政宗様のお馬にぽっくりぽっくり乗って(あの後ほんまにゆっくり行ってくれたねんよ政宗様優しい!!)立派なお城に着きました。
真樹緒です。
お城はとってもでっかくて見上げたら首が痛くなりました。
真樹緒ですこんにちは!


「青葉城がある…!」
「無かったらどうすんだ。」


呆れたような政宗様のため息が頭の上で聞こえた。


やってね、俺のおったとこではね、青葉城って何か下の土台だけしか残ってへんねんもん。
中学の遠足で行ったんやけど、お城が無くってやあ。
やっと見つけた!と思って友達呼んだら「それ脇櫓やぞ」って言われたん。
お城やなかったん。
やあちょびっとお城の割には控えめやなぁって思うてたんやけど。


てか脇櫓て何やろう。
今でも謎やわー。
わきろ。


「は!」
「真樹緒?」


そういえばあそこに政宗様の銅像あったやん。
お馬に乗ってるやつ。
兜もこんな感じでやぁ。
政宗様とおんなじの。


「どうした真樹緒。」
「へへへー…」


隣に来た片倉さんにへらりと笑う。
何だ、って俺の髪の毛を混ぜた政宗様にも笑う。


あんな。
やってな。


「政宗様は本物のほうが男前やねえ。」
「あ?」


俺の見た銅像の政宗様はな、おっちゃんやったん。
しかもちょっとぽっちゃりした。
けっこうどこにでもおりそうなおっちゃんやったん。
でもやあ、今ここにおる政宗様は男前やん?
イケメンやん?
俺、得した気分。
皆が知らん政宗様知ってるんやで。
すっごい得した気分!



「政宗様かっこいいん。」



見上げて笑ったら政宗様が顔を手で覆ってお空をあおいでた。
ふるふる震えながら上を向いて動かんの。
ちっちゃい声で「Oh…my…」って呟いたんは聞こえたんやけどどうしたん政宗様。
俺変なこと言うた?
かっこいいって嫌やった?
でもほらかっこいいって男前って事とおんなじで、褒め言葉なんやけど。
俺、政宗様がかっこいいなって思って。
思って…


「ぬん…」


片倉さん。
なあ片倉さん、政宗様どないしたんやろう。
ちょっと政宗様がお空向いたまま俺の事見てくれへんねんけど。
そおっと片倉さんの方を見たんやけど苦笑いで手を小さく振られただけでな、返事してもらわれへんかったん。


ぬう。
なんで…!



「Ah―、この野郎。」
「うわ、政宗様こちょばい!!」


うんともすんとも動かん政宗様に首傾げてたら政宗様がいきなり首に頭ごりごりしてきた。
全然前触れも無く首におでこをごりごりすりつけてきた。
やあやあこちょばい。
首に頭ごりごりしたら髪の毛あたってこちょばいんやけど政宗様…!
どうしたんやめてって首伸ばしたらまたぎゅってされる。
やあお馬の上でそれはちょっと危ない気するで政宗様!


「あんまりcuteな事言うとどうなっても知らねぇぞ。」
「やからきゅーとちがうってゆうてるやんか。」
「言ってろこのsweet puppyが。」
「わんこでもないもん。」


もー!
政宗様はようわからん事ばっかり!
勝手にお話始めて勝手に終わってしまうんやから。
俺政宗様とお話すると結構おいてけぼりやで!
もう!

ぶーぶーぶーぶー言うてたら急にお馬さんが止まる。


「わ、」


目を政宗様から前に戻したら、目の前にでっかい門があって。
お馬に乗っててもくぐれるぐらいのおっきい門で。
そこで「降りるぞ」って政宗様がお馬から下りた。
もしかしてここが入り口やろうか。
待って待って俺も降りるん。
よじよじお馬から降りようとしたら(やってお馬って結構高いねんで!!)政宗様がひょいって俺を下ろしてくれた。


「ありがとー政宗様。」
「Don’t mention it.」


政宗様は国際派!!
もしかしたら俺よりも英語できるんちがう?
おぉすごいって政宗様見てたら「転ぶぞ」って片倉さんに頭を混ぜられる。


ぬーん。
何か二人とも髪の毛混ぜるん好きやねぇ。
よく俺の頭撫でてくれるよねえ。
俺の髪の毛特にサラサラとかでは無いんやけど。
くせ毛やし。
ひまちゃんはめっさサラサラやけどな!
俺の自慢のいもうと…!


「真樹緒、」
「はい?」
「改めて歓迎する。」
「ぬ?」


政宗様が俺の手をとった。
おっきい手に俺の手がすっぽり包まれてしまう。
じっとその手を見て政宗様を見て、また手を見た。
指を動かしたら政宗様に優しく握りこまれて、なんだかほっぺたがちょっぴり熱くなる。
熱くなったほっぺたをぺちぺち。
ちらっと政宗様見上げたら、政宗様はあの兜を脱いでふんわり笑ってたん。


「あ、…」


やあ政宗様、それ恥ずかしい。
すごく恥ずかしい。
手を握ってくれてるんもやけど、政宗様のそのふんわり笑顔を見るのとっても照れ臭い。
何てゆうたらええんやろう。
見てたら「ほー」って安心してまうような顔なん。
力が抜けてしまうような顔なん。
安心するんやけど、でもほら政宗様は男前やからほら照れちゃうってゆうか。


「ぬん…」


瞬きぱちぱち。
手ぇは取られたまんま。



「ようこそ、俺の城へ。」



なんて、政宗様がまた笑うから。


俺、嬉しくなってもうて。
こう、お腹がぽかぽかしてもうて。
ちょっと何でかドキドキもしてもうて。
政宗様の手を思いっきりぎゅう。
その勢いのまま政宗様に飛び込んだ。


「政宗様!」
「おっと。」


政宗様!
ありがとう政宗様!
俺をお城に呼んでくれてありがとう。
手をぎゅってしてくれてありがとう。
いっぱいいっぱいありがとう。

俺ね、俺は。
色々知らん事ばっかりで、分からん事ばっかりで政宗様や片倉さんを困らせてしまうかもしれやんけど頑張るから。
自分の出来ることをせいいっぱい頑張るから。
これからよろしくお願いします!


  

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