「こじゅさん…」
久しぶりに会えたってゆうのにやぁ、こじゅさんは政宗様の刀を持ってお庭を出て行ってしまったん。
一回も振り返らずに行ってしまったん。
伸ばした手がとってもやるせない真樹緒ですよ。
こんばんは…!
「ぬー…」
政宗様は気ぃ失ってしまって、お膝の上でぎゅうってしてるんやけど全然目ぇ開く様子が無くて。
さっきまで俺と話してたんが嘘みたい。
息がちょびっと小さくて顔色が青白くてやぁ。
俺が「政宗様」って呼んでも応えてくれへんの。
ぺちぺち頬っぺたたたいても起きてくれへんの。
やからこじゅさんも心配なんやけど、先に政宗様をお布団に運びたいん。
「政宗様…」
大丈夫やからね、って目を閉じた政宗様の頭を撫でて立ち上がる。
政宗様の肩を俺の肩に回してよっこいしょ。
行くよってよっこいしょ。
多分あの戸が開いてる部屋に運んだらええんやと思う。
政宗様あそこから出てきたんやと思う。
「ちゃんと掴まっててやー。」
うん?
ちょと無理あるって?
俺が政宗様運ぶん無理あるって?
人間死ぬ気になったら何でも出来るんやで…!
諦めたらそこで終わりですよってどっかのバスケットの監督も言うてたもん…!!
俺負けへん!
「ぬん…!」
やから頑張ってずん、って一歩踏み出してみたんやけど、どうにもこうにも体が言う事きかんくてそのまま又顔から地面に突っ込みました!
重さに耐えられませんでした!
そりゃあね俺身長も政宗様より低いし多分体重も政宗様より少ないしね…!
「うー…」
あれ?
でも突っ込んでない?
俺両手塞がってて思いっきりこけたんやけど。
顔が痛くないん。
「ぬ?」
ほんで見上げたらな。
政宗様ごと俺、抱えられててな。
ひょいって。
めっさ軽々ひょーいって起き上がらせてもろうたん。
「手を貸し申そう。」
「お?」
そしたら目の前には超いけめんが。
何や可愛らしいいけめんが。
ハチマキ巻いたいけめんが!
おおお…
もうほんまこのイケメン率どうにかしてほしいわ。
政宗様といいこじゅさんといい、こーちゃんといい、さっちゃんといい、おシゲちゃんといい…!
イケメンしかおったらあかんのやろうか。
肩身が狭い!
眩しい!
「むー…」
「い、いかがした…」
別にー。
せちがらいなんて別に!
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