引っ込んでもうたよ!


そして顔の真横にクナイ!
怖い!!


「こ、こーちゃん。」
「(…)」
「俺別にいじめられてた訳やないよ?」
「(ふるふる)」


ぬーん。
何やろう。
何でやろう。
さっきからずっとこーちゃんが俺を抱え込んだまま松永さんを睨んでますよ。
それはもう穴が開く勢いで睨んでますよ。
こーちゃんのお膝の上で俺はなんだかちょびっとこの空気にせちがらさを感じていますよ。


「真樹緒。」
「…はい。」
「卿の忍は随分な甘ったれだな。」


松永さんがそう言った瞬間、また何やら尖ったものがこーちゃんの手から飛んでいきました…!


えぇー!!


ちょっと見えやんかった。
全然全く見えやんかった。
しかも松永さんがひょいってそれ避けた後、松永さんの後ろにあった素敵な庭石がドカンと爆発して粉々に砕けました。


……
………


何で!


しかもお庭が!
おやかた様のお庭が!


さっちゃんに怒られる!
さっちゃんも怒ったら怖いんやで!


「苛烈苛烈。」
「ちょ、もう松永さんあんまりこーちゃん刺激しやんとってくれるー!」


こーちゃんの腕の力強くなってるんやから!
こーちゃん細腰やけど素敵筋肉なんやから!!


ほんま何楽しそうに笑ってるん!
おやかた様のお庭破壊してもうてんで!
半分くらい松永さんのせいっぽいんやから後で一緒にごめんなさいするんやで!
もう!!


「こーちゃん、こーちゃん、落ち着いて。」


大丈夫大丈夫。
こーちゃんは甘ったれやないよ。
俺がいっつも甘えさせてもらってるんやからな。


こーちゃんは男前やで!
イケメンやで!
たまに可愛いとこがあって俺の自慢のこーちゃんよ!


やからなぁ。


「(…)」
「な?」


はいはい肩の力を抜いてくださいな。
こーちゃんの頭をぽふぽふ撫でる。
そんな怖い顔せんとって?
いつものこーちゃんに戻って欲しいん。


なぁ、こーちゃん。


「(………こくん)」
「いい子!!」


頷いてくれたこーちゃんの頭をやっぱりぽふぽふ。


よしよしー。
いい子ねこーちゃん!
やっぱりこーちゃんはいつもの優しいこーちゃんのがええよ!


ほんならこーちゃんも一緒におシゲちゃんの事考えよー。
どうやったらおシゲちゃんに許してもらえるか考えよー。
こーちゃんのお膝の上でへらって笑ったんやけどやぁ。


「くく…よく躾けられている。」
ちょ、!!


また松永さんが余計な事言うから…!!
こーちゃんが懐からえらいでかいボールみたいなんを松永さんに投げつけて。


ドカンドカンドカン!!


「おお…!!」


今度はお庭に生えていた素敵な竹やぶが全部爆発しました…!!
避けた松永さんはやっぱり笑ってるだけでこれからどうしたらいいか分かりません…!!







「……政宗様。」


何やら外が騒がしいのですが。


「Ah―…」


大体想像はつくがな。


「はっはっはっ!血気盛んよのう。」


真樹緒も隅に置けぬわ!


「流石は真樹緒殿!」


某も負けておられませぬ!
この幸村、滾って。
滾って参りましたぞお館様ぁぁぁぁ!!!


「良くぞ言った幸村ぁぁぁぁ!!」
「お館様ぁぁぁぁぁぁ!!」
「幸村ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ちょ、大将、旦那、何か違う…!!




「Ah―…てめぇも大変だな、猿。」
「しみじみ見ないでくれる!?」


俺様何かいたたまれない!!


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こーちゃんは近くで見てて辛抱たまらんかったみたいです(笑)
もう本当触らないでくれる!といわんばかりに攻撃です。
拝啓おシゲちゃんなので、次回はおシゲちゃんサイドから。
でもおシゲちゃんはお城の留守を預かっているので、鬼庭さんがキネマ主のお迎えかな?と思っています。

おシゲちゃんは、キネマ主が自分に怒られるんだろうなと思っている事はお見通し。
けれどあえて知らないそぶりでちゃんとキネマ主を怒ります。

「だって癪じゃない。」

そんな感じで。
次回はおシゲちゃんから。

  

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