ちかちゃんのお船で一日過ごして朝が来て、眩しい太陽の光で目が覚めた。
なんとちかちゃんのお船のお部屋にはベッドがあって、お久しぶりのふわふわのおふとんとふわふわのクッションにテンションが上がって昨日の夜は中々寝つけやんかったんはないしょ。
きゃあきゃあ騒ぐ俺がようやく静かになったのは、政宗様がちっちゃいあくびをして「もう寝ろ」って俺を腕の中に閉じ込めて部屋の灯りを消して、おでこにちゅってしてくれた頃。
それでも俺はまだそわそわしてて、窓から見える星いっぱいのお空とか動いて行く雲を見ながら波の音を聞いてたん。
やって今日寝て、明日目が覚めたらもうそこは奥州なんやで!
もうずーっとずーっと帰って無かった奥州なんやで!
そんでもってお久しぶりのお城なんやで!
これはもう俺がそわそわするのも当たり前やと思わない!
政宗様に「まだ寝ねぇのか」って言われる度にそうやって答えたんやけど、政宗様は俺の前髪さわったりほっぺた触ったりちゅうするのに忙しくってあんまりちゃんと聞いてくれてへんかったん。
もー。
やだわー政宗様。
俺が真剣にお話してるってゆうのにやー。
そこは俺のお話にうんうん頷いて「そうだな」ってゆうてくれるところちがうん!
「Ah?噛み締めてンだろ?」
「ぬ?何を?」
「幸せってやつを。」
今まで俺に終ぞ冷たかったそいつもどうやらそろそろserviceをしてくれるらしい。
嬉しいこった。
笑いながら政宗様がゆうたけど俺は何の事か分からんくってやあ。
もぞっと首を傾げて見たらまた政宗様が笑ってちゅうをした。
ぬん、政宗様とのちゅうは好きやけど。
とっても気持ちいいけど。
政宗様がイケメンやから何だかやっぱり照れるよね!
恥ずかしいよね!
「ぬん…」
思い出しながらおふとんの中もぞもぞ。
ちょっと狭い政宗様の腕の中をもぞもぞ。
あんまりもぞもぞしてたら政宗様の腕の力が強くなるからちょうどいいところを探して目を閉じた。
明日はきっと晴れなんやって。
元就様がゆうてたよ。
四国を出た時はどんより曇り空やったから、それにもちょっとテンション上がるよね。
目をつむって、はやく目覚めたらええのになーなんてやっぱりわくわくするのが止まらんまんま、いつの間にか俺の目はとろけていった。
政宗様の心臓の音とか、波の音とかが、おふとんのあったかさとか、政宗様の腕のあったかさとかがとっても気持ち良かったからやと思う。
とろとろとろけていつの間にかぐっすり夢の中で、その夢も覚えてへんけど多分楽しい夢で。
「ぬん…!」
あんなに昨日寝るのが遅かったってゆうのに俺は先に寝た政宗様よりも早く目が覚めた。
元就様がゆうてたように、お外はばっちり晴れて太陽がきらきら輝いてるん。
政宗様、政宗様、って政宗様を呼んでもまだお休み中の政宗様の目は開かんから俺は政宗様のおでこにちゅうをして、がっしり背中で組まれた腕から抜け出そうともぞもぞ。
今やったら政宗様ぐっすり寝てるから抜け出せる気がするしもぞもぞ。
そおっと政宗様の胸にくっついてゆっくり体を下にずらしてみる。
「そおーっと、そおーっと…」
やあほら政宗様はおつかれやから。
昨日ちょっと戦っておつかれやから。
手当てはおシゲちゃんやこじゅさんがしてくれたけど、それでも怪我人やから。
体をそおっと政宗様の腕から抜いてベッドに片手をつく。
ギシって音が鳴ってどっきりしたけど政宗様はまだ目をつむったまんまでほっと胸をなでおろした。
もう奥州かな。
でもお外が静かやからまだかな。
後はベッドから抜け出すだけ、ってゆうところやったのに。
「Hey、sweetどこへ行くんだァ?」
「ぬん…!」
足をがしっと。
足首をがしっと。
後右足だけやったのにがしっと。
「政宗様、起きてたん?」
「お前が俺にkissをした辺りからな。」
「けっこうはじめっから…!」
もう!
政宗様!
始めっから起きてるんやったらちゅうした時に教えて欲しかったわ俺!
さっきのどきどき何やったん俺政宗様を起こさんように頑張ってたのに起きてたとか!
政宗様に足首を掴まれてゆっくり引っ張られる。
半分以上お布団から出てた俺の体はベッドの中に逆戻り。
ばふ!って大きな音と一緒にお布団ごと政宗様に抱きしめられた。
「おはよう、政宗様。」
「morning、sweet。」
なァーに膨れてんだ。
「政宗様が俺をだましたりするから。」
「お前が勝手に勘違いしただけだろう。」
「ぬーん!笑わんとって!」
今はそのイケメン笑顔がにくいわ政宗様!
ぷっくり膨れたほっぺたを政宗様の両手でしぼまされて口から変な音が出る。
その変な音に政宗様が笑って。
何だその音はって笑って。
「おもしれえ音だな」って俺をぎゅっとして笑って。
そんなに面白かったやろうか、って俺はちょっと思ったんやけど政宗様が楽しそうやから俺も一緒になって笑う。
お布団にくるまれながら笑う。
「楽しそうなところ悪いんだけど。」
「ぬ?」
「Ah?」
「そろそろ起きておいでよ二人とも。」
「!おシゲちゃん!」
お布団でくるまって、二人でくっついて、けらけら笑ってたらお部屋のドアがいつの間にか開いててそこにはおシゲちゃんが。
腕を組んでにっこり笑って、でも何となく笑って無い感じのおシゲちゃんが。
「邪魔するな成実。」
「何言ってんのもうとっくに夜は明けてるんだよ。」
唯でさえここ人様の船だっていうのに自制してくれない。
近江のお母さんに白い目で見られるのは俺なんだよ。
「ほら真樹緒、おいで。」
着替えるよ。
いつまでもごろごろいちゃいちゃしてないでさっさと起きておいで。
「もう奥州着いた?」
「あと少しだね。鬼庭殿が港まで迎えに来てくれるそうだよ。」
「!起きる!」
「wait!待て真樹緒!」
お布団と政宗様の腕から抜け出して、今度こそしっかり抜け出してベッドを出た。
政宗様に捕まらんように急いでベッドを出た。
やって気抜いてるとすぐに政宗様にお布団に戻されてしまうから!
「おシゲちゃん…!」
それからぼふん!っておシゲちゃんにダイブ。
ぎゅって抱きついたら「おはよう」っておシゲちゃんにぎゅってされる。
それに「おはよう!」ってお返事しながらぎゅうぎゅうぎゅう。
こじゅさんも起きてるんやって
ちかちゃんや明智の光秀さん、むさし君も起きてるんやって。
なんてゆうかむさし君は一番やったらしいよ起きるの。
元就様はお船が違うから分からんけど、日の出を見るのが日課ってゆうてたからきっと起きてるはず。
こーちゃんはいつも俺より早いからやっぱり起きてるよね。
ぬん、ほんなら俺と政宗様が起きるの一番最後やったんちがうんまじで!
あれやあまじで!
「政宗様も早く起きやなあかんよ!」
「そうそう梵も早く支度してよ。」
小十郎が来るから。
「shit!」
政宗様がお布団をばさっと跳ねのける。
それを見ながら俺とおシゲちゃんは笑いながら逃げるようにお部屋の扉を閉じた。
政宗様怒ってたね。
真樹緒を取られたからね。
そんなお話しながらおシゲちゃんのお部屋に入って着替え。
もう港はすぐ近くで、鬼さんももうすでに港で待っててくれてるっていうしで、俺は着替えの最中もなんていうかうずうずそわそわしっぱなしで「動くんじゃないよ真樹緒!」って怒られる。
「なあなあおシゲちゃん!」
「はいはいなあに。」
「お久しぶりの奥州やね!」
「そうだね。」
「お久しぶりのお城やね!」
「そうだね。」
「お久しぶりの鬼さんやね!」
「、そうだね。」
「ぬん!」
おシゲちゃんがにこにこ笑うから俺も笑って、きゅって絞めてもらった帯にお腹がきゅってなりながら「できたよ」って背中を叩かれて俺はダッシュ!
「ちょっと真樹緒どこいくの!」
「お船の先頭!」
後どれぐらいか見て来る!
行ったらむさし君とか明智の光秀さんとかおるかもしれやんし!
ちかちゃんがおったらちかちゃんにも聞けるし!
「あと少しだって言ってるのに!」
「やって待ちきれへんもん!」
皆におはようも言うてくるー!
ぬーんいってきますー!
「風魔と先に降りたりしたら駄目だからね!」
「はーい!」
「返事ばっかりいいんだから!」
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