「迷える子羊に必要なもの、それは愛!!」
「恐れずともよいのです愛はこの世で最も確かなもの!」
「ああ、子羊よ私とともにおいでなさい。」


その迷い全てをザビー様に委ねるのです!!


ぬ?ザビー様?


あれ?
ザビー様ってゆうた?
ぬん?
なんやちょっと聞いた事ある気がするんやけど。

やあほら。
これからあにきや明智の光秀さんと行くとこ。
あそこもザビーとか何とかゆうてへんかった?
ザビー教。

ぬん。

目の前で愛についてちょうりきせつしてるかっぱさんに声をかける事もできずに、やっぱりおいてけぼりでどうしようかそろそろそわそわしてきた真樹緒ですー。
でも何だか聞いた事がある言葉が出てきて俺のお耳がぴん!っと立ちました真樹緒ですー。
こんにちは!


「そうそうザビー教!」
「おおザビー様を御存じで!!」


ならば話は早い。
あなたも共にザビー様を讃えましょう…!!


「わあ!!」


思い出した名前にぽんって手を打って頷いてたらかっぱさんが急に俺の手を引っ張った。
さあ行きましょうってものすごい力で俺を引っ張った。
見かけはとっても細いおっちゃんやのに、意外なくらいの力で俺の手首を引っ張った。
急に引っ張られたもんやから俺は足元つまづいて転びそうになる。
びっくりして思わず体をよじって。
でも掴まれてる手は全然離してもらわれへんくって。


「やあやあちょっと離してんか!」


俺この後こーちゃんとむさし君探さなあかんってゆうか。
大事なご用があるってゆうか。
ザビーさんとこは後でちゃんと行くから今は俺無理ってゆうか!
つかまれてる手をぶんぶん振って離して貰おうとするのに、俺の手を掴んだかっぱさんは何だかとっても楽しそうにいっしょに手をぶんぶん振るん。
踊りだしそうな勢いで歌まで歌い出すん。
ザビザビザビって歌い出すん。
ええちょっと俺離してほしいってゆうてるのに…!
これ俺まで何か楽しいみたいな感じになってるやん俺そんなつもりないのに…!



「さあ行きましょう愛の国はすぐそこです!」
「俺が行くんはこーちゃんとむさし君のとこなん…!」


やからほんまにもうお願いやから離して!
それでも言う事きいてくれへんかっぱさんに俺がもう一回離して!って叫んだ時。



おいおめー。



おめー、真樹緒にあにしてくれてんだ。
いやがってんだろ。
はなせ。



「(…)」



しゃきーん



……
………



ぬ?



ふって、掴まれてた手がすんなり離れた。
さっきの力がうそみたいに簡単に離された。
結構強い力で掴まれてたみたいで手首がじんじんする。
その手首をさすりながら何が起こったんやろうって顔を上げたらそこにおったのはこーちゃんとむさし君。


……
………


こーちゃんとむさし君!!


「こーちゃんとむさし君!」
「だいじょーぶか真樹緒。」


へんなことされてねーか。
わりーなおしのびおいかけてたらまちのはずれまでいっちまってよー。
ほってくつもりはなかったんだぜ。


「(しゅん、)」
「やあやあだいじょうぶー。」


ぬんぬん。
そんな謝らないで。
こーちゃんもしゅんってしないで。
俺全然大丈夫やから!
へいきへいき。
お顔あげて。

俺かってけっこう一人で町を満喫しちゃって。
お土産とかかってたしお菓子とかも買ってたし。
今から探しに行こうかなって思ってたとこやったんやで。
だいじょうぶだいじょうぶ。
でもそんな事思ってたらこの人に話しかけられちゃってー。


あーん?おめー真樹緒になんのようだ。
(しゃきん)
「ヒイッ!!!」
「ザビー教の人なんやってー。」


ほら、元就様がおるとこの。
ザビー教。
今度おれらが行くとこやで。

むさし君がその人の腕を掴んで、こーちゃんがその人の首根っこ掴んで、何だかつるしあげられてる感じやったかっぱさんはクナイを出したこーちゃんを見て怯えた顔で暴れ出した。
どこからか出したんかむさし君が船のオールを首元に当てたのを見てちょっぴり泣きだした。
じたばたじたばた手を足を動かすんやけどやっぱり力はむさし君とこーちゃんの方が強くって。
何回か繰り返した後、疲れたみたいでへにょっと力を抜いた。


やあやあ大丈夫―?
ほら、こーちゃん俺のお忍びさんやしお嫁さんやし、俺が助けを求めてたりしたからちょっぴり怒っちゃってるみたいでね。
それにむさし君はおれさまさいきょう!やしね。
簡単には逃げれやんとおもうん。
かっぱさんも悪いねんで?
俺離してってゆうてるのに離してくれへんから。
手首けっこういたかったんよ?


「ざびー?」
「ういうい、」
「つよいやつがいるとこだよなそこ。」
「ぬ?うーん、明智の光秀さんがそんな事ゆうてた様な気もするねえ。」
「あけちの?」


だれだ?


え、むさし君いまそこ?


ぬん?
そこから?


「明智の光秀さんやで?」


ほら、銀髪の。
明智の光秀さん。
むさし君明智の光秀さんに柵にとじこめられとったやんか。
俺らが薩摩のお国に来た時。
それにさっきも一緒におったやろう?
俺お約束確認してたよ。

みつあみしてた明智の光秀さん。
みつあみがちょっぴり気に入ったらしい明智の光秀さん。
近江のお母さんともゆうけど、最近ではもっぱら美人おかみで有名な明智の光秀さんやん!


「ああ、あいつか!」
「ぬんぬん。」
あのおかみか!
「ぬ?」
「おかみのことならおかみっていえよ真樹緒。」


……
………


ぬ?


あれ?
俺、ぬん。
俺お名前ゆうたよね。
ちゃんと明智の光秀さんの説明したよね、今。
やあやあむさし君ちゃんと聞いてくれてたん。
近江のお母さんで美人おかみやけど明智の光秀さんは明智の光秀さんなんスルーしやんで…!!

うんうん頷いてるむさし君にお話聞いてって目で訴えてみる。
とっても大事な事なんやねんでって手も伸ばしてみる。
そうかおかみか!なんて納得してるけどそれちょっと待ってほしいんやで間違ってへんけど間違った事教えてしまったら明智の光秀さんに俺が怒られるんやけど!
ちなみに明智の光秀さん怒ったらお母さんの中でも特別怖いんやけど!
(やあおシゲちゃんもとっても怖いけど。さっちゃんも同じぐらい笑顔怖い時あるけど。ってゆうかお母さんは皆怖いけど!)


「む、むさし君、」
「よしおめー、つえーんならおれさまとしょうぶだ!」
「なっ暴力は反対です!!」


わたしは愛の使者としてザビー様理想の信者を増やそうとここに、


「なにいってるかわっかんねー!いくぞー!!」
「え、ちょっとむさし君、」
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
「こらまちやがれー!」



……
………



ぬん…


ザビー教のかっぱさんが物凄く怯えた顔で走り出した。
さっき力が抜けてたとは思えやん程の速さで走り出した。
多分あれ全力疾走やとおもう頑張ってザビー教のかっぱさん。
それをとっても楽しそうにむさし君が追いかける。
お船のオールを振りまわしながら追いかける。
せっかくまた会えたってゆうのにそんなのおかまいなしに走って行く。


やあ、なんてゆうか慣れたけど。
もう結構むさし君に慣れてもうたけど俺。


「……、」
「(……)」


ぬん。


むさし君―!!俺とこーちゃんここでかりんとう食べてるからすぐに戻って来てねー!!

「まかせろー!おれさまはまけねー!」

「はやくねー!」


どうやってお話したらいいんかも何となく分かって来たよ!
お話聞いてくれへんしもうそこはむさし君やからってゆう事でのりきるしかないよね!
俺そんなむさし君もだいすきよ…!


「こーちゃん。」
「(……)」
「こーちゃんはもうどっこも行ったらあかんよ。」


俺実はひとりぼっちで寂しかったんやからね。
町を満喫したけど本当は三人で回りたかったんやからね。
むさし君を追いかけるんやったら今度から俺も連れて行ってね。


「(こくん)」
「いいこ。」


おやくそくね。
はい、ほんならゆびきりげんまん。

こーちゃんの小指と俺の小指をしっかり結んでおやくそく。
こーちゃんが俺の事考えてくれての事やってゆうん知ってるけど、やっぱり寂しいんは寂しいんやで。


「じゃあむさし君帰って来るまでお芋のかりんとう食べよう?」
「(?)」
「向こうの通りでね買ったん。」


あまくてとってもおいしそうやからいっしょに食べよ!
大丈夫むさし君はちゃんと戻って来てからわけるから!
すぐ帰って来てくれると思うけど、あつあつやしお先に頂きましょー。


「(こくん)」
「ぬん!」


やっとさびしく無くなった俺は、こーちゃんと二人あつあつのかりんとうをてのひらに乗せて笑う。
いいにおいやねって笑う。
口に入れたらやっぱり甘くて幸せでまた笑う。

やあやあよかった。
いっしょにかりんとう食べれてよかった。
かりんとうのお店のお隣には栗が売っててね、もし日暮れまでに時間があったらそこも覗きに行こうね。
今度は絶対に三人で!


--------------

ナンパしてきたのはザビー教の人でしたでもこれ別に後々のフラグなんかじゃなくて三人再会するためだけのイベントだったりします安易…!

この後すぐにむさし君が戻ってくるので後は鍛冶場へ戻るだけ。
もっとぶらぶらしたかったのですがきっとアニキが待ちくたびれてるので。
明智の光秀さんもきっとイライラしてると思うので。

武蔵くんの扱い方が分って来たキネマ主は一つ強くなりました。
慣れって怖い。
武蔵くんがアニキに飛びかかっていってももう驚きません。
またやってる好きやねー。
アニキはとんだ迷惑ですね!

後はむさし君が明智の光秀さんをおかみ呼びした後どうなるかですが。
キネマ主がまずお仕置されて、その後武蔵くんがお仕置きされます多分。
誰がおかみですかってチョップされると思うけどきっと武蔵くんはずっとおかみって呼ぶと思います正しいのは自分だから彼!

  

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