「我の預かり知らぬ事よ。」
「…べつにいいけどー。」


元就様のお隣でちょっとほっぺたぶう。
何だかしゃくぜんとせえへんこの空気にほっぺたぶう。
俺のご機嫌がななめになったにも関わらず元就様は涼しい顔でまだきょろきょろ。
元就様の中ではサンデーが無かった事になってるみたいです真樹緒ですこんにちは!


「貴様、真樹緒と言ったか。」
「ぬ?はい?」


そう俺真樹緒。
何かごよう?
俺ちょっと今から元就様のおにぎりの用意しようと思ってるんやけど。
やあおにぎり。
元就様足元ふらふらしてたから力つけた方がええなーなんて思ってね。
おにぎり食べたら元気になるんちがうかなーって思ってね。
ほらお水とおにぎり。
本当はあつあつのお茶があったらよかったんやけど、持ってきてもどうしても冷めちゃうしねー。


「とゆうことでー、はいおにぎり。」
「…何を、」
おにぎり。


はい、たべて。
近江のお米も奥州のお米も甲斐のお米もとってもおいしいけど四国のお米もとってもおいしいから。
ふっくらもちもちやから。
そのお米でつくったおにぎりちょうおいしいから。
元就様そのまんまやったら安芸に戻る前に力尽きてしまうよ。
ちかちゃんのお船までもたんのちがう?
お顔は綺麗やけれど結構体はしんどいやろう?
やからはい。


おにぎり。
「…我は、」
「ご用は後で聞くん。」


さきにおにぎり食べて。
食べて元気つけようね元就様!

風呂敷の中からおっきいおにぎりを二つ出して一つを元就様の手に、一つを元就様のお膝に敷いたかいしに乗せる。
中身はうめぼしやと思うんやけどうめぼし食べれる?
うめぼしも体力回復にとってもいいんやで!
お顔を覗きこんで聞いたのに元就様は複雑なお顔のまんまでお返事してくれへんかったけど、食べれやんかったら俺が食べたらいいよね!
おにぎりだけでも元気になるしね!


「どうぞー。」


お水も欲しかったらゆうてね。
まだいっぱいあるん。
にっこり笑ったら何か言いたそうやった元就様が口をつぐんだ。
ぐ、って黙ってしまってそれから手のおにぎりをにらむ。


「…ぬん…」


そう、ちょうにらんでるん。
おにぎりをめさめさにらんでるん元就様。
おにぎり嫌いやったんやろうか。
やあでもお米は俺この世で一番おいしい食べ物やと思うんやけど。
それに栄養もあって元気になるんやと思うんやけどな。
でもどうしてもあかんのやったらしょうがないよねえ。
無理して食べたら余計に体調を悪くしてしまうかもしれやんし。
俺もしいたけ無理矢理食べさせられたら体こわしてしまう自信あるし。

うーんどうしようー。
何か他にあったかなー。
持ってたかなー。
四国で貰ったお菓子とかどこかに入ってないかな。
お水を竹でできたコップにそそぎながらぬんぬん。
せめて一口だけでも食べてくれたらなって思いながらぬんぬん。
そしたら元就様が。


「ふん…」
「あ、」


ちっちゃくお鼻を鳴らしておにぎりを。
今までにらんでばっかりやったおにぎりをお口に。
お口に入れようとしてくれたんやけど。



ばくっ!



……
………



…ぬ?


ばくばくばくばく。
(もぐもぐもぐもぐ)



あー、なんかしおがたりねーなー。


おいおしのび。
そっちのやつもくっちまおーぜ。
おれさまはらへった。

(こくり)



……
………



小童…!
むさし君!こーちゃん…!


ひょっこりやってきたこーちゃんとむさし君が元就様が食べようとしたおにぎりをもぐっと食べてしまいましたえええ何してるん。
二人とも何してるん。
それ元就様に食べてねって渡したおにぎりやで何で二人で食べてるんそんなおなか減ってたんまじで!
ていうかさっきからずっとお部屋の真ん中辺りで対戦中やなかったっけいつの間に…!
おにぎりを持ってた元就様の手にはもうおにぎりのお米つぶすらなくて、お膝に置いてあったおにぎりも何て言うかすごい速さでむさし君とこーちゃんのお腹に収まってしまったんやけどどうしよう。
元就様は元就様で取られた瞬間思わず固まってしまったんやけど何だか今は丸いあの変わった武器構えてるしどうしよう。

えええひと騒動終わった感じやったのにまた何かしゅらば!


いい度胸ぞ小童。


貴様、我と何か因縁があろう。
その顔見覚えがあるわ。



「おめーだけ真樹緒のめしくうのずりーぞ。」


ああ?
やんのかー?
いちどならずにどまでもこのみやもとむさしさまにぎったぎたにされてーのか!


「…何の事だ。」
「あにいってやがる!おめーさっきおれさまに」
こーちゃーん!
(しゅた)
もがもがもがもがもがー!


あにすんだおしのび!
てぇはなしやがれー!


「ぬん…」


むさし君と元就様が武器を構えちゃって。
俺がおろおろしているのもお構いなしに更にはむさし君がうっかり爆弾発言してしまいそうになって。
慌ててこーちゃんにお願いしてむさし君の口をふさいでもらう。

やあやってほら。
元就様気にしてるかもしれやんやんか。
なんてゆうかすんごいむさし君にやられてもうたし。
それにサンデー毛利様の時の事なんか覚えてへん感じやし。
それやったら無理にこう、思い出してしょっぱい思いするんもなーなんて思うん俺。
やって元就様気にしそうやしー。
プライドとか高そうやしー。


「真樹緒、邪魔をするでないわ。」
「やあやってー。」


ほら、元就様も落ち着いて。
おにぎりは食べられてしまったけど落ち着いて。
俺もうおにぎりは持ってへんけどおやつ多分持ってたはずやから。
甘い干菓子持ってたはずやから。
これでちょっとは元気出ると思うから。
元就様の着物をちょいちょいって引っ張って落ち着いてねってお願いする。
それでももごもご言うてるむさし君へ丸い武器を構えるのは止めてくれへんのやけどー。
もー。


「元就様まだゆっくりしてた方がええと思うん。」
「構わぬ。」


あの小童、身の程を弁えさせねばならぬ故。


「だーからおめーはおれさまに」
こーちゃん!
(しゅば)
もごもごもごもー!


てめーおしのび!
またおめーは!



ふー…



またお口を滑らせてしまいそうやったむさし君のお口を今度こそしっかりこーちゃんに塞いでもらって俺はおでこをぐいっとぬぐう。
もー、むさし君はゆだんならないんだからー。
後でちゃんとお話しとかなくちゃー。
もー。
大変大変。
ばれてしまうとこやったやんかー。



「あん?これァ何の騒ぎだあ?」
「!!」


俺が決心を固めてたら後ろの方から声がした。


「…おや、気がつかれたんですね。」


とっても聞きなれた声がした。


「ぬん…!」


俺が待ってた声がした。


あれは。
あの声は。
ぬん!
ちかちゃんと明智の光秀さん!

顔を見やんでも分かるもん。
絶対ちかちゃんと明智の光秀さんやもん。
分かってるもん。
やから俺が猛ダッシュで走って行ったって人違いなんか絶対にないんやもん。


「ちかちゃん!明智の光秀さん!」


おかえり!
さっきぶり!
やあやあどっちに飛びついて行こうかなって考えてたらちかちゃんの方が前におったからまずはちかちゃんに向かってジャンプ!
会いたかったわーってゆう思いのたけを込めてジャンプ!
重たい槍をかついでたけど、ちかちゃんは笑って受け止めてくれました力持ち!


「おうおう真樹緒、変わり無かったかい。」
「ぬん!」


ないないないない、全然ないですよー。
元就様が目覚めてね、お元気でね、よかったねーっていう雰囲気なん今。
でもよかったねーな雰囲気の中にむさし君が爆弾発言しちゃってちょっとその雰囲気もあやういんやけど全然平気。
こーちゃんのおかげでことなきをえそうなところなん。


…結局どういった所なんです。
「ぬー…いっしょくそくはつ?


でもちかちゃんと明智の光秀さんが来てくれたからもう大丈夫!
半分以上はこーちゃんのおかげで元通りになりそうやったしね!


「そりゃあ随分大変な仕事が残ってたもんだ。」


笑いながらちかちゃんが元就様を見る。
後ろで明智の光秀さんがため息を吐いてるけどぬん、どうしたんやろう?
お久しぶりに会えたのに。
手を伸ばしてみたらひょいっと捕まった。


「目が覚める前に運んでしまいたかったのですがね。」
「まあそう言うない。」
「ぬ?」


明智の光秀さんに捕まった手をぶんぶん振って、けらけら笑うちかちゃんを見る。
俺は何のお話かよく分からんかったからそのまま明智の光秀さんを見て、明智の光秀さんの視線の先、元就様を見た。


「…長曾我部か…?」
「よう毛利。」


久しぶりだなあ。
俺と槍をかついだまんまちかちゃんはずんずん元就様の方へ近づいて(やあ俺明智の光秀さんと手つないでるからもちろん明智の光秀さんも一緒やけど)びっくりして俺らから目を離せやん元就様を見てやっぱりけらけら笑う。


「…これはどういった茶番ぞ。」
「くくく…説明してやってもいいが。」


お前目ン玉飛び出るじゃねぇか?


しん、ってなったお部屋でちかちゃんと元就様が見つめあう。
そう言えば知り合いなんよねちかちゃんと元就様。
何だかしゃべったらあかん雰囲気やから俺もじっと黙って明智の光秀さんとアイコンタクト。

元就様きてくれるかなあ。
まあそれが目的ですし。
拒否されるならそれなりの手段を取りますが、聡い毛利の事、問題は無いでしょう。
そお?
あなたが心配する様な事はありませんよ。
ぬん。

そろっと二人をお邪魔せんように元就様とちかちゃんを見る。
大丈夫かなって。
元就様きてくれるかなって。



「気になるなら一緒に来いや。」


歓迎するぜ。


「ふん…」


確かに我を納得させる事が出来るのであろうな。


そしたら元就様が武器を下ろして。
ちかちゃんが槍を床に立てて。
明智の光秀さんが肩をすくめて。


「真樹緒。」
「!はい!」
「我の下に来い。」


お前にも聞きたい事がある。


元就様が俺を呼ぶ。
今まで全然表情変わらんかったのにちょっぴり笑って俺を呼ぶ。
俺はそれが嬉しくってどきっとしてわくわくもして。
そわそわもしてうずうずもして。
やから明智の光秀さんと繋いでた手を離して。
だきついてたちかちゃんからよじよじ下りて。
元就様をじー。
もうさっきの笑顔は消えてしまってたけど俺にはそんなの関係ないん。


ぬんぬん。
よしよし。
ではでは。


もーとなりさまー!
、何


元就様めがけて猛ダッシュ。
さっきおったところまで猛ダッシュ。
俺より背は高いけどちかちゃん程むきむきやない元就様は多分このままいったら一緒にころげてまうかなって思ったけど俺は止まれやんくってね。


「真樹緒、貴様っ…!」
「ぬーん!一緒にかえろうね!」
「な、」


目を見開いた元就様がめいっぱいに広がる。
それから思いっきり飛びついて。
元就様と一緒に後ろへ倒れて。
ちかちゃんの笑い声が聞こえた。
そしたら明智の光秀さんのため息も聞こえて来る気がする。
むさし君はまだもごもごゆってて。
俺の下にいる元就様は俺をお腹に乗せたまんま頭を抱えて、ちょっぴり呆れた様なため息を一つ。
それでも俺が笑ってたら。



「我の上に乗り上げるとは良い度胸ぞ。」



さっきのとっても優しい顔で笑って俺の髪の毛をゆっくり撫でてくれました。

ぬん!
にんむかんりょう!
元就様を迎えにこれたし。
ちゃんとお話できたし。
これから皆で四国に戻ります!



「なァかーちゃんよう。」
「…何です。」
真樹緒の抱きつくあの癖は直した方がよくねェか。


あれ俺ン時もしたよな。
時と相手と場合によっちゃァ危なくねえかい。


「私が言って聞く子だと思いますか。」


誰にでもやるんですよ仕方がないでしょう。
あれでいて相手を見ている様ですし。
真樹緒に手を出す様な輩が相手なら坊やと忍が黙っていません。
放っておいても大丈夫ですよ。


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はいやっとこ四国に帰ります何もしていないのに長くってすみません…!
次回は元就様視点でキネマ主の事をうんたらかんたらだと思います。
アニメの元就様はちょうイケメンですが、きっとニルの元就様はそんなにイケメンになりませんすみませ(汗)
キネマ主と小太郎さんとむさし君と始終あんな感じですまじで…!

おにぎりのくだりで小太郎さんとむさし君がおにぎり食べてしまったのは、元就様とキネマ主がいちゃいちゃしている様に見えたからです。
お邪魔しにきたのです。
変な所で団結する二人。
実は仲がいいのかもしれません(笑)

さてさてあと一回元就様視点の「元就様」を終えればちゅー魔再びに入ります。
サブタイは帰って来た酔っ払いです全員の唇を奪いにいくよ。
ではではもう少し四国編お付き合い下さいませ。
ここまでご覧下さってありがとうございました!
  

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