「ひーまー…」
朝から女中さん達のお手伝いして。
お医者のじっちゃんのお手伝いもして。
いつもは政宗様に構ってもらってる時間帯に政宗様はおらんくて。
とっても暇してる真樹緒ですー。
こんにちはー。
政宗様の部屋の真ん中で、ぼーっと天井眺めてみた。
うーん。
やっぱりいつも当たり前におる人がおらんようになったら寂しいん。
何やお城の中も静かやし。
ごろん、って寝返りを打ったら政宗様がいつもお仕事してる机が見える。
昨日までやったらあそこにちゃんと背中見えてたのになー。
なんて思いながらもう一回ごろん。
開く気配がうんともすんとも無い障子を睨んでみる。
あそこが開いたらこじゅさんが来て、おいしいお茶とお菓子をくれるのになー。
「…、」
さらにごろん。
うつ伏せになってため息を吐いた。
「あぁーあー。」
もう。
政宗様もこじゅさんもずっと俺を構いすぎやってん。
やから今こんな寂しいねんで俺。
ひっそり心細いねんで俺。
もーどないしてくれるんー政宗様もー。
俺さびしがり屋さんになってしもうてるやんー。
しかも政宗様らがおらん時に気づくとかどんだけー。
「ぬー…」
顔に畳の痕が付くぞ、ってゆうてくれる政宗様がおらんから自分でのそのそ起き上がって。
こーちゃんはお仕事中やから声かけるのはなーって思ってんけどやっぱり暇で。
天井をじー。
あそこにおるやんねえって思いながらじー。
「こーちゃーん。」
「(しゅた)」
ひっそり呟いてみたらシュタっと目にも留まらぬ速さで降りてきてくれました。
きこえてた!
早業!
さすが!
「こーちゃん、今大丈夫?」
「?(こくん)」
「俺ねえ、暇なん。」
やからね。
ちょっと二人でおでかけしいひん?
ほらまだお昼過ぎやん?
俺のお手伝いも晩ごはんの時までないやん?
二人でちょっぴりお城を出ても大丈夫やとおもわない!
「(…ふるふる)」
「え?あかん?」
えええー。
何でー。
こーちゃんなんでー。
ちょっとやで?
そんなに長いことお留守にせえへんよ?
「(…)」
「んー?おシゲちゃん?」
あぁ、そっか!
おシゲちゃん!
ぬんぬんそうやねえ。
おシゲちゃん心配するかもねえ。
おシゲちゃんはちょっぴり心配症やしねえ。
でもやあこーちゃんと一緒やん?
俺一人ちがうやん?
やから大丈夫やと思うん。
ほら暗くなる前に帰ってきたらええんやし!
やから、なあなあこーちゃん。
「おーねーがーいー。」
「(…!)」
おろおろするこーちゃんにおねだり。
必死でおねだり。
なーなー、こーちゃん一緒におってやー。
寂しいん。
この部屋はめさめさ広いし、俺一人ぼっちになった気分。
やから一緒にお出かけしよう?
二人でお出かけしよう?
じぃってこーちゃん見てたらようやく口元がきゅって動いてやっと。
「(………こくり、)」
「やった!!」
こーちゃんのお許しを貰いました!
明らかにしぶしぶやけどお許し貰いました!
やあやあありがとうこーちゃん。
さすが俺のこーちゃん。
俺うなづいてくれるとおもってた!
ありがとうこーちゃん!
ぬんぬんそれでは!
ではではそれでははりきって!
二人でおでかけいって来ますー!!
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