「にぎにぎにぎにぎ。」
「(にぎにぎにぎにぎ)」

「ころころころころ。」
「(ころころころころ)」

「にぎにぎにぎにぎ。」
「(にぎにぎにぎにぎ)」

「ころころころころ。」
「(ころころころころ)」



ぬんぬん。
ここでお海苔を巻いてー。
ふんわりそおっと巻いてー。


「まきまきまきまき。」
「(まきまきまきまき)」



できた…!
「(!!)」


ぬん!
おにぎり完成!
おいしそうなおにぎり完成!
今日作ってるのはね、三角はちょっぴりむずかしいから俵型のおにぎりなん。

こーちゃんと二人でお米にぎにぎ最後にくるん。
最後にお海苔を巻いて。
むさし君がちょっぴり暇そうに見守る中、とってもおいしそうなおにぎりいっぱい完成しました!
真樹緒ですこんにちは!


ぬんぬんこんにちは。
やあやああのね。
何で俺らがおにぎり作ってるかってゆうたらね。
こないだ俺に来たお手紙はやっぱり元就様からで、三日後にお迎えに行きますよーっていう内容やったん。
あの後お部屋でこーちゃんとむさし君と一緒に読んで、明智の光秀さんやちかちゃんにも読んでもらったから絶対やで。
皆でおいでって書いてあったから俺もこーちゃんもむさし君も、明智の光秀さんもちかちゃんも全員で行くん。
甲斐にも早く戻らなあかんねんけど、明智の光秀さんとちかちゃんが言うには甲斐に戻るにしてもお船の準備とかあって一週間後ぐらいになるってゆうし。
その間に元就様の所へ遊びに行ってもいい?って聞いたら「どうせ止めた所で聞きやしないでしょうに」なんてちょっぴり呆れた近江のお母さんからちゃんとオッケー貰いました!


ぬん!
うれしい!


やからね、ありがとーお待ちしてますーっていうお手紙を元就様に送ってやあ。
そしたら色々準備あるやん?
ほらお泊まりの用意とか、お土産とか!
せっかく遊びに行くんやったらやっぱりほらお土産やんか。


お土産。
喜んでもらえるもの持っていきたいやん?
でも元就様何が好きか俺知らんし、ちかちゃんには「酒なんてどうだ?」ってゆわれたけど、ぬーんお酒なー。
明智の光秀さんが「それはあなたが欲しい物でしょう?」ってお返事してたし、俺も元就様がお酒がぶがぶ飲んでるところ想像できひんかったしー。
やあそりゃあ全然飲めへんって事は無いんやろうけど、他になんかないかしらーって思って俺思い出したん。
元就様ね、ザビーさんとこでおにぎり食べられへんかったやん!って。


「明智の光秀さんできたー!」
「はいはいご苦労様です。」


ならこちらの重箱に詰めましょうか。
形を崩さない様に気をつけるんですよ。


「はーい!」


やからね、俺おにぎり作ってお土産にしようと思ったん。
俺のてづくり…!
元就様に食べてもらうために一生懸命つくったよ。
こーちゃんと一緒にね!
おかかと梅とこんぶ。
あっちがねぎみそでー、そのお隣がちょっぴり大人のお味なわさび漬けー。
向こうについたら一緒に皆で食べるん。


「真樹緒ー、」
「ぬん?どうしたんむさし君。」
「まだおわんねーのかー?」


おれさまはらへった。


むさし君はね、今まで厨のすみっこのたる(多分お酒は入ってるやつやとおもう!)の上であぐらかいて座ってたん。
一緒に作る?って誘ってみたんやけどむさし君はあんまり興味なさげでー。
「めんどくせー!」なんて言いながら俺らを見守ってくれてたんやけど。
そのむさし君が背中にぺそっとくっついた。
あれやあむさし君どうしたんそんな眉毛きゅっと寄せちゃってー。
待ってるん退屈やった?
やあでもむさし君がおにぎり一緒につくらへんってゆうから。


「にぎりめしづくりなんてぜんぜんおもしろくねー。」
「ぬん…でも待ってるのも飽きてきたかんじ?」


そんでもってちょっぴりさみしかった?
俺もこーちゃんも明智の光秀さんもおにぎりにかかりっきりやったから。


「…はらへったっつったろー。」


そのにぎりめしよこせ。
おれさまがくう。


俺の背中からむさし君が手を伸ばした。
手を伸ばしておにぎりがいっぱい詰まった重箱を持っていこうとする。


「やあやああかんよむさし君!」


それ元就様へのお土産!
今食べるんとちがうの!
ってゆうか皆の分あるからあっちへ着いたら一緒に食べるんやで!
やから俺とこーちゃんが朝から頑張ってたくさん作ったのに。


「明智の光秀さん助けて!むさし君がおにぎり取ろうとするん!」
「…坊や。」
「あんだよー!ひとつぐらいいーだろ!」
「これ皆で食べるんやもん!」


一人でもぐもぐ食べるおにぎりちがうん!
もう!
あとちょっとで元就様からお迎えくるし、ついたら食べれるから我慢してほしいん。

そう言うてむさし君に取られそうになった重箱を頭の上まで持ち上げてむさし君ガード。
あかんよ!ってむさし君の手から遠ざけるんやけどちょびっとだけむさし君の方が背がたかいからそれも取られそうになる。
うわーんころげる…!
おにぎりの入ったお重持ったままころげる…!


こーちゃああん!
「(しゅた!)」
ぱす…!


最後の手段で取られそうになったお重をえいや!ってこーちゃんの方へ放り投げた。
こーちゃんぱす!
お重うけとって!
まだフタしてへんけどフタごとうけとって!
そして素敵なお嫁さんすきるでそのお重このちかちゃんから貰ったふろしきで優しくつつんであげて!


「(ぐっ!)」


俺がバランスを崩しながらもほうり投げたお重はやっぱりバランスを崩して中のおにぎり落ちそうになったけど、そこは伝説のお忍びこーちゃん。
しゅばっとそれを受け止めてフタを閉めて、しゃばばばばば!ってちりめんの可愛いふろしきで包んでしまったん。


「あにしやがるおしのびー!」
「(ぷーい)」


すごいこーちゃん。
さすがこーちゃん。
さすが伝説のこーちゃん。
さすが俺のお嫁さん。


さすが伝説のお嫁さん…!
「…本当にどうでもいい事に忍の力を発揮しますねあの子は。
「すごいよね…!」


ぬん!
おにぎり死守…!
むさし君から死守…!


「(すっ)」
「ありがとー、こーちゃん。」


こーちゃんのおかげよー。


こーちゃんの頭をなでなで。
お重ありがとってなでなで。
素敵に包まれたお重を受け取ってぎゅって抱きしめる。
よかったー。
これで元就様へのお土産無くならんですんだー。


「むさし君、もうちょっとやから我慢して欲しいん。」
「だってよー。」


背中にまだぺっとりくっついてるむさし君を振り返ってお願いしてみる。
やあやあむさし君。
いっつも俺のお願い聞いてくれるのに今日はどうしたん。
いつもは一緒におやつ食べようねってゆうたらちゃんと待っててくれるのに。
俺びっくりしたで。


「拗ねているのですよ。」
「ぬ?」
「おかみ!」
「?明智の光秀さん?」
「おかみいうんじゃねー!」
「、あなたが毛利毛利と言いながら坊やを放って置くので拗ねているんですよ。」
「いうんじゃねーっていっただろなんでいうんだばっきゃろー!」


………ぬ?


むさし君が俺の背中からぴょーんって明智の光秀さんの所へ飛んで行った。
飛びかかって来るむさし君をひらっと避けながら何だか明智の光秀さんが楽しそう。
笑って、ため息吐いて、片手でむさし君の頭をがしっと掴んで。
俺の方を見てちょっぴり肩をすくめるん。



「あれやあ…」



むさし君すねてたんやって。
俺らがむさし君をほったらかしにしたから寂しかったんやって。
俺おにぎりばっかり作ってたから。


「ぬん…」


むさし君って結構さびしん坊よね。
この間のお手紙の時もそうやったもんね。
知ってたのにおいてけぼりにしちゃって。
俺、むさし君とお友達やのに気ついてあげられやんくって。
ぬん!ごめんね!


「むーさしくーん!」
「あん?」


どうした真樹緒。


「おいてけぼりにしちゃってごめんねー!」


ぬーん!
そんなつもりなかったんやけど俺ついうっかり熱中しちゃって!
おにぎり作るの夢中になっちゃって!
ほら初めての俵型やったから!
初めての挑戦やったから!
三角よりも上手にできてテンションあがっちゃって!
ついついお重二つ分も作っちゃってー!
ぬーん!


明智の光秀さんに頭がしっとされてるむさし君にむかってジャンプ!
ごめんねっていう思いの丈をこめてジャンプ!
むさし君俺と同じ(ちょっとむさし君のがおっきいけど!)身長やのにすっごい力持ちやから俺を受け止めてくれるよねがっちり受け止めて!


「とう!」
「あぁ!?」


びっくりしてるむさし君に思いっきり飛び込んだ。
一瞬だけむさし君の体が揺れたけどむさし君は何でもない感じで俺を受け止めてくれる。
右足をぐっと後ろに下げてしっかり受け止めてくれる。
頭の上で明智の光秀さんのため息が聞こえた。
こーちゃんがちょっぴり恨めしげに俺を見てる。
ぬーんでもごめんね!
明智の光秀さんもこーちゃんもごめんね!
ちょっと今むさし君を充電中やから!
そんでもってむさし君も俺を充電中やから!


「真樹緒どうしたあぶねーだろ。」
「ぬふふ、ごめんね。」
「まったくよー。」


文句をぶちぶち言いながら、でもちゃんとぎゅってしてくれるむさし君が嬉しくて笑う。
なんだかむさし君のご機嫌もなおった感じ。
やあやあよかったわー。
むさし君と仲直りできてよかったわー。


「でもおにぎりは向こうへついてからね。」
「しょーがねーな!」
「ぬん!」


ね!
やっぱりみんな一緒に食べた方がおいしいと思うし。


「お前ら準備は出来たかァ?」
「ちかちゃん!」
「おうおう真樹緒、毛利からの迎えが来たぜ。」
「!まじで!」


俺がむさし君とまったり仲直りしてたらひょっこりちかちゃんが厨へやってきたん。
入り口から顔を出してひらひら手を振ってくれる。


ちかちゃんは甲斐へ戻るお船を調整してくれててね、ちょっとでも俺らが早く戻れる様にって元就様のお迎えが来るっていう今日もとっても忙しくしてたんやで。
何かねおっきいお船に乗せてくれるらしいよ。
ちかちゃんご自慢のお船に乗せてくれるらしいよ。
どんなお船か楽しみ!


「元就様もおる?」
「いや、あいつは国で待ってんじゃねぇか?」
「えー。」
「持て成しの準備でもあるんだろうよ。」
「そんなの気つかわんでもええのにね。」


俺らがお邪魔するんやし!
せっかくすぐに元就様に会えると思ったのになー。


「国主の立場があるんですよ。」
「ぬん。」


やあでも。
お迎えに来てくれたってゆう事はすぐに会えるよね。
安芸って海を挟んでお向かいやもんね。
お船やったらすぐよね!


「ちかちゃん。」
「あん?」
「すぐに出発できる感じ?」
「俺ァ、すぐにでもいいぜ。」


船の事は野郎共に任せて来たからな。


「ぬん!明智の光秀さん!」
「荷物はまとめてありますよ。」


忍、真樹緒へ用意したものを。


「(しゅた!)」
「さすがこーちゃん!」


やあやあほんならむさし君!


「おれさまはいつでもいーぞ。」
「島津のじっちゃんは?」
「なんかさいきんこしいてーからおれさまらだけでたのしんでこいってよ。」
「やあそれは残念ー。」


じっちゃん腰大丈夫やろうか。
甲斐へ戻る前にはちゃんとご挨拶にいくからねーじっちゃん。
待っててね。
今回は俺らだけで行ってくるね!



「ぬん!」



ではでは。
ぬんぬん。
皆揃って準備はばんたん。
おにぎりも持ったし、着替えも持った。
忘れ物も無いし大丈夫。


ちかちゃんを見て、明智の光秀さんを見て、こーちゃんを見て、むさし君を見て。
何だか嬉しくなって笑いをこらえて。



「やあやあほんなら皆でれっつごー!」



元就様のお国へれっつごー!


---------------

やっとこれっつごー…!
次回は安芸のお国へ到着ですやっと…!

今回の主役はおにぎりでしたすみません。
おにぎりしか作ってませんすみません。
お手紙のくだりを終えたと思ったらおにぎりのくだりですみませ…!
本当次からは安芸に向かいますので!

最後キネマ主はレッツゴーなんて言ってますが、キネマ主が隠していないにも関わらず現代バレはありませんまさかの。
独眼竜のとこの子だから変な言葉も知っているだろうなな雰囲気です何て平和。

元就様はまだ全然キネマ主の事を知らないので、夜の宴会?おもてなしの時に色々お話できるといいなと思っています。
お話している横でキネマ主酔っ払っているのですが!
ちゅーをどうやって仕掛けるかはぼんやり決まっていますので後は本当に書くだけ…!(前回も言った気がしますすみませ/汗)

ではでは。
最後までのお付き合い、本当にありがとうございました!


  

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