「おー…たかーい。」
「ちゃんと掴まってなよ。」
「はーい。」


どもども。
怒ったら怖いおシゲちゃんの制止を華麗に振りきって皆がまだ起きる前にお城を飛び出したチャレンジャーな真樹緒君ですー。
おはようございます!


ぬー。


「きもちいー。」


今な、朝の爽やかな風を受けて俺は森の上を飛んでるん。
ちょびっと肌寒いけどお日様出てきたしお空は晴れ晴れ。
気持ちええお空の旅なん。
おシゲちゃんに黙って来てもうたとこが気になるけど、ちゃんとお手紙置いてきたから大丈夫。
多分、だいじょうぶ。


「手紙?」
「真樹緒はカイに行ってきますーって紙に書いて置いてきたん。」


お布団の上に。
おシゲちゃんやったら発見してくれてるはず。
発見してじじょうも分ってくれるはず。
字も最近上手になってるから読めるはず。
大丈夫!


「…よく、まぁ。」


あれだけ行っちゃ駄目って言われてたのに。
大物だね、あんた。


「そお?」


やあ、そうそうあのね。
俺を今運んでくれてる人はね、カイの忍さんなん。
迷彩の服着てる男前さんで、昨日の晩カー君と一緒に俺の部屋にやってきてやあ。
俺をカイに連れて行ってくれるってゆうん。
何で?って聞いたんやけど忍さんに「行きたくないならいいけど」って言われてしまって。


いやいや!
行きたい!
行く!
右手を上げてお返事。
どういう理由かはわからへんけどどうぞよろしくお願いします、ってお辞儀したらひょいっとその迷彩な忍さんが俺を担いで飛び立ったん。


ぬーんはやわざ。


「忍さんてすごいねんなー。」
「ギャァ?」
「カー君もそう思う?」


ギャギャギャ。


なー。
こーちゃんといいこの迷彩忍さんといいすごいでなー。


カー君はな、俺のお手紙足に結んだまんま森でさまよってたんやって。
バサバサ飛んでた時にこの忍さんが見つけてくれたみたい。
「この文書いたのあんた?」ってやってきた迷彩忍さんはどうやらカイの人らしくてやぁ。


やから聞いたん。
「政宗様、カイについた?」って。
ほんなら忍さんの眉間に皴が寄ってもうてなぁ。


「着いたけど、無事では無いね。」
「…そっかー。」


やっぱり政宗様は怪我してるみたいなん。
カイのお屋敷に運ばれたまんま目ぇ覚ませへんねんて。
山をお馬で走ってたら爆発に巻き込まれたらしいよって、その忍さんが言うん。


爆発ってあれやん。
もうあれしかないやん。
絶対平茸さんの仕業やん。


あの平茸黒たんぽぽめー…
「何か言った?」
「んーんー。なんもないー。」


ほんまどうしたろう平茸黒たんぽぽ。
こーちゃん取り返すだけやったら気ぃ済まないわー。
政宗様の前に連れてって絶対謝らせてやるんやから。
覚えとけー。


「なぁ、なぁ、忍さん。」
「何―?」
「こじゅさん元気やった?」


リーゼントの兄やんも。


皆なぁ、政宗様の事大好きやねん。
絶対心配してると思うんよ。
こじゅさんへっこんでない?
兄やんらもしょぼんとしてない?
大丈夫かなぁ?
ちらって忍さん見たら「そうだねぇ」って。
ちょっと俺を振り返って肩を竦めた。


おぉ。
ここにもイケメンが。
政宗様とはまたちょっと違ったタイプのイケメンが。


「少し面倒な事になってるよ。」
「う?」


面倒?
何が面倒?


こじゅさんも兄やんらもへっこみ過ぎてるとか?
それとも政宗様の怪我がそんなにひどいん?
忍さんの背中をよじよじ。
ひょいって覗き込んだら「こら危ないでしょ!」って怒られた。


ぬぅ。
最近俺、怒られてばっかり!


  

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