「Ha!!真樹緒!」
「わぁ!!」


じぃ、って片倉さんと政宗様を交互に見つめて暫く、突然固まってた政宗様にだっこされた。
真樹緒です。
その間何の脈絡もありませんでした。
真樹緒です!
俺が一人仲間外れでしょんぼりしてたんなんてお構いなしにだっこされました。
真樹緒ですこんにちは!


ぬん、ほんま何どうしたん。
突然びっくりするやんか政宗様。
俺が仲直りしようってゆうてるのにもー。
俺のお話ちゃんと聞いてくれてたん。


「お前は本当にcuteだな!」
「えええー?」


きゅーと?
きゅーとて何なん。
俺きゅーと違うよ。
きゅーとってあれやん。
さっきの政宗様とか片倉さんの事やと思う俺。
俺はほら、かっこいー男を目指してるから。
真樹緒君イケメンねってゆうてもらうんが夢やから。


「政宗様とか片倉さんのがきゅーとやで?」
「Flatteryはお前に似合わねぇぜ?」
「お世辞ちがうん。」
「Ah?お前異国語が分かるのか?」
「うん?」


異国語って英語の事やろう?
こっちでは異国語ってゆうん?
得意って程でもないんやけどー数学よりはできる自信あるよ?俺。
英会話とかは無理やけど。
単語ぐらいはねー。
小テストとかいっぱいあるし。


「んー、ちょびっとやったら。」
「Excellent!!」
「だっこはやめて政宗様!」


下ろして!
恥ずかしい!
てれる!


俺、そんなすごい事いうてないよ。
誉められたら余計に恥ずかしいよ。
やからそろそろ下ろしてほしいん。
これ完璧に高い高いやん。
俺、そんな子供ちがうよ。
ぴちぴちの16歳なんやから!


もう片倉さん助けてや、って後ろ見たら片倉さんがほのぼのと俺と政宗様を眺めてて。
なんだかとっても嬉しげに眺めてて。
満足げに眺めてて。


ぬん…
やめてやー。
俺がいたたまれやんやん…!
恥ずかしい…!



ぺしぺし政宗様の髪の毛を叩いてみた。
下ろしてって叩いてみた。
でもぜんぜんまったく効いてへん感じやからお話聞いてって今度は髪の毛引っ張ってみる。
痛くも痒くもねぇよ、って笑われてもうたけど。
下ろして貰えやんかったけど…!


「小十郎、」
「は。」
「出れるか。」
「直ぐにでも。」
「ぬ?」


立ち上がった片倉さんが俺に上着をかけてくれる。
うん?
ほらあれ、片倉さんの上着。
俺が着たらロングスカートになるやつ。


「なん?」
「真樹緒。」
「はい。」
「俺は奥州を治めている。」
「うぃ。」
「小十郎は俺の右目だ。」
「うぃ。」


やって政宗様は伊達政宗様なんやろう?
片倉さんも政宗様って言うてるし、えらい人なんは俺かって分かってるねんで!


でも何や優しいやん?
紳士やん?
じぇんとるまんやん?
政宗様も片倉さんも。
やからねえ、俺ちょっびっと甘えてしまったん。
あかんってゆうんも分かってるんやけど。
ちゃんとさよならしやなあかんって分かってるんやけど。
二人とおったら、二人とくっ付いてたら、甘えてたら、安心するし落ち着くし一人やないなーって実感するってゆうか。


「俺達は城へ戻らなけりゃならねぇ。」
「…ぬん、…」


政宗様は俺の髪をぐしゃって混ぜた。


そうやんね。
お仕事とかもあるもんね。
いつまでもこんな洞窟らにいてられへんよね。
ぬん。
せっかく政宗様と仲直りできて、片倉さんと仲良くなれたのにな。
もうさよならかって思うとちょびっと切ない。


「…二人共、気をつけてね…」


お城がどこにあるか分からんけど。
気をつけて帰ってね。
怪我とかもうしやんようにね。
お馬さんによろしくね。
しばらくの間やったけど楽しかったって伝えてね。

しょんぼりしながら政宗様から目を逸らした。
片倉さん怪我してるし、戦の後みたいやし。
絶対お疲れやん?
ほら寒いしやあ。
やから気ぃつけて帰るんやで。
あ、折角かけてくれたけど上着返さなあかんねえ。


「「真樹緒。」」
「う?」
「何言ってやがる。」
「ぬん?」


すって政宗様が急に腕の力を抜いたから俺の体はぼふって政宗様の胸に直撃してしまう。
思い切り体が落ちてぶつかってしまう。
政宗様は受け止めてくれたけど痛いです。
はっきり言うて痛いです。
お鼻の頭打って痛いです。
地味に痛いです。
ただでさえ低い鼻がもっと低くなったらどないしてくれるん政宗様!


「責任取って嫁に貰ってやるよ。」
「俺男の子やもん。」
「ああ、tinyでcuteなboyだな。」
「褒めてるん。」
「褒めてんだよ。」
「褒めてへんよそれぜったい!」


ぶう。
膨れたらほっぺたを掴まれた。
餅みてぇな顔しやがって、って政宗様が笑う。
もー。
俺の顔のどこがお餅なん。
失礼しちゃうー。


「真樹緒。」
「うん?」
「お前も城に来い。」
「…う?」


今度は俺が政宗様のほっぺた触ろう思ってたら、政宗様がいきなり言うん。

お城?
俺が?
二人と一緒に?


「…何で?」


俺、ここの人間違うんよ?
やあ多分やけど。
ほんでどこからきたんかよう分からん人間なんやで?
さっき片倉さん説明してくれたやろう?
政宗様ちゃんと聞いてた?


片倉さんと政宗様をきょろきょろ見て、首を傾げてみたらぎゅうって政宗様に抱きしめられて、おまけに片倉さんに頭を撫でられてしまう。
聞いてた聞いてたってなんだかちょっぴりおざなりにお返事されてしまう。
もう二人とも!
俺真剣にゆうてるんやで!
そんな笑ってる場合違うんやで!


「ぬん、聞いてたら…何で…」
危なっかしい真樹緒をこんな場所に放っといたら俺らが心痛で腹がやられちまう。


なぁ、小十郎。


確かに。
ぬーん…


何なん。
何なんその理由。
俺そんなに信用ないん。
確かにちょびっと寂しいなぁて思ったけど。
一人不安やったけど。
もう16歳なんやからそれなりに大丈夫やし俺一人でお留守番とかも出来るもん…!
子供違うんやで!
椎茸食べれやんけど、お米いっぱい食べて身長もこれからぐぐんって伸びる予定やし。
政宗様と片倉さん、心配しすぎちがう?


「Ah―?そんな可愛い事言うのはこの口か。」
「いひゃい。」


眉毛をきゅって寄せて政宗様を見たら唇つままれた。
つままれてむにょって伸ばされた。
ぬん。
痛くないけど痛い。


「政宗様、急ぎませんと。」
「I know、さぁ真樹緒。」
「ふぁい。」


なあに。
なあに政宗様。
真面目なお顔で。

もぞもぞ政宗様の腕の中で背筋伸ばして、落ちそうになった片倉さんの上着も直してきをつけ。
政宗様が真剣なお顔やから俺も真剣に聞くん。
ちゃんと政宗様の目を正面から見た。


「青葉城へ来い。歓迎する。」
「ぬー…お断りは…?」
「出来るもんならやってみろ。」
「わあ!」


おでことおでこがごっつんこ。
政宗様のおっとこ前な顔がめさくさ近くにあった。
……近すぎへん?


「body contactだ。」
「ぼ?」


スキンシップの事かなあ?
ぐりぐりおでこをひっつけられて痛い痛い。
擦り切れるよ痛い!
でも逃げようにも政宗様の力が強くて抜け出せやんの何て素敵握力…!
離してぇやってじたばたしたんやけど、やっぱり無理でした素敵握力…!
体格差とか力とか色々お話になりませんでした。
真樹緒無念です…!


俺が色々おろおろしてたら片倉さんが「いい加減になさいませ。」って言うてやっと離してくれて。
知らん間にあれよあれよと俺は政宗様のお馬さんに乗せられて。


「離すなよ真樹緒。」
「分かってるけど、あんまりはよう走らんとってね。」
「怖いか?」
「…お尻痛なるねんもん。」

お馬。
さっき思い切り揺られてお尻ちょう痛いおれ。


「くく、考慮する。」


約束したのに走り出したお馬はさっきの片倉さんのお馬よりも速くて。
俺は政宗様の腕から抜け出やんように踏ん張るのに精一杯でした政宗様ひどい…!
何これやっぱりお尻ちょう痛いんやけど政宗様ひどい!


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筆頭のお城に迎えられました。
そろそろ一章が大詰めです。
ページを重ねるたびキネマ主が幼くなっている気がしなくもないかの子でした。

  

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