「…こーちゃんとむさし君元気やねえ。」
「(ふよ?)」
「ぬん…」


こーちゃんとむさし君がお部屋の真ん中でちょっとしたバトルを始めてしまって。
お部屋を出て行ったちかちゃんと明智の光秀さんも戻って来る気配が全く無くて。
俺は気を失った元就様と二人、お部屋の隅っこで元気一杯なこーちゃんとむさし君の戦いを見守ってます。
真樹緒ですー。
こんにちは!


「(ふよふよ)」
「あ、がいこつもおったねえ。」


ぬん。
がいこつ。
さっきまでこーちゃんの肩のあたりでふよふよ浮いてたけどほらこーちゃん今むさし君のお相手してるから。
今は俺のね、頭の上におったんよねがいこつ。
やあやあほんならがいこつもごあいさつしましょうかー。
皆さんとは初めましてやもんねえ。
こういうんは第一印象がかんじんやから。
気合いをいれてね。
はいどうぞー。


「(ふよ?)」
「こんにちはーって。」


ぺこってね。
ごあいさつ。
どうぞー。


「(………ふより)」
「よくできました!」


いいこ!
がいこついいこ!
そりゃあねー近江のお母さんじるしのがいこつやからねー。
お行儀もいいよねー。
よくできましたー。


がいこつの頭をちょちょいって撫でる。
ちょっぴり冷たくて固いがいこつの頭をなでなで。
いい子やねーってなでなで。
しばらくてのひらに乗ってたがいこつは、撫でられた後また俺の頭の上に戻って行った。
もうそこ定位置やねえ。
浮いてるから大丈夫やと思うけど落ちやんようにね!


「(ふよよ)」
「やあほんなら元就様やけどー。」


起きる気配の無い元就様やけどー。
まだ目をつむったままの元就様はちょっぴり眉間にしわを寄せて倒れてるん。
見た感じひどい怪我は無いからむさし君の攻撃を受けちゃって気を失ってるだけやと思うんやけど大丈夫やろうか。


「おーい、元就様ー。」


お名前を呼んでほっぺたぺちぺち。
ちょっと土がついてるほっぺたをぺちぺち。
きゅ、って眉毛が寄ったから手を離してじー。
起きるかなって元就様をじー。
しばらくそのまま見てたんやけどやっぱり元就様の目は開かんくって俺は心配になる。


「ちょっとお顔ふいてみようか。」
「(ふよ?)」
「俺ね、お水持ってるん。」


ここへ来る時にお腹空いたら食べやーってお屋敷の兄やん等におにぎりとお水貰っててやあ。
まだ全然飲んでないからたっぷりそのまんま残ってるん。
丁度手拭いもあるし、元就様もお顔が汚れたまんまやったら嫌やろうし。
もしかしたら冷たくって目が覚めるかもしれやんし。
着物のあわせの中から手拭いを出して、水で濡らして元就様のお顔をそおっと撫でる。
あんまり強くしたらびっくりさせてしまうかもしれやんからね。
やからゆっくりそおっと撫でてお顔の土を取っていくん。
ほっぺたにお鼻、それからおでこ。
綺麗に拭いたら元就様がもとどおりの元就様に!


「ふおおおおおお元就様やっぱり美人…!」


ぬーんきれいー!
ちょうきれい!
イケメンってゆうか綺麗。
やあほら美形ってゆうん?びけい。
元就様ちょうきれい…!

手拭いを持った手がぷるぷる。
元就様が綺麗でぷるぷる。
やあもうほんまにこっちの人って男前やらイケメンやら美人さんやらが多くて困っちゃうわ!
俺もうドキドキしっぱなしよ!


「(ふよよ?)」
「がいこつは可愛いけどね!」


ぬん!
俺的にがいこつはこーちゃんと同じ感じでね、可愛い方に入るん。
やあお忍びさんなこーちゃんはとってもかっこいいけど、ほら普段は俺のお嫁さんやし可愛い時の方が多いってゆうか!


「ねー、こーちゃん!」
「(?)」
「こーちゃんは俺のおよめさんよね!」
「(こくり)」
「ぬん!」


まだまだむさし君と対戦中のこーちゃんを見上げて叫んだら首かしげてたけどちゃんとうなづいてくれたん。
ねー。
こーちゃんは俺のごじまんのお嫁さんやからねー。
最近そのくだり少ないけどー。
皆わすれやんといてねー。
俺のお忍びこーちゃんは俺のおよめさん!
「よそみすんなおしのび!」なんてむさし君から石投げられてるこーちゃんに手を振って、むさし君もあんまり無茶したらあかんよってむさし君にも手を振って、綺麗になった元就様を改めてじー。
もうなんてゆうか眠ってるだけみたいな元就様をじー。
でも元就様はうんともすんとも反応ないん。
ぴくりとも動いてくれやんくって。


「もとなりさまー…」


声をかけてもやっぱりうんともすんとも…!
やあほんまに大丈夫やろうか。
このまま元就様目覚まさんのちがうやろうか。
せっかくザビーさんの所からお助けしたのに眠ったまんまとか安芸のみんながちょう心配すると思うんやけど!



……
………



えい。



ぬん。
やあほら。
やっぱり心配やん。
ほんまに綺麗なお顔で眠ってたらずーっと眠ったまんまなんちがうかなって不安になるやん。
打ちどころが悪くって目覚めれやんのちがんとかどきどきするやん。
てゆう事でー。
元就様がちゃんと生きてるかなって思ってつまんでみました。
お鼻。




「どきどき。」
「…」
「どきどき。」
「……」
「どきどき。」
「………」
「どきど、」

っ息が出来ぬわ…!
ぬーん…!!


ほんなら起きたん。
元就様がばあって飛び起きたんすごい勢い…!
てゆうか今までちょう目つむってたのにまじで…!
やあでもちゃんと生きてた元就様よかった…!
俺の心臓が飛び出そうやったけど!


「、ここは…」


突然元就様が起きて俺の心臓はちょうどきどきしてるんやけど、元就様は気にせずきょろきょろ。
ここはどこぞ、ってきょろきょろ。
ちょっとぼろぼろな自分にびっくりした感じやったけど何かしばらくじっと考えて元就様が俺を見た。


「貴様、」
「…ぬ?」


?俺?
はい?
まだまだどきどきしたまんまの俺はどきどきしてるんがなるべくばれやん様に元就様を振り返る。
ほらやっぱり第一印象って大事やから。
第一印象でお鼻つまんで息止めさせてたんが俺やってばれたらこれから気まずくなってしまうかもしれやんやんか俺が悪いんやけど…!
でもやあ俺はあれ心配してたからやってしまったってゆうか。
ちゃんと元就様生きてるんかなって不安やったってゆうか。


「おい、貴様。」


やあそりゃあむさし君はきっと手加減してくれたとは思うんやけども。
でも袋叩きってゆうてたし。
言葉通り思いっきりふくろだたきにしてたし。
むさし君って何にでもいっしょうけんめいやし。
やあ、やからってお鼻つまんだ言いわけにはならんのやけど…!


「貴様、」
「う?はい?」
「我は一体何を、」


俺がぬんぬん悩んでたら元就様が辺りを見渡して小さくつぶやいた。
ここは厳島では無いなって言いながら立ち上がる。
やあやあ元就様そんなに急に動いて大丈夫やろうか。
さっきまで倒れてたのに。
じっと見てたらやっぱりちょっと元就様の足元がふらついたから駆け足。


「元就様、元就様、むりしないで。」


ほらまだ皆帰って来てへんし、ゆっくりしてて。
座ってた方がええと思うよおれ。
ここは厳島やないんやけどね、それはまたちゃんとお話するから。
今は安静にしてて欲しいん。


「貴様…」
「ぬ?俺?俺、真樹緒。」


真樹緒ってゆうんよろしくね。
ちょっと色んな事情があってここにおるんやけど、そのお話もあとでね。
まずは元就様の事やから。
元就様の手を引いてお部屋のはしっこに座ってもらう。
ほら壁にもたれてた方がいいと思うし。
きゅって眉毛を寄せて変な顔されてしまったけどそのまま俺もお隣に座って。


「元就様は毛利元就様やろう?」
「…いかにも、我は毛利元就よ。」


ぬん!
俺知ってるよ!
ちゃんとお名前教えてもらってきたもん。


やあ、でもそういえばやあ。
元就様はあれやろうか。
サンデー様の方がええんやろうか。
俺が知ってるんよりやっぱり元就様が名乗ってたのんで呼んだ方がええんちがうかなって思うけど。


「何ぞ…」
「ぬ?サンデー毛利様。」


元就様初登場の時にゆうてたやん?
じぶんで。
我が名はサンデー毛利!って、ザビーさんの肖像画ばっくに自信満々に。
やからそっちの方がお気に入りなんかなって思ったりしてたんやけど…



……
………



我の名に妙な呼び名をつけるで無いわ。


サンデーとは何者ぞ。
聞き及んだ事も無い。
我が名は毛利元就、日輪の申し子よ。



……
………



ぬーん!


えええええー!
ゆうてたやん!
さっきゆうてたやんサンデー毛利って!
めさくさ自信満々で自己紹介してたやんか俺覚えてるよ…!
何その目ちょっと俺きずつくで!


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長くなったのでちょっとここで区切ります。
次回はすぐに。
アニキと明智の光秀さんと合流ですまいていきます…!

  

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