「やー、これ俺の血ちがうん政宗様!」


調度よかった政宗様俺今から政宗様呼びに行こうとおもってたん!

今からさぁお城に戻ろうかーて思てたら向こうから政宗様がやってきてくれて、まさかのグッドタイミングに驚きをかくせません真樹緒です。
こんにちは!


あれ?
でも政宗様?
ぬん?
何やものすごい怖い顔してる?
政宗様、どうしたんそんな顔して。


「……お前の、血じゃねぇのか…」
「んー?うん。」


ほら。
これはお母さんの血やもん。
俺とちがうんよ。
着物でな、血をふいたん。
傷口が分かりにくかったし、綺麗にしやなあかんし。
ばんそうこうも血だらけやったらくっつかんからね。


「…そうか…違うのか…」
「政宗様?」


首を傾げてみたら政宗様にぎゅってされた。
ぎゅってされて耳元で「心配かけんなコラ」って。


「…まさむねさま、」


ぬん、
やあやあそうなん。
俺結局政宗様に黙ってお山に来てしまって。
まさかこんな事態になると思って無かったからやあ。
薬草とってすぐに戻るつもりやったんやけど。
すごくしんぱいかけちゃって。
怪我したお母さんを発見できたんは良かったけど、…けど、ぬん。


ごめんね政宗様。
ちょっと反省した俺。
政宗様に心配かけて反省した俺。
ほんまにごめんね。
俺大丈夫やから、ってそのまま政宗様に抱きついた。


「…、で?」
「んん?」
「誰の血だ、」


まだちょっと政宗様の雰囲気がぴりぴりしてる。
武将か、って俺をぎゅってする腕の力が強くなる。
そんな政宗様の背中を俺は大丈夫って言いながらぽんぽん撫でた。
やあやあそんな怖い顔せんでも大丈夫やで政宗様。
危ない事なんか何にもなかったよ。
誰の血って、ほらあれやんあれ。


「…カラスの…」
「鴉?」
は!そうやん政宗様!!」
「Ah?」


あっちでな、カラスのお母さんが怪我して倒れてるん!
ものすごい血ぃでな、今にも死んでまいそうなん!
大変なん!
今度はばんそうこうでも止まらへんの!


「こっち!」
「っ!?真樹緒!?」


政宗様の手を引っ張ってさっきの草むらへ走る。
カー君が待ってるからって走る。
いそげいそげ。
あれだけ血が出てたらほんまにとっても危ないん。
待て!って叫ぶ政宗様を引っ張って戻って来た草むら。
指差して政宗様を見上げた。


「ほら、あれ!!」
「Ah―…?」


見て!
あそこの木の枝にカー君が止まってるやん?
そこの下にほら、ちゃんと見て。


「…、真樹緒。」
「ぬ?」
「…あれは何だ。」
「…カラスのお母さん。」


黒い羽あるし、おっきいし!
カー君のお母さん。
やあ人間やで?
ぬん、人間。
俺ちゃんと分かってるよ?
でもほらカー君がお傍はなれやんやんか?
やから俺絶対あの人カラスのお母さんやと思うん!
やから早く助けたって?


「真樹緒、」
「なん?」
あれは伝説の忍だ。


んん?
伝説?
何が伝説。


母さん?
伝説の母さん?


伝説の忍だ。
おひゃめやん、


むにょーんと俺の頬っぺたを引っ張った政宗様が真剣な顔でもう一度言いました。
おちゃめやん。
真樹緒君の可愛いおちゃめやん…!


  

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