「んー…」
呼び方ねえ。
ゆきちゃん、ゆっき、ゆっきー、ゆきやん。
結構いっぱい考えたんやけどなー。
どないしましょー。
ゆきむらさん(仮)のあだ名候補がいっぱいあって悩むなー。
只今さっちゃんにほっぺた撫でられながら絶賛さなだゆきむらさんのあだ名を考え中の真樹緒ですこんばんは!
ぬん!
でもお気に入りはあれやねんなー。
あれ。
「真樹緒?」
「よし!」
「真樹緒殿?」
「やっぱ、ゆっきーで!」
たまにゆきちゃんやゆっきになったりしてね!
そのあたりは俺の気分でフリーダム!!
呼び方はゆっきーに決定!
びしっとさっちゃんとゆっきーにピース。
どお!
可愛いやろゆっきー!
「ゆっきぃにござるか。」
おお…
ゆっきーのゆっきぃが可愛い。
さすが。
さすがゆっきー!
「呼んでもええ?」って聞いたら「真樹緒殿のお好きなように」ってイケメンスマイルちょうだいしました眩しい…!可愛い!
「かーわーいーいー!」
かんきわまって、びょーんってゆっきーに抱きつこうとしたんやけどな、「汚れるから止めなさい」ってさっちゃんに止められました!
また首根っこ掴まれました!
ぷらーんとされて前に進めやんの。
足がじたばた。
両手もじたばた。
やから俺ねこちゃうしー。
もー。
「ぬー…」
「これからお館様に会うって俺様言ったよね。」
土まみれでお目見えするつもり?
さっちゃんがすこん、って俺の頭をチョップ。
かーるい奴やからいっこも痛くないけどチョップ。
ぬー。
「呼び方決まった感動をゆっきーとわかちあいたかったのにー。」
もー。
さっちゃんのいけずー。
ちょびっとぐらいええやんかー。
「はいはい、後でねー。」
さっちゃんが俺を下ろしてぐいぐい背中を押すん。
ちょっと待ってさっちゃん。
俺、心の準備が!
おやかた様に会う心の準備がまだ!
「安心されよ真樹緒殿!!」
「ゆっきー?」
あれ?
どうしたんゆっきー。
何や熱いよ?
首を傾げたらゆっきーの意外にがっしりした手が俺の肩にみっしり食い込んだ。
おお…
ちょびっと痛い。
「お館様は素晴らしい方にござる!!」
「ぬ?」
何も気負う必要はありませぬ!
そのままの真樹緒殿でぶつかりますれば、お館様が真摯に受け止めて下さる事でしょう!
さぁ恐れず足を一歩踏み出されよ!
ゆっきーが目をキラッキラさせて熱く語ってくれたんやけどやぁ。
や、相変わらずイケメンやで?
そのスマイルで世界を救えるぐらいのイケメンやで?
でもやぁ。
…何やそっちの方が大ごとな気ぃすんのは気のせいやろうか。
「ちょう不安―。」
さっちゃんに背中を押されて、ゆっきーには期待に満ちたキラキラおめめで見つめられて、後戻りが出来ません。
やってカイの虎さんやで。
俺の二倍ぐらいの体があるねんで。
やっぱり足が進まんとじっとしてたらやあ。
「ゆぅきむるぁあぁぁぁぁ!あれしきで膝をつくとは修行がたりんわぁぁぁぁ!!!」
「!!!」
さっきゆっきーが吹っ飛んできたあたりから、赤くてでっかい水牛みたいな角を持った男の人がででんと現れました。
おおおおおお…!!
でかい!
赤い!
ほんでちょっともさもさ!!
びくんて俺は思わず飛び上がってもうたんやけど、隣におったゆっきーは目をキラキラさせたまんまファイティングポーズ。
……
………
うん?
「お館様!この幸村更に鍛錬を重ねる所存にござりますぅぅぅぅ!」
「その心意気じゃ幸村!」
あっぱれぇい!!
「お館様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「幸村ぁぁぁぁぁぁ!!」
「おやかたさぶぁぁぁぁぁ!!」
「ゆぅきむるぁぁぁぁぁぁ!!」
それから目の前でばっき、ばっきってすごい殴り合いが。
お互いの頬っぺたに手がめり込むぐらいの殴り合いが。
叫びながら殴り合いが。
最後にゆっきーがさっきよりももっと遠いところに吹っ飛んでしまいました!
「…さっちゃん…」
「気持ちは分かるけど慣れてね。」
「えー…」
慣れなんや。
あれ慣れなんや。
でもちょびっとやってみたいなとか思ったんは内緒!
殴り合いやないで?
あの名前呼ぶやつ。
俺もお館様って呼んでみようかな!!
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ちょびっとしか会っていないけれど、カイの虎は一段落。
次回はやっとこお館様とお話し。
ためしにお館様ー!!って叫んでみて頭撫でられたらいいな。
多分キネマ主にしてみればお館様はトトロ。
そのおなかに抱きつきます(笑)
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