日が暮れて、夜もたけなわ。
厳島神社にも灯りがともってとっても綺麗。
橙色の灯籠と、橙色の御殿がゆらゆら揺れて夢の中にいるみたい。

あれよね。
神様が住んでるってきっと本当よね。
真っ暗な海の上に御殿が浮かんで見えて、ちょうしんぴてきー。


ぬん。
近江のお母さんと「何で人の話も聞かずに勝手な行動をとったのか」ってゆうんと「何でもかんでも忍を使うんじゃありません」ってゆう事について小一時間ほどお膝をくっつけてお話した真樹緒です。
足がじんじょうやないぐらいぷるぷるしてお話終わった後は立てませんでした真樹緒です。
お隣で一緒にお話聞いてくれてたむさし君とこーちゃんは平気やったのに俺だけ足がしびれて動けやんかったん真樹緒です。
こんばんは!


せっかくね、お話終わった後に元就様に厳島神社見せてもらおうと思ったんやけどね、そのお話に時間がとってもかかってもうてねー。
お耳にたこができるぐらい「無茶をするんじゃありませんよ」「行動する前に報告しなさい」っていうお話しててねー。
神社に灯りがともってしまうぐらい暗くなってしまったから見学は明日になったん。
夜の神社もとっても魅力的やったんやけど、やあほら夜は宴を開いてくれるっていうお話やったから!
皆でごちそう食べるから!


「ってゆう事でお部屋にお呼ばれしたんやけどー。」
「(?)」
「あ、こーちゃん。」


やあやあこーちゃん。
こーちゃんはちょっぴりお久しぶりやから皆さんにごあいさつしておこうね。
俺はお部屋で会えたけど皆さんはお久しぶりやからね。
ぜんかいはお仕事でおらんかったもんね。
安芸のお国を見まわってくれてたんやもんね。
いっつもありがとこーちゃん!


「(ふるふる)」
「またまたごけんそんー。」


ではではこーちゃん。
ぬんぬんこーちゃん。
お久しぶりのごあいさつやで。
みなさんにこんにちはーって。
可愛いこーちゃんを見せてあげて!


「はい、こんにちはー。」
「(ぺこり)」
「よくできました!」


いいこ!
さすが俺のこーちゃん!
いいこね!


こーちゃんの頭をなでなで。
優しくなでなで。
いいこいいこ。
はい、いいこやからこっちにこよーねー。
ぬーん。

こーちゃんにお隣に座ってもらってお部屋をぐるっと見渡した。
俺らが入ってもまだ十分広いお部屋には俺とこーちゃんと、むさし君、それから向かいかわに明智の光秀さんとちかちゃんと元就様がおって、その間にはごちそうがたーっくさん並べられてるん。
綺麗なお姉さん達が次々にお料理運んで来てくれてんで!
すごい!
お部屋からはライトアップされた厳島神社が見えて景色も抜群。
冷たい風が入って来るけど、お部屋がちょっと暑いくらいやから気持ちいい。


ぬん、けど。
やけど。


「やけど、ちょっと皆が遠いー。」


明智の光秀さんとちかちゃんと元就様はごちそうを挟んでむこうがわでゆっくりお酒なんかを飲みながらお話してるん。
正式なお話やないけど、それでも大人のお話があるんやって。
元就様とちかちゃんが明智の光秀さんに聞きたい事あるんやって。
それは多分俺らがどうして四国にやってきたとか、明智の光秀さんが何で俺と一緒にいるかっていう事とか、もしかしたらこれからの事とかかもしれやんけど。


「…俺も混ぜてくれたらいいのにね!」
「(?)」
「はい、こーちゃんお魚あーん。」
「(あー)」


おいしい?
(こくん)
やあほんなら俺もいただきますー。


「もぐ、ぬん、ほら、もぐ。」


せっかく元就様に再会できたんやし、もぐ。
しかも今まで会われへんかったんやし、もぐもぐ。
俺も元就様とお話したいなーって、もぐもぐもぐ。
おにぎりも一緒に食べたいし、もぐもぐごくん。
むさし君はむさし君でお隣でがっつりご飯タイムやしねー。
あの細い体のどこに入るんかってゆうぐらいもりもりご飯たべてるしねー。
俺に構ってもくれへんしー。


「ごはんはとってもおいしいけどね!」


やあ別にあっちに行ったらあかんなんてゆわれてへんけどー。
でもふんいき的に俺が行かんほうがお話はずみそうやしー。

煮付けたお魚をもぐもぐ。
こーちゃんと一緒にもぐもぐ。
ちゃんと骨をとってもぐもぐ。
こーちゃんのお口にお魚ほいっとね、それから俺もぱくん。

ぬん、こーちゃんこうやらんとあんまり一緒にご飯たべてくれへんの。
お忍びさんは食べやんでも大丈夫、ってゆってすぐ屋根裏にいってしまってやあ。
俺としてはやっぱり大好きなこーちゃんとご飯も一緒に食べたいってゆうか。
やから皆があつまる時とかはこうやってね、いつもご飯食べるんやで。

ぬんぬんほんなら次は何をいただきましょー。
今お魚いただいたから今度はお肉にしようかなー。
あのお魚のお隣にあるお肉、きじのお肉なんやって。
俺きじのお肉食べるんはじめて!
お魚の入ったお皿を平らげて、今度はきじのお肉に手を伸ばす。
そんならぷわん、って何だかいいにおい。


「ぬん?あれ?甘い匂い。」


なに?
デザート?
お料理の匂いにまじって甘いにおいがぷわーんとかおってくる。
果物みたいなにおい。
ここではみずがしってゆうんやっけ、みずがし。
きょろっと探してみたけどでもそのみずかしどこにも無いし。
でもあんずみたいな甘い匂いはずーっとかおったまんま。


「あ、これ?」


もしかしたらこれかな、って持ち上げたんは綺麗な黒色をしたきゅうす?みたいな入れ物。
何だか高級感がいっぱいのそれに鼻を近づけてくんくん。
そしたらもっと甘い匂いが鼻いっぱいにぷわん。


「ジュース?」


きゅうすを振ったらちゃぷんって音がする。
ぬーん。
果実水かなあ。
ほら、甘い果物の味がするお水。
っていうかジュース。
お兄もね、梅とかあんずとかでよく作ってくれるんよ。
氷砂糖といっしょに果物つけこんでね、十分つかったら冷たいお水と一緒にまぜて飲むん。
夏の暑い日とかはとってもおいしくってひまちゃんと二人でごくごく飲んでしまうんやで。
それと一緒やろうか。
やあやあそれならちょっと喉が渇いてたからいただこうかなー。


「ぬんぬんいただきますー。」


きゅうすと同じ台に乗ってたおちょこにそろっとそのジュースをそそぐ。
とくとくとくとく。
うっすら赤い色がついたジュースはとってもおいしそう。
ぺろっと一口なめたら口の中いっぱいが甘いん。


「ふぉぉぉぉぉ!」


あまーい!
あまい!
何てゆうんやろうこう、作りものやないってゆうん?
果汁が百パーってゆうん?
果物の味がちゃんとして、甘くて、甘くて、でも甘すぎやんくって。


「おいしい…!」


こーちゃんこーちゃんちょっと来てこーちゃん!
このジュースとってもおいしいよこーちゃんも飲んでみて!
おちょこにいっぱいジュースをそそいでこーちゃんを呼んだ。
お隣におるはずのこーちゃんを呼んだ。
でもこーちゃんおらんくって。
さっきまで隣におったこーちゃんが一瞬のうちにおらんくって。


「あれ?」
「おしのびならさっきやねうらにあがってたぞ?」
「むさし君。」
「これからやしきんなかみまわるんだってよ。」
「えー、またー?」


こーちゃんさっき見回りしたのにー。
これからいっしょにご飯やったのにー。
ぬー。


「さっきはそとでつぎはなかなんだろー。」
「俺、元就様のお屋敷危ない事ないと思うん。」
「おしのびのしごとだあきらめろ真樹緒。」


あきらめてめしをくえ!
うめーぞ。
ただでさえおめーちっさくてかりーんだからいっぱいくわなきゃおれさまみたいにつよくなれねーぞ。


「…むさし君お口から魚のしっぽ出てるよ。


まるかぶりしたんむさし君。
キリっとした顔で言われたけどもお口から魚のしっぽ出てるよ。
それ多分骨ごと食べたらあかんお魚やと思う喉がちょう危険…!


「あー?だいじょーぶだ、ほら真樹緒もくえ。」
「ぶー。」


俺たくさん食べてるよ。
むさし君はさっきから食べ過ぎやと思うん俺。
お腹こわさへん?
手がお口とお皿との往復しかしてへんけど!
今もお口がどんぐり詰め込み過ぎたリスみたいになってるよ大丈夫なん…!
むさし君を見ながらこーちゃんに渡そうと思ってたジュースを一口ごくん。
甘いお味が口いっぱいにひろがってちょっとしょんぼりした気分も復活した。

んーやっぱりおいしー。
ごくごく飲めちゃうよねー。
さすが果汁百パージュースよねー。


「あん?おい、真樹緒。」
「ぬ?なあに?」


むさし君もジュース飲む?
これおいしいよ。
甘くってね、あんずの味するん。
でもすっきりしてて後味さわやかなんやで。
飲み味さわやかいくらでも飲めてしまうん。
ただちょっと飲むたびにほっぺたがあっつくなってる気がするんやけどー。
頭もふわっとする気はするんやけどー。
気持ちいいしおいしいから気にならないってゆうか!


真樹緒。
「?はい?」
それはさけだ。



……
………



ぬ?


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キネマ主が持っていたのは急須じゃなくて銚子。
お酒が入ってるやつ。
ほらあの子名前しらないから…!

続きはすぐに。
やっとこちゅー魔…!

  

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