「けっほけほ!!」


ぬー!
なにこれ!
なにこれ…!


俺いまありじごくに落ちたありんこの気持ちとってもよう分かるんやけど…!
砂に足取られてどうにもできやんありんこの切ない気持ちとってもよく分かるんやけど…!
何これ俺砂の中に埋まってしまったんちがうん!


「どーだ!おれさまじるしの落としあな!!」


いっとくけど一つじゃねーかんな!
おれさまじるしの罠はそっこらじゅうにしかけられてんだ逃げ場はねー!
どんなときも先をよむ!
おれさまさすが!!


えええおとしあな…!!


まじで!
俺落とし穴に落ちたんまじで!


声が聞こえる方を見上げたらでっかい穴の入口が見えた。
まんまるい入り口が見えた。
やあ青いお空も見えるいい天気ですね―。
ちょういいお天気やから旅行びよりやってんけどねー。
ぬん。
ってゆうか結構深いよねこの落とし穴…
お空が遠い!


「ぬー…どうしよー。」


ちょっと落ち着いて辺りをきょろきょろ。
体中砂だらけやけどけがはしてへんみたいよかったー。
おこづかい入ってるきんちゃくも無事やで。
ゆっくり立ちあがったら落とし穴の穴が顔に近づいた。
背伸びしたら顔出せるかなーと思って頑張ってみたんやけどやあ。


坊やうちの子に何をするんですか戯言は科白だけにしなさいよ…!

「(しゅっしゅっしゅっ!!!)」

「てめーら二人がかりなんてひきょーだぞ!!」


おれさまをおこらせてーのか!
このおたんこなす!


お黙りなさい。


穴掘って待ち構えていた坊やに言われたくありません。
半分以上はあの子の不注意ですがいざ落とされると腹が立ちます。
覚悟なさいよ。



「(こくこくこく!)」



「ぬーん…」


刀抜いた明智の光秀さんとクナイを持ったこーちゃんがむさし君を物凄い速さで攻撃してました。
足元にある落とし穴も何のその、落ちる寸前で飛び上がるってゆう何かすごい技使って回避ですさすが武将さん…!

えええーあれどうなってるんやろう俺もできるかな。
落とし穴あった!って気ついてすぐ飛びあがったら避けれるんちがうもしかしたら。
後でちょっとやってみようかな。
一人では無理でもこーちゃんとかに手伝ってもらったら大丈夫かな。
でもまず今おる落とし穴から出るんが先よね…!
ぬーん!



やあ分かってるんよ?
分かってるんやけど落とし穴の長さが俺の背よりも長いってゆうか。
背伸びしてやっとこ目まで出てるってゆうか。
背伸びやめたら届きもしないってゆうか。


「こーちゃんか明智の光秀さんひっぱりあげてくれへんかなー。」


こう、俺ばんざいするから。
ばんざいした俺の両手をがっつり持って引っ張り上げてくれへんかなー。
何だかこんな落とし穴に一人ぼっちやったらそろそろ寂しいんやけど!
切ないんやけど!
砂だらけやし!
もう一回背伸びしてひょっこり穴から頭を出した。
明智の光秀さんかこーちゃんが近くにいてたら出してってお願いしようと思ってたんやけど。


「まだまだまだまだぁぁ!おれさまじるしの奥の手!!」


目の前を石のつぶてが。
ものすごい勢いで石のつぶてが飛んでるんやけど何これちょうあぶない…!
ひゅんひゅんひゅんひゅん石のつぶてが襲ってくるんやけど何これむさし君ちょうあぶない…!
これ当たったら絶対に痛いと思うんやけど、
たんこぶ出来ると思うんやけど、



ガツン!!



「いたい…!!」


あたった…!
おでこに石のつぶてあたった!
思いっきりあたったやっぱりちょう痛い…!
何これ。
何これたんこぶどころか頭割れそうちょう痛い…!!


「にょおおおおお!」
「(!?)」
「真樹緒!?」


何をしているんですあなた私達が坊やを大人しくさせるまで穴の中に入っていなさい怪我しますよ!


「もうしたもんー!」


うわーんあたま痛い…!
割れる!
割れた!


「忍!」


早く真樹緒の元へ。
これ以上怪我をさせるんじゃありませんよ!
俺がおる所よりちょびっと遠くにいた明智の光秀さんが叫んだ。
鬼の形相で叫んだ。
隠れていなさいって叫んだ。

やって。
やって俺穴から出ようと思って。
明智の光秀さんとこーちゃん探そうと思って。
声も聞こえやんし顔も見えやんから見つけたくって。
ぬん。
明智の光秀さんから怒られてしょぼん。
でもどうしたって俺が悪いから言い返せやんくってやっぱりしょぼん。
しょんぼりしてたらすぐにこーちゃんが来てくれた。


「(しゅた)」
「こーちゃん…」


もう、こーちゃん。
こーちゃん、もう。
俺一人で穴の中に落ちて寂しかったんやからね。
こーちゃん俺が落とし穴に落ちたんを怒ってくれるんは嬉しいけど、でもやっぱり俺の傍におってね。


「(こくん)」


穴の入口に来てくれたこーちゃんは俺の手を持って引っ張り上げてくれた。
俺をだっこして石つぶがあたったおでこを撫でてくれる。
優しく優しく撫でてくれる。
はれて無い?って聞いたらちょっとこーちゃんが黙ってもうたからもしかしたらはれてるんかもしれへんなー。
後で冷やしとこうかな。
手拭い濡らして。
たんこぶはやっぱり冷やした方がええもんね。
ぺたぺた自分のおでこを触ってこーちゃんを見上げた。
大丈夫やでありがとって笑って。


「明智の光秀さんは?」
「(すっ、)」
「あっち?」


こーちゃんが指さす方、海の方を振り返る。
いつの間に海の方へ行ったんやろーって手をおでこにかざして。
きょろきょろ探した砂浜。
落とし穴だらけの砂浜の向こうにさっきまで無かった柵が一杯立ってるんが見えた。
あれ?
あんなところに柵があったやろうかって首を傾げた時。



呪詛的千棘。



ドオオオオン!!



「!?」


その柵の傍でごう音と砂煙が巻き起こる。
俺とこーちゃんがおるとろこまで砂がびしばし飛んできて目をぎゅってつむった。
こーちゃんが俺を胸に抱えてくれるんやけどあんまりにも激しい風が吹いてきて飛んでいってしまいそう。
ぎゅうってこーちゃんにくっついてしばらく、やっと風がやんで。


「ぬん、」


顔にはりつく髪の毛をよけながら音がした方を見たら。


「ばっきゃろー!」


なにしやがる!
これはおれさま手製の柵だぞ!
なんでおれさまがはいってんだ!
おめーがいてー目みやがれってんだ!


「ふふ…己が仕掛けた柵に己で捕まっていれば世話はありませんね。」


おいたが過ぎますよ坊や。
うちの子を傷物にされては困ります。
あれが血を流しでもしたら坊やの息の根が止まりますよ。
思い知りなさい。




……
………



ぬーん!


明智の光秀さんが笑顔でちょう恐ろしい事を呟いていましたちょっと乱れたみつあみはやっぱり美人おかみやけど言ってる事が全然美人おかみやありません…!
ていうか明智の光秀さん何したんやろうむさし君が柵で出来たオリみたいな奴の中に閉じ込められてるけど!
まじで!


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武蔵君と出会いました。
なんか攻撃されましたけれど次からはじっちゃんも来るし仲良くなるんですよ…!
それにしても武蔵君は最終的に本当におれさまさいきょうになるから素敵ですよね。
でも今はまだまだ子供で経験とかがあまりないので賢い近江のお母さんには負けてしまいまする。

そして美人おかみ引っ張ってすみません。
この分だとザビーさんの所にも美人おかみで行きそうです。
意外に髪の毛纏めたら動きやすくなって気に入ったんだと思います最近お母さん甘いので。

次回はじっちゃんと武蔵君。
武蔵くんとキネマ主が仲良くなって、武器も手に入れて、島津のじっちゃんとお話して。
それからザビーさんのとこへ繰り出します。

  

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