迷彩さんはな、すごい迷彩さんやったん。
俺の名前知ってたん。
全然教えてないのにやで!
迷彩さんの背中でびゅんびゅん変わる景色の中、落ちやんように一生懸命背中にへばりついてます真樹緒ですこんにちは!


ぬん!
すごい!
でも何で!!


秘密。
ぬーん…


秘密やって。
言えやんのやって。
お忍さんてあれよね。
政宗様とこのお忍びさんらもやけどこそっと秘密多いよね。
ミステリアスー。


「みすてりあすー。」
「ん?なぁに、それ。」
「ひみつー。」


まねっこ。
お忍びさんのまねっこー。
さっき秘密にされたからまねっこやもん。
後で政宗様に聞いてみたらどうー。


「竜の旦那?」
「これ異国語なん。」
「へぇ。」


そうなの、って迷彩さんが笑う。


おおー。
イケメンー。
ちょっと小さい子に言い聞かせるよーなしゃべり方がちょっぴり気になるけど。
イケメンー。


「いけめん?」


それも異国語?って迷彩さんが言うけどこれはちがうん。
イケメンはな、いけてるメンズの事やねんで。
しかもな、英語の…、ああちがうちがう異国語のメンと顔の面とがこう、うまい具合にかけ合わさってるこじゃれた言葉やねんで!


分かる?
いけてるメンズ。
実は奥が深いねんで。


「よく分かんないよ。」


もー。
何でよー。
いけてるメンズってゆうてるやんー。
俺一生懸命お伝えしてるやんー。
何笑ってるんー。


「つまりやねぇ、男前って事なん。」
「男前?」
「んー、」


そう男前。
迷彩さんはイケメンで男前なんやでー。
俺の周りイケメンばっかりやけどやぁ、迷彩さんはちょびっと違ったタイプやね。


何ていうん?
やんちゃ系?
むしろ危険な匂い系?

でももしかしたらきゅーとな感じもあるかもしれへんね!


「何、きゅーと。」


もう全然わかんない。
迷彩さんが笑う。


やあそれ。
それがきゅーと!
その顔今日一番きゅーとやったかもしれへんよ。


「アンタ面白いねぇ。」
「ぬん、俺真樹緒。」


真樹緒やで。
とーん、って高く飛んだ迷彩さんのオレンジな頭をぽふぽふ。
俺、真樹緒。
よかったら覚えてくれると嬉しいわ!


「くすぐったいよ。」
「しらーん。」


お名前呼んでくれへんかったら、ずっとぽふぽふするで。
この男前に上がってる髪の毛ぽふぽするで。
ええの。
崩れてしまうで。
ええのー。


「いいよ。」
ぬーん…
「あっはっは!」


負け。
俺の負け、ってぺそって力抜けてオレンジな髪をもふもふしとったら迷彩さんが思いっきり笑い出した。
もう笑わんとって!って、唇とんがらせて迷彩さんの背中にくっついてたんやけど。


「ねぇ、真樹緒。」
「ぬ!?」


え、呼んだ?
あれ呼んだ?
今迷彩さん俺の事呼んでくれた?
まじで!!
真樹緒って呼んだ!


「俺様は迷彩さんじゃないよ。」
「うう?」


くるって振り向いた迷彩さんはまだちょびっと笑ってる。


でもおっけ!
全然おっけ!
もっと一杯わらったって!
それからもう一回真樹緒ってどうぞ!


「真樹緒、」
「はい!」


はいはいはい!
手ぇを上げて迷彩さんの耳のとこから乗り出した。


ぬーん。
名前呼んでくれたー。
迷彩さん名前呼んでくれたー。


「だから迷彩さんじゃないってば。」
「う?」
「俺様の名前は猿飛佐助。」
「さ?」


さる?
おさる?
迷彩さんの名前はおさる?首かしげたらやぁ。


猿飛佐助ね、
「にょー…おひゃめやん。


さっきの伊達さんも言ってたけどよく伸びる頬っぺただね。
餅みたい。
そう言うて俺のほっぺた引っ張るん。


むー。
おちゃめやん。
真樹緒君の可愛いおちゃめやん。



「ほら、言ってごらん。」
「さるとびさすけさん。」
「うん。」


俺も名前で呼ぶから俺の事も名前で呼んでよ。


さるとびさすけさんが笑う。
あのきゅーとな笑顔で笑う。


やあやあでもね。
お名前で呼ぶのは嬉しいんやけどね。
俺も呼んでもらうんは嬉しいんやけどね。
もっとこう可愛いさるとびさすけさんにはかわいい呼び方をつけたいってゆうか。
ほら、おシゲちゃんみたいな。
素敵なあだなをつけたいってゆうか。


「ぬーん、」
「真樹緒?」


さるとびさすけさんやろう。
さるとびさん。
さすけさん。
どっちも素敵やけどちょっとまだ固いよねー。
フレンドリー感が足りやんかんじよねー。
ぬんぬんそしたらやあ。


「真樹緒?どう、」
「さっちゃん。」
「へ?」
「さるとびさすけさんはさっちゃん。」


さっちゃんでいこう!
佐助のさっちゃん。
かわいい!!


「さっちゃん?」


それ俺様の事?


「可愛いやろう?」


さっちゃん。
猿飛さっちゃん。
猿飛の方も可愛くって捨てがたかったんやけどやー。
名前の方をもじってみました。


「どお?」


どお、さっちゃん。
俺結構お気に入り。
さっちゃん。


「真樹緒がそう呼びたいならいいよ。」


やっぱり後ろから覗き込んだらさっちゃんはにっこり笑って。
真樹緒は面白いねって頭を撫でられた。


おおお!
新鮮!!


政宗様やこじゅさんにやられるのとはまた違った感じ。
おシゲちゃんとも違った感じ。
何や照れてしまうやん。


「へへ…」
「真樹緒?」


首を傾げたさっちゃんの首にぎゅー。
ちょっと苦しかったらごめんなさいねー。


「さっちゃーん。」
「んー?」


お城に来てくれてありがと。
ここまで連れてきてくれてありがと。
真樹緒って呼んでくれてありがと。
まだまだ一杯あるねんで。


政宗様を助けてくれてありがと。
こじゅさんも、兄やんらも、助けてくれてありがと。


「さっちゃんー。」
「何、真樹緒。」


聞こえてるよって。
困ったように笑うさっちゃんの首にずっとぎゅー。


そお?
聞こえてる?
でもええん。
呼んだだけやもん。


「あんな、」
「うん?」
「カイまでよろしくおねがいしますー。」


お願いしますー。
後ろからさっちゃんにぺこり。
お世話になりますってぺこり。
ほんならさっちゃんがびっくりしたような顔になって。


「まかせとけー。」
「うわ…!」


その後にっこり笑って、今日一番なぐらい高く森の上を飛び上がりました!


おおお!!
高い!
ほんでちょっと怖い!!




「あ、さっちゃん。」
「ん?」
「結局面倒事ってなんやったん?」
「ああ、何か伊達軍の人が何人か松永って男に連れて行かれたらしいよ。」
まじで!!


平茸黒たんぽぽ再び!!


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さっちゃんと仲良くなりました!
さっちゃんは初めキネマ主の事を分けの分からない子供だと思っていますが、何か面白い子なのでつい構ってしまった感じ。
この後はちゃんと絆されてキネマ主のお母さんになるんですけど。

  

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