イケメンさんに政宗様を一緒に部屋へ運んでもろうてから(やぁ、まぁほぼイケメンさんの力やねんけど)そのイケメンさんに「貴殿は政宗殿の傍におられよ。」って言われて広いお部屋で政宗様と二人っきりなん。
真樹緒ですこんばんは。
政宗様寝てるからひっそりこっそり小さい声でこんばんは。
何かやぁ、あのイケメンさんは「おやかたさま」ってゆう人に会いに行くんやって。
俺がこのお屋敷に来たこと報告しに行くんやって。
俺も行きましょか?って聞いたんやけど「否、どうぞ政宗殿のお傍に」って言われねえ。
今は静かなお部屋に政宗様と二人っきりなん。
「政宗様…」
うすぼんやり明るい部屋は、奥州のお城と全然違うくて何か変な感じ。
見たこと無い壺とかあるし、掛け軸とかかかってるし、ああよそのおうちやねんなぁって思った。
ぐるりお部屋見渡して天井も見渡して、また政宗様を見てふうってため息。
目ぇ瞑ったまんまの政宗様の頭を撫でる。
なぁなぁ、政宗様。
俺来たよ。
政宗様に会いに来たよ。
ちょびっとでええから目ぇ開けて。
「政宗様、」
でも声かけても政宗様全然動かへんの。
「真樹緒」って俺を見て笑ってくれへんの。
「もう…」
もう、何で無理するん。
立たれへんのやったら静かに寝てやなあかんやんか。
気うしなうぐらいしんどいんやったらじっとしてやなあかんやんか。
無理したらあかんやんか。
政宗様の頭をゆるゆる撫でて、ぺたぺた頬っぺたも撫でる。
「まさむねさま…」
危ない事とかしたらあかんて言うたやん。
怪我とか作ってきたら許さへんて言うたやん。
元気でこじゅさんとお城に帰ってくるって言うた。
ほんなら俺、思い切り飛び込んで行ってやぁ。
政宗様はやっぱりいつもみたいに俺を受け止めてやぁ。
「…ぎゅーするって、ゆうた…」
約束した。
したのに、もう。
「…泣くな真樹緒。」
「ないてへんもん…」
でもぼろぼろ。
ぼろぼろ。
歯ぁ食いしばってるんやけど何でやろう、止まらへんの。
やっと目ぇ開いた政宗様の顔もよう分からへんの。
「sorry」って聞こえたけど、余計に目がぼやけてしまう。
「そんな風に泣くな」って言われたけど無理やもん。
「真樹緒、」
「ないてへん…」
政宗様のおっきい手ぇが俺の目元をぐりぐり。
いつもよりちょびっと力が弱いけどぐりぐり。
ちょっと安心してほ、って体の力が抜けた。
「政宗様…」
「どうした。」
「けが、痛い…?」
爆発に巻き込まれたんやろう?
崖から落ちたんやろう?
さっちゃんに聞いたん。
熱くなかった?
苦しくなかった?
痛くなかった?
なぁ。
「、これぐらい何でもねぇよ。」
「…うそついたら嫌や。」
政宗様。
正直に言うて。
俺、おこらへんから。
本当の事言うてもおこらへんから。
ちゃんと言うて。
まだちょびっと濡れた目で政宗様を見たら、困ったように笑われた。
そんな顔してもあかんもん。
ほら、なぁ政宗様。
「痛い…?」
「少しな。」
もう。
もう、ほらやっぱり痛いんやん。
何でも無くないやんか。
嘘、ついたらあかんよ。
「政宗様、」
「…Ah?」
どうした?って俺の頭を撫でてる政宗様のお腹にぽふん。
そこを怪我してたらあかんからゆっくりぽふん。
頭だけな。
頭だけゆっくり政宗様のお腹に擦り付けた。
「いたいの、いたいの、とんでけ。」
とんでけ。
政宗様の痛いの。
全部とんでけ。
「真樹緒…」
「いたいの、いたいの、」
お腹の上から政宗様を覗き込んで、よじよじ。
ゆっくり手ぇ伸ばして政宗様の首に巻きついた。
政宗様、俺すごい心配したん。
ずっと離れ離れで怖かったん。
政宗様に会えやんかったらどうしようって。
俺いま色んな物があふれそうなん。
お城で色々あって、色々あったんやけどな、もうほんまにばくはつしてしまいそうなん。
「真樹緒。」
「とんでけ。」
政宗様、政宗様、俺寂しかった。
ずーっと政宗様に会いたかった。
政宗様の首に巻きついてぎゅう。
怪我がひどくなったらあかんからちょびっと控えめにぎゅう。
そしたら「真樹緒」って顔持ち上げられて。
「泣くな。」
「…泣いてへんもん。」
「首が冷てぇよ。」
「…しらんもん…」
額にちゅ、って。
目ぇにちゅって。
それから。
「真樹緒。」
「ん…」
それから。
政宗様に頭を抱えられてやぁ。
ちゅうって。
「っふ…」
唇をな、ふさがれたん。
でも優しいん。
ちゅ、ちゅ、ってすごくあったかいん。
何回もくりかえしてたらね、熱くてとろとろするん。
ほんなら息が切れてきてしまって。
「…政宗様…」
ちょっとしんどい、ってゆっくり離れたら政宗様が笑ってた。
俺の目元を指で擦って笑ってた。
「…止まったな。」って、笑ってた。
やあ、いつも通り。
やっといつも通り。
ちょびっと違うけど半分ぐらいいつも通り。
おれ、とっても嬉しくなってまた政宗様の首に巻きついた。
「真樹緒、」
「はい?」
「Thanks」
それから、心配かけたなって政宗様が俺をぎゅう。
「しょうがないなあ政宗様は。」
でも、でも、嬉しかったから。
ちゅうがとっても優しかったから。
しょうがないから、怪我した事はゆるしてあげるん。
ちっちゃく笑いながら政宗様の肩に頭をぐりぐり。
でもこれからは無理したらあかんねんで!
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やっと二人出会いました。
今回は少ししんみりと。
政宗様はキネマ主にほろほろと静かに泣かれるのが一番堪えます。
普段泣かない子なので。
次回からは普段どおりに。
でもまだまだ甲斐で。
こじゅさんおっかけたり、武田信玄さんや旦那やさっちゃんと改めて自己紹介したいと思います。
それでは!
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