「もーとなーりさまー!」


ぬーん!
元就様お久しぶり!
本当にお久しぶり!
俺、俺、元就様に会えるってゆうから待ちきれやんくってあそこのお船からひと足お先にやってきたんやで!
こーちゃんがね、お忍びさんの力で連れてきてくれたんいい子やろう?
俺のごじまんのお嫁さんなん。


「ね、こーちゃん!」
「(こくり)」
「ぬん!」


でもそれは後でたっぷりお話しするから今は俺と感動の再会してくれると嬉しいわ!
ほらこーちゃんこれからちょっとこの辺り調べてこやなあかんみたいやし。
四国についた時もやってたけど、何か危ない事ないかなーって調べやなあかんみたいやし。
すこしの間ばいばいなん。

あ、そうや元就様俺おみやげも持って来たよおにぎり!
朝からいっしょうけんめい作ったから後で一緒に食べようね!
ぬーん!


だっこしてくれてるこーちゃんから下りて、元就様に向かって全力疾走。
ちょっと勢いつきすぎたかなーなんて思うんやけどもうなんか止まれやん感じやからそのまま飛び込んで行こうと思ってる真樹緒です。
こんにちは!


「とう!」


もう止まるん無理よね!って思ったからそのまま元就様にジャンプ!
元就様の他にもお出迎えに来てくれてるんやろうなってゆう人らがいっぱいいてたけどもうそのままジャンプ!
恥ずかしがってなんかられないわー。
せっかくの再会ですものー。
そんでもって元就様またびっくりして転げてしまうかなって思ったけどそれでもやっぱり元就様に受け止めてもらいたかったらそのままジャンプ!
助走はばっちり勢いもばっちり踏切もばっちりで思いっきりぎゅって元就様の首に飛びついた。


ぬ?


…、飛びついたんやけど。
ぬん、あれ?



「あれ?」


俺そのまんま。
元就様の首につかまったそのまんま。
二人一緒に転げてしまうかと思ったのにそのまんま。
元就様が俺の背中をちゃんと支えてくれててくっついてる足も支えてくれてて。
ちょっぴり元就様の体ごと俺も揺れたけど転げる事もなくってそのまんまなん。
俺元就様に受け止められた…!
まじで!
元就様なんてゆうか見た感じちょっぴり細くて俺と同じぐらいの(ぬん、もちろん俺の方が低いけど)背やのに!


「ふ、我が二の舞を踏むと思うてか。」
「やあやあ俺けっこう重いんよ?元就様。」
「その様な細い体で何を申す。」


持ち上げる事の何と容易い。


ちっちゃく笑いながら元就様が俺を下ろしてくれる。
「よく来た」なんて笑いながらゆっくり下ろしてくれる。
俺もありがとうってお返事して笑って。
ふかふかな砂浜に足がついたらちょっと体が傾いた。
元就様がまだ背中支えてくれてたから転んでしまう事はなかったんやけど、そのまま元就様の胸にぽすん。
ちょうどいい感じのところにぽすん。


「ぬ、」
「何をしている。」


ちっちゃなため息が聞こえたけど俺は何だか元就様とくっついてるのが嬉しくってそのままぎゅう。
やあこう、ジャンプしてぎゅうってくっつくぎゅうとはちょっとふんいきが違うってゆうか。
さっきのは再会の嬉しさが最高潮に達しての勢いでのぎゅうで、こっちはお久しぶりに元就様に会えて何だか今のふんいき的に甘えたりしても元就様許してくれるんちがうかなって思ってのぎゅうなん。
やから元就様がため息はいてもぎゅうぎゅうぎゅう。
実は元就様笑ってるん知ってるからぎゅうぎゅうぎゅう。
思い切り元就様の胸に顔をうずめてぐりぐりぐりぐり。


「こそばゆいわ。」
「甘えてみたん。」


ほら元就様とはやっぱりお久しぶりやから。
ちらっと目だけ元就様を見て俺も笑う。
二人して笑ってゆっくり元就様から離れた。
ぬんぬん。
ほらごあいさつもまだやしね。
俺ほんまに元就様に飛びついただけやしね。
もしここに近江のお母さんな明智の光秀さんがおったらちゃんとしなさいって怒られてるところやしね。
明智の光秀さんがおらんからこそちゃんとしやなあかんってゆうかね。


「元就様!」
「…なんぞ。」
「ぬん!」


えーっとね。
明智の光秀さんに教えてもらったごあいさつがあってね。
「毛利に会ったら言うんですよ。」なんて言われててね。


「このたびは、お招きいただきありがとうございます。」


温かいお出むかえにつきましても感謝もうしあげます!

ぺっこり頭を下げてごあいさつ。
何だかもっとあったような気がするけど覚えてるんはこれだけなん。
多分ありがとうございますの前に何かあったと思うんやけど覚えてるんはこれだけなん。
もしかしたら後やったかもしれやんけれども。

ぬん、俺がんばったんよ?
お船の上でかんぺ見ながら覚えようとしたんよ?
でもちょっと長くて!
明智の光秀さんが教えてくれたご挨拶ながくて!
難しい言葉とかもいっぱいあって!
しかもお船の上でどきどきわくわくしっぱなしやったし頭に入らんくって!
何か噛みそうやったしこういうんは気持ちが大事やからはぶいてもいいかなって!



いい訳ないでしょうよ。
ぬ?
「それが国主自らの出迎えを受けている態度ですか。」


元就様にぺっこりごあいさつしてたら後ろから声が。
とっても聞いた事のある声が。
しかもちょっぴり怒ってる時な感じの声が。


「明智の光秀さん!」


振り返ったらやっぱり明智の光秀さんが砂浜を歩いてくる所で。
その後ろをちかちゃんとむさし君が歩いてくる所で。
やあむさし君は何か今にも走り出そうとしたところをちかちゃんに止められてるみたいやけど。
首根っこのあのふわふわファーみたいなんをちかちゃんに掴まれてるん。
ぷらーんって浮きながらも暴れてるところはさすがむさし君よね!


「…お久しぶりです毛利殿。」


本日のご招待、感謝の念堪えません。


「ふん、殊勝な事を。」


かの死神が随分丸くなったものよ。
冷眼下瞰が聞いて呆れる。


「くっくっく、違いねェ。」
「…鬼。」
「長曾我部。」
「ちかちゃん!」
「そらよ、真樹緒。」
「ばっきゃろー!おに!なげんじゃねー!」
「ぬん!むさし君!」


明智の光秀さんがやってきて。
ちかちゃんがやってきて。
ちかちゃんが運んで来たむさし君がやってきた。
やあやあみんなさっきぶり!
全員そろいましたねー。
とってもお早いおつきですねー。
俺まだ元就様とごあいさつしかしてへんよ!
思ってたよりお船つくの早かったね!


少々舟子を急かしましたので。
…脅したの間違いじゃねぇのかかーちゃんよう。


鎌構えやがって。
おどろおどろしいもんが出てたじゃねぇかよ。
ちかちゃんがため息吐きながら言う。


「ぬ?」


そんな事言われた明智の光秀さんはそれでも涼しいお顔で髪の毛かきあげてたりするんやけど。
潮風に素敵なロングヘアーがなびいてたりするんやけど。

ぬんぬん、明智の光秀さん今日はおかみじゃないのよね。
せっかく素敵なみつあみ今日はしてへんのよね。
俺おかみな明智の光秀さん大好きなんやけどな。
やあもちろん近江のお母さんな明智の光秀さんも大好きやけど!
……後でみつあみ編みにいこー。
あみあみあみあみ編みにいこー。


「貴様我の船に何をしてくれる。」
「ふふ、流石かの水軍を持つ毛利の舟子。」


予定よりも早く接岸に至りました。
見事な手際でしたよ。


…ちかちゃん。
「あん?」
「明智の光秀さん何したん?」


鎌かまえたってゆうてたけど。
舟子さんせかしたってゆうてたけど。


船頭の首に鎌つきつけて今にもそれを刈る勢いでよ。
まじで!


ぬーんまじで!
明智の光秀さん何してるん。
何でお船の船頭さんおどろかしてるん明智の光秀さんの鎌ってちょうおっきくてあんなん首元にあったらものすごい怖いやんか!


「流石の坊主も静かなもんだったぜ。」


なァ。


あれはだめだ。


おかみがああなったらいくらおれさまでもかなわねー。
なんたっておかみだからな。


やあやあむさし君、そんなまがおでー。


まっすぐなひとみでー。
ぬん、ほんまに怖かったんやね。
鎌持った明智の光秀さん。
たまに鎌持たんくっても怖いもんね明智の光秀さん。


ええ、そしてそれはどなたのせいでしょうか真樹緒。
「!!」


ちかちゃんとむさし君とお話してたら肩に手がぽん、って。
ぽん、って乗ってそしてこころなしかその肩が痛い。
ぐわし、って掴まれている感じがしてちょう痛い。


「あ、明智の光秀さん…」
真樹緒。
「…は、い…」
お話がありますよ。
ぬーん!


振り返ったら明智の光秀さんが俺の肩をつかんでにっこり笑ってた。
今までに見た事ないぐらい素敵な笑顔で笑ってた。

(やあでも何かザビーさんの所へ行く前とか行った後とか、もっとさかのぼったら近江におった時もちょっと見た様な気もするけど!)
ほらうむを言わせない笑顔ってゆうん?
俺は背中にとっても冷たい汗がひんやり。
そっと目をそらしてみたんやけど肩を掴まれたまんまやからどうにもこうにも逃げられませんまじで!


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長くなったので一端アプします。
続きはすぐに!

  

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