「ぬ?おさけ?」
「ちょっとよこせ。」
「うい。」
むさし君がお口をもぐもぐしながら近くにあったおちょこを持って俺に差し出した。
俺は首をかしげながらそれにジュースをそそぐ。
ぬんぬんむさし君これお酒ってほんま?
でもこれ甘くっておいしくって全然お酒っぽくないよ?
ほら俺がいくらでも飲めるぐらいやから!
やあ何か熱いなーとか気持ちいいなーとかは思ってたけど。
体がぐらぐらぐらぐら動くなーとか思ってたけど。
ぐぐぐ、って一息にジュースを飲み干してしまったむさし君を覗きこんだらぺろっと舌を舐めてしばらく考えて。
「やっぱりさけだ。」
あんずのさけだ。
あまいからってのみすぎたらようぞ真樹緒。
きーつけろ。
「ぬ?」
ええそお?
そおこれお酒?
ぬーん。
そういえばー。
そいえばちょっとやっぱり気持ちいいなーって思ってしまうけどー。
ふわっとしてしまうなって思うけどー。
じっと手の中のおちょこを見る。
お隣のきゅうすを持ちあげたらまだあんずのジュース、ぬん、お酒?はいっぱい入ってて。
取り合えずおちょこの方をごくん。
ごくんごくん。
やっぱり甘くっておいしいん。
「甘くてふわふわ。」
やあ、ふわふわ。
体もゆれるし頭がふわふわ。
ほっぺたはぽかぽかしてるし何だかとってもいい気持ち。
もう一回おちょこについでごくんごくん。
「あ、なくなった。」
飲めるだけ飲んでさいごの一滴もぺろり。
やってほんとにおれごのみのお味やったから!
無くなったのがとってもざんねんでほっぺたぶう。
ぬーんもっとのみたかったなー。
おいしかったのになー。
やあほんとにジュースやないんか、なー。
おさけって感じせえへんしなー。
おれ、おれ、べつによっぱらってたりせえへん、しー。
「おさけー?まさかー。」
とっても顔があついのはみんなといっしょにご飯たべてるからで。
とってもふわふわしてるのはみんなといっしょが楽しいからで。
ぐらぐらゆれてるんは、ぬん、ゆれてるんは。
「ぬーんなんでやろー。」
立ち上がろうと思ったのに体がぐらっとしてたたみに手をついた。
あれやー。
あしもぐらぐら。
からだもぐらぐら。
立たれへんからそのままよじよじたたみをはって。
「むさし君、むさし君。」
なあなあむさし君。
まだまだご飯をもりもり食べてるむさし君のところへ。
俺がのんだのとはまたちがう大人のおさけをのんでるむさし君のところへ。
「むさしくんー。」
「あん?どうした真樹緒。」
「あしぐらぐらするん。」
あしだけやなくってからだとか、全体てきにぐらぐらするん。
でも頭はふわふわしてきもちがいいん。
ぬーんちょっと飛べそうなかんじー。
飛べそうできもちよくって、何かたのしいん。
「よってんなおまえ。」
のみすぎんなっていっただろ。
どーすんだおかみにおこられっぞ。
「よってへんもん。」
「よっぱらいはたいてーおんなじこといいやがんだ。」
「ちょっとふわふわして楽しいだけやもん。」
「あ、こら真樹緒おめーなにする。」
おくちいっぱいにご飯をつめこんでたむさしくんのおひざに乗りあげる。
あぐらかいてるおひざに乗りあげる。
まだまだご飯にてをのばしてるけどそのすきをついてあぐらへよじよじ。
おはしでちょっと遠くのおさしみねらってたむさし君のあぐらへよじよじ。
「めしがくえねーだろ。」
「むさし君、ごはんたべすぎやとおもうん。」
ほっぺたにごはんくっついてるよ。
とってあげるね。
「まだくえる。」
おまえこめつぶくちにはいってねーぞ。
なにしてんだおまえのかおにくっついちまったじゃねーかやっぱよってんだろ。
「真樹緒、あとでかまってやるからひざからどけ。」
めしがくいにくい。
「いややおれむさし君にくっつくん。」
むさし君はおれとくっつくんいやなん?
おれむさし君のことだいすきやのに!
ぎゅーってしてたいのに!
「むさしくんはいやなん?」
「いやじゃねーよ。」
ごつ、っておれのおでこにむさし君がじぶんのおでこをくっつける。
そのままぐりぐりって動かされて、おれのふわふわしたあたまはもーっとふわふわになった。
「くいにくいっていってんだろ。」
「たべてやんとおれにかまって。」
おれ今とってもきもちいいん。
むさし君にくっつきたくってしょうがないん。
「むさしくん。」
「おれさままだくいたりねー。」
「むさしくん。」
おねがい。
ぎゅってして。
「むさしくん。」
おねがい。
「………しかたねーなー。」
ほらこい。
「ぬん!むさしくん!」
おれがぎゅうってむさしくんにくっついたら、むさしくんがりょうてに持ってたおはしとお茶わんをほうりなげた。
しかたねーなーってため息をはきながらそのてをおれの背中にまわしてくれる。
ぴっとりむさしくんとくっついてほっぺたもすりすり。
せなかをぽんぽん。
それからぎゅう。
やっぱりむさし君だいすき!
ぬーん!
「だいすきやからねえ、ちゅーしよう。」
「あ?」
「ち ゅ う !」
ちゅうってねえ、だいすきな人とするんやで。
そんでもっておくちとかほっぺとかにするん。
だいすきだいすき!っていうきもちがいっぱいになったときにだいすきをつたえるためにするのよー。
ぬーん。
おれむさしくんのこととってもすきやからちゅうしたいん。
「ちゅう。」
「真樹緒おめーやっぱりよってやがる。」
さけくせーぞ。
おれがおくちをちゅーって出したらむさしくんがそのおくちをつまむ。
くんくん、ってにおいをかいで。
やっぱりさっきのさけじゃねーかって、おれのお口をぺろり。
「ぬ?」
「あ、あめーな。」
うまい。
ぺろぺろぺろぺろ。
むさしくんがおれのくちびるをなめる。
やあやあむさしくん待って!
なめるん待って!
おれちゅうしたいん。
なめられるのはくすぐったいん。
ちゅうがいい!
「いっしょだろー。」
「ちがうんー。」
「いっしょだろ。」
「ちがうんー。」
「いっしょだ。」
「ちがうん!」
ふたりでくすくすわらいながら、でもむさしくんはおれのくちびるなめたまんま、ふたりでくっついてくすくす。
じ、ってむさしくんを見て。
むさしくんもおれを見て。
「ちゅー。」
むさしくんにちゅう。
おくちにちゅう。
むさしくんの飲んでたおとなのおさけのあじがちょっぴりしておれもぺろっとなめてみた。
あんずのおさけとちがってちょっとにがいかもー。
もういっかいだけなめてむさしくんを見る。
「やっぱりいっしょじゃねーか。」
「ちがうもん。」
またふたりでわらってかおを近づける。
まだまだふわふわしてるから、もーっともーっとちゅうするん。
むさしくんがせっかくのり気になってくれたから。
たべるん止めてくれたから。
なあなあむさしくんちゅーしましょ!
「真樹緒。」
「ぬん?」
「真樹緒はおれさまのことがすきか。」
「ぬん!だいすき!」
「そうか、おれさまもすきだ。」
おんなじだな!
ぬん!
むさしくんがおれをぎゅっとする。
さっきよりもめいっぱい力をこめて。
かおがぐんと近づいておれらはやっぱりけらけら。
おれもよってるかもしれやんけど、むさしくんもきっとよってるよね。
たのしくっておもしろくって、そのまままたむさしくんとちゅー。
ぬん、ちゅーしようと思ったんやけど。
「はなれろ真樹緒!」
「ぬ?」
ドッカァァァァァン!!
……
………
「ぬ?」
思ったんやけどおれとむさしくんのあいだになんだかきれつが。
おもいっきりえぐったようなきれつが。
とってもりっぱなたたみにきれつが。
ぬー?
なんで?
「(……)」
「じゃますんじゃねーおしのび。」
「(じゃきん)」
「あれ?こーちゃん?」
「真樹緒、あぶねーからおかみのとこいってろ。」
「ぬん?むさしくん?」
どうしたん?
こーちゃんとむさしくんどうしたん?
なんでこーちゃんいつものクナイやなくっておっきなしゅりけんなん?
むさしくなんでいつのまにオールもってきてるん?
ぬーん?
「いくぞおしのび!」
おれさまさいきょう!
「(ずがががががが!)」
こーちゃんとむさしくんがはしってお庭へいってしまう。
お庭へいってしゅりけんを投げたりオールをとばしたり。
どんどんがんがんすごいおと。
「あああーいってもうたー。」
ぬーん。
いってもうたー。
せっかくむさしくんにちゅーしようとおもったのに。
せっかくこーちゃんにも会えたのに。
お庭をながめながらしょんぼり。
せっかくたのしかったのになってしょんぼり。
しょんぼり。
しょんぼり。
……
………
「ぬん、あけちのみつひでさんのとこいこー。」
やあやあむさしくんがいけってゆうてたし。
もうきっとおはなし終わってるとおもうし。
おれもっとちゅうしたいし。
まだまだ止まらんかんじやし。
あけちのみつひでさんともちかちゃんとももとなりさまともお話したいし!
ちゅうしたいし!
「ぬんぬんではではれっつごー!」
……
………
「…明智。」
おい明智。
生きてっか。
しっかりしやがれ。
酒の席の事じゃねぇか。
ただのじゃれ合いだろうよ。
「鬼…」
ふふふふふ。
何をおっしゃっているのです。
私気は確かですよ。
腕を離してくれませんか。
鎌はありませんがそんなもの必要ありません一撃で坊やを沈めて見せましょう。
最近少しは可愛げも出て来たと思っておりましたなのに本当に残念です。
「我の屋敷を壊すで無いぞ貴様等。」
「おィ毛利、てめェも手を貸しやがれ。」
「断る。」
貴様等のおかみであろう貴様等で面倒を見よ。
我が興味あるのは真樹緒のみよ。
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ちゅーまご覧下さってありがとうございます。
第一回目はむさし君とでした…!
ニルむさし君はこういう事にとても淡泊なので何されても余裕で対応してくれますもちろんザルなので酔ってませんよ…!
照れもせず、焦りもせずキネマ主を受け止めてくれますやだ男前。
一緒になって騒ぐ事もあるけれど、とりあえずキネマ主の事は守らなきゃと思ってくれている様なので、頼りがいはあるのですよ実は!
最後はおかみが手を出す前にお嫁さんがキレてくれたのでやっとこ次へ進めまする。
でなければこのままずっとむさし君とイチャイチャする事に(汗)
次のターゲットは元親さん。
あ、でもおかみがピリピリしているのでおかみを黙らせるためにおかみが先かもしれない、、、、予定は未定ですが…!
元親さんはのりのりです。
舌とかも使ってくれます。
おかみは固まりますがちょっと光秀様が出ちゃって我にかえって「私は今何を…!」と更に固まる予定。
どうぞ最後までお付き合いくださいませ…!
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