「こーちゃーん!ちょっときてー!」
「(しゅた)」
「あのね、これ見て。」
「(?)」


あんな、お医者のじっちゃんからお花の種もらったん。
今植えたらなー、春先には咲くんやって!
ふかふかの土に植えて毎日お水やってたら綺麗な花が咲くぞい、ってじっちゃん言うてたよ。
今日はとっても晴れてるし、種まきには絶好のお天気やと思うんやけど!
真樹緒ですこんにちはー。


「一緒にお花の種まこう?」
「(こくこく)」
「政宗様帰ってきたらびっくりさせるん。」
「(こくん、)」


こじゅさんの畑の端っこを貸してもらってほりほり。
こーちゃんにも手伝ってもらってほりほり。
小さい穴を五つ開けた。


「これがー、政宗様でー。」


隣がこじゅさんで、俺やろう?
こーちゃんと、おシゲちゃんも忘れたらあかんよね!
開けたあなに種を入れる。
こーちゃんがその上から土をかぶせてくれた。

へへー。
どんな花咲くんか楽しみやね。


「ほんなら水かけるよー。」


ばしゃっとね。
あんまりかけすぎたらあかんねんで。
そおーっとね。
ここやったら日当たりも良好やし、すくすく育てー。


「(とんとん)」
「ぬ?」


しばらく土がしみ込んだ畑を見てたらな、こーちゃんが肩をとんとんて。


うぬ?
こーちゃんどうしたん?
もっと植える?
首をかしげてみたら空を指差されたん。


空?
何かあるん?
きょろっと首をあげたらなんと!


「カー君!!」


なんと!
政宗様にお手紙運んでもらってたカー君のお帰りですよ!


おおおー早い!
昨日の晩に飛んでもらったのにもう帰ってきたん!?
早い…!
おかえり!


ばさばさ降りてきたカー君は俺の頭にとまって。
もぞもぞと座り込みそうになったところをこーちゃんに捕獲されてましたごめんねカー君ほらちょっと政宗様からのお手紙ついてないかなってかくにんしやなあかんからね。


「こーちゃんついてた?」
「(こくん)」
「やったあ。お返事やー。」


政宗様からのお返事!
俺のお手紙にはな、その日にあったことを書いたん。
何食べたとかー、おシゲちゃんと何して遊んだとかー、こーちゃんと一緒にお泊りしたとかね!
で、そのお返事が返ってきたのですうれしい…!


「えーと…」


何て書いてあるんやろー。
お返事何てくれてるんやろー。
楽しみー。


小さい紙を開いたら政宗様の達筆な字で。


「おおー…」


森ばっかりで旅は面白くないねんて。
もうちょっとで甲斐につくねんて。
甲斐のお土産は蕎麦やねんて。
ぬん!
俺お蕎麦好き!


それから。


「へへへー…」
「(?)」


あんな。
政宗様な。
俺の事、いっつも思っててくれてるんやって。
はよう俺に会いたいやねんて。
本当は連れて行きたかったんやねんて。


「うれし!」


なぁなぁ。
はやく帰ってきてね。
俺待ってるから。
こーちゃんと待ってるから。
こじゅさんと二人で無事で帰ってきてね。


その頃にはきっと植えたお花も咲いてるから。
一緒にお花見ながらお蕎麦食べようね。
そんでちゃんとぎゅうってしてね。



「まさむねさま…」



そん時ふと。
ふと、
何や呼ばれたような気がして空、見上げたんやけど。


「…ええ天気やなー…」


別に水色の空はいつもと変わらんくて。
ただ、すごくすごく晴れてただけやった。


  

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