「じぃちゃーん!!」
松永さんっていう平茸さんがやってきて、指パッチンしたら山が爆発しました。
ぜっさん消火活動お手伝い中の真樹緒ですー。
もう、ほんまあの平茸さんやってくれるわ!
お山が真っ黒こげやん!
食べごろブロッコリーなお山がまるでここだけ椎茸!
恐ろしい!
「氏政じぃちゃーん!!」
あの後すぐにおシゲちゃんとこに行ったらすでにおシゲちゃん起きてて。
「ちょ、これ何事?」って焦ってたから平茸さんの事を話したん。
ほんならすぐにお馬出してくれてやぁ、氏政じいちゃんのお家に連れてってくれたんやで。
ほら、俺が前こーちゃんと一緒に行ったとこ。
松尾芭蕉とかいてそうってゆうたとこ。
あそこ。
行ったらあそこのお家の近くの木が燃えててん。
爆発した時はものすごい音したけど、お家は巻き込まれてへんかったみたい。
リーゼントの兄やんらも来てくれてな、近くの川から水運んで辺りの木にばっしゃばっしゃかけて一緒に消火活動してくれてるんやで。
ほんでお家覗いたんやけどやぁ、じぃちゃんおらんくって。
もしかしたらどこかで怪我でもしてるんやないの、って俺も桶で水をかけながら氏政じいちゃん探してる訳ですよ!
「じーちゃーん!!」
どこー!
真樹緒が来ましたよー!
出てきてー!
怪我とかしてへんー?
心配―!
はよう出てきてー!
「ここじゃあー!」
「……ぬ?」
「わしはここじゃてー!」
「……!じいちゃんの声…!」
すぐ近くからじいちゃんの声…!
桶の水が無くなって、川に汲みに行きつつじぃちゃーん!って叫んで、ぐるっとお家の周りを一周。
そしたらおうちの裏のちっちゃい崖っぽい山肌にじぃちゃんへばりついてました何それじいちゃんすごい…!
「じぃちゃん!!」
「おお真樹緒か!」
「大丈夫―?」
そうおれー。
真樹緒ー。
助けに来たよ大丈夫!
じぃちゃんに腕伸ばしてよっこいしょ。
そんなに大きい崖ちがうかったから俺でもじいちゃん引っ張れたよがんばった!
「えらい目におうたわい。」
「じぃちゃん怪我とか無い?」
「なんのこれしき!」
むん、ってじぃちゃんは腕を上げてるけど、やっぱり心配。
ちょっとお外に出てた時に爆発があって、爆風に飛ばされてもうたんやって。
逃げる暇も無かったんやって。
それからずっと崖のところにへばりついてたんやって。
心配!!
ちゃんとお医者にみてもろうた方がよくない?
じぃちゃん、もう結構なお歳やねんからやー。
無理したらあかんよー。
ほんまに大丈夫?ってじぃちゃんの着物の土払ってたらおシゲちゃんがやってきた。
「真樹緒!氏政殿いた!?」
「おシゲちゃん!!」
やぁやぁ、おったよー。
じぃちゃんおったよ!
崖みたいなとこにへばりついてた!
怪我も無いみたいやねんけどやっぱり心配ー。
「ほ、お主は伊達の、」
「う?」
あれ?
じぃちゃん、おシゲちゃん知ってるん?
しりあい?
会った事あるん?
きょろっとじぃちゃん見て、それからおシゲちゃんを見る。
「初めまして氏政殿。」
「ぬ?」
あれ、はじめまして?
やのにじぃちゃん何で知ってるん?
きょろきょろしてる俺を見て、じぃちゃんとおシゲちゃんは何か笑ってて。
ぬーん。
何、俺そがいかん。
「伊達の三傑を知らんもんはおるまいて。」
ふぉっふぉっふぉっってじぃちゃんが。
んんん?
さんけつ?
さんけつ。
何や前にこじゅさんも言ってたような気するようなせえへんような。
さんけつ。
字はやっぱりよう分からへんけど、何となく凄いっていう事は分るんふんいきで。
ぬー…おシゲちゃん凄いねんなー。
へーへーほー。
「真樹緒。」
「う?」
「よく分かってないよね?」
「ぬーん。」
ほら氏政殿の怪我見るから庵に入るよ。
三傑はまた今度お話してあげるから。
そう言って俺の頭をくしゃ、ってした後おシゲちゃんはじいちゃんの体を支えながら庵に入る。
俺は慌てて待って!っておシゲちゃんを追いかけた。
お山の火はほとんど消し終わってあたりは白い煙がただよってる。
しんと静まり返る真っ暗なお山の中でその煙はちょっとぶきみで。
嫌な予感と、理由も分らへん寒気がして体が震えたけど考えるのが怖いから、俺は首をおもいきりふっておシゲちゃんを追いかけた。
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キネマ主は今ちょっと爆発の事で頭がいっぱいですが、政宗様の事とか小太郎さんの事とかを全部ひっくるめて無意識に不安になっていたりするんだと思います。
花火とかでもありますが、終わった後暗がりに煙が白く残るのってちょっと不気味なかんじしませんか何か触れそうで触れないところとか…!
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