「これ、全部持ってきてくれたん?」
「(こくり)」
「あ、火つけるやつも?」
「(こくん)」
「こーちゃんすごい!!」


ありがと!!


こーちゃんが崖をしゅたたたたって降りて行ってすぐ、ほんまにすぐ、おっきな丸い爆弾三つとその爆弾に火をつける火打石を持ってこーちゃんが戻ってきました。
せっかく雪積もってるんやからこーちゃんが帰ってくるまで雪だるまでも作ろうかなーって、雪玉を丸めて頭と体を作って、手になる木が無いかなーって思ってた時やったからその速さに俺びっくりよー。

ぬんぬん。
真樹緒ですまだまだいくさばの近くでこんにちは!!

目と口は作ったから後は手だけやったのになー。
雪崩作戦終わったら完成させよー。
ゆきだるま!
冬にはやっぱりこれよねー。


「ありがとー。」
「(ふるふる)」


こーちゃんの頭を撫でて丸っこい爆弾を一個見せてもらう。
黒い爆弾はつるっつるで火をつける縄みたいなんがてっぺんについてるん。
まるでゲームにでも出てきそうな何てシンプルな爆弾―。

ほら、あるやん。
道にこんな爆弾置いてどかん!って爆発させるやつ。
たまにうっかり自分も巻き込まれちゃうやつ。
あれやるせないよね…!


「本物やー。」


受け取ろうと思ったんやけど重いし危ないから俺触ったらあかんってこーちゃんに言われてしまったから近くで観察。

ぬー。
こーちゃんは心配症よねー。
ちょっと触るだけやのに!
俺が手を伸ばしたら三つともひょいっと俺の手が届かんところに持ち上げるんやで。
こーちゃん力持ちなん。
その爆弾結構重いと思うのにー。
両手に三つ軽々持ってるん。


「政宗様にばれへんかった?」
「(こくこく)」
「さいさきよいですねー。」


さっすがこーちゃん!
さぁ、必要なもんは揃ったよ。
後はあのお山に近づいてどかんと一発…、ぬんぬんできたら三発とも爆発させれたらこう、うまいこと雪崩が起きるはず!
ほんなら戦も終わるよねー。
雪崩には勝てないわよねー。

ぬん!
がぜんやる気出て来た俺!!


「ほんならこーちゃん、あのお山の方へ行ってみよー。」
「(こくり)」


ターゲットのお山の近くがな、木がいっぱい生えてて森みたいになってるからまずそこに行ってみよー。
木の上から現地調査やで。
どうやったらあそこに爆弾ぶつけられるかなーって考えなきゃねー。
ここからやったらちょっと遠すぎるんお山。

やー、ほら俺のおる崖の下には政宗様らがおるやろう?
その左の方に浅井さんがおるねんけど、俺が狙ってるのはその浅井さんがおる方の更に奥なん。
見てるだけやったら何となく近く感じるんやけど、この爆弾ぶつけるとなったら流石にちょっとねー。


「あ、でもちょっと待ってこーちゃん。」
「(?)」


やぁやぁ、大変。
こーちゃん。
なぁ、こーちゃん。
こーちゃん三つ爆弾持ってきてくれたやん?
って事はその爆弾三っつ今やってるみたいに両手で持ってあそこの森行くって事やん?


……
………


ぬう。
ほんなら俺は?


「()」
「やぁ、こーちゃんだけに危ない事はさせられないわー。」


やから俺も連れてってねー。
置いていかないでー。
一緒に行きたいやん、そこは。
一人寂しいやん。


やからな、俺が一緒に行くってなったらどうしようかなーって思って。
こーちゃん両手がふさがってしまう訳やし。
ただでさえ重量感たっぷりな爆弾やのに。
俺さらによいしょって運んでもらわれへんやん?そうなったら。

どうしようか、ってこーちゃん見上げたんやけど。
おいてけぼりは嫌やなーってゆうおねだりとかもしてみたんやけど。


「(ぐっ)」
ぬ?


こーちゃんがどっかで見たことある感じのいい笑顔で親指立てたん。
ちょうキュートないい笑顔で親指立てたん。



「(ま か せ て)」


……
………


あれ、デジャヴ?


ほら何かこんなやりとり前やったで俺。
しかもこーちゃんと結構最近。
まかせて、って。


……
………


ぬん…
やぁ、甲斐に来る時にこーちゃんと一緒にお空ダイブした時にこんないい笑顔見た俺。
すっごい可愛い笑顔見た俺。



………デジャヴ!!


「なんかいい考えあった?」
「(こくり)」


こーちゃん一体どうするんやろうって俺はぱちぱち瞬き。
じいっとそのまま見てたらこーちゃんが爆弾に火つけたん。
火打石をかちかち叩いてね。
何でここで火つけるんかなーとか思ってたんやけどこーちゃんが任せてってゆうし。
こーちゃんは俺に嘘ついたりはせえへんし。
あのイイ笑顔は結構ドキドキするけど。
じっと見守ってたん。


ほんならね。


「こーちゃん?」


あれ?
その爆弾三つとも火ついてるよ?
バチバチバチバチ俺が思ってたより激しい火花散ってるよ?
あれ、それすぐに爆発するん違うんこーちゃん危ないよ…!!


そんなちょう激しい爆弾を持ったままこーちゃんが俺からちょっと遠ざかって。
さらに助走をつけて、思いっきり飛び上がって。
そりゃぁもうそのまま飛んでってしまうかってゆうぐらい高いとこまで飛び上がって…


「(しゅっしゅっしゅっ)」
投げるん…!?


ええ、デジャヴ!!
やっぱりデジャヴ!!
今度は甲斐のお屋敷のデジャヴ!!

俺が見守ってる目の前でこーちゃんは火のついた爆弾を雪山に向かって投げました。
三つもあった重たい爆弾をその重さを感じさせないぐらいの勢いで投げました。
しかも結構な素早さで三つとも…!

こーちゃんまじで!
こっからあのお山遠いよ…!
間に森があるんよ。
こーちゃんまじで…!



ドドドドドォォォ…ン!!



とどいた…!!!


まじで!!

こーちゃんが投げた爆弾はきれーなほうぶつせんをえがいてお山まで飛んで行きました。
しかも俺が当たったらええのになーと思ってたところにピンポイントであたって爆発しました。

おお、すごい。
こーちゃんがすごい。
知ってたけどこーちゃん凄い!!
俺のお嫁さんは伝説のお忍びさん。

爆弾三つもなんのその、何メートルとかはよう分からんけど多分50メートルプールよりもはるか向こうにあるお山のてっぺんに素敵に命中させてくれました!!
こーちゃんすごいー!


「こーちゃんありがとー。」
「(ふるふる)」


ほんまにすごいねぇ、こーちゃん。
ありがとう。
言いながらこーちゃんの頭を撫でる。
ちょっぴり照れて首を振ってるこーちゃんちょう可愛いー。

はい、なでなでー。
俺計画したのに何にもしてへんくってごめんねー。
行動力はあるつもりだったんだけどー。
こーちゃんにはかなわないわ!
こーちゃんが頑張ってくれたから後は雪崩待つだけよー。


「雪崩起きるかな。」
「(こくこく)」


雪崩ってじわじわくるみたいやから。
来たら後は早いらしいけど。
はよう起こってくれやんと政宗様らが疲れてきちゃうじゃないー。


「おいこら真田!真樹緒は無事で甲斐の屋敷にいるんだろうな!」

「無論!」


お館様にお預け申し上げてきました故!
ご安心めされよ!


……
………


そして俺がここにおるんがばれてしまうじゃないー。
大変。
そうなったら大変。
もしかしたら政宗様怒ってお口きいてくれへんようになるかもしれへんよ。


「真田の忍、何だって真樹緒は甲斐に来たんだ。」

「え?そんなのあんたらに会いたいからに決まってるじゃない。」


ほら、真樹緒って考えるより先に即行動だろ?
会いたいなーって思ったからやってきたんだと思うけど。
戦するから心配で、ってのもあるだろうけどさ。


「あの馬鹿野郎が…!」
「まぁまぁ、落ち着きなよ右目の旦那。」


健気じゃないの。


「てめェが焚きつけたんじゃねぇだろうな。」
「言い掛かりはやめてくれるー?」


唯でさえ俺様、伊達さんから睨まれてるのにさ。


……
………


こじゅさんにもお口きいてもらわれへんかもしれへんよ。
そんなん嫌や…!!!


「理の軍達よ!私に続け!!」


目の前にあるは悪なり!
己の信念に誓い進め!
悪を削除する!


「ぬー…浅井さんちょう元気―。」


なぁなぁ、こーちゃんお山の様子どお?
このままやったら戦が終われへんかんじなん。
浅井さんまだまだ元気いっぱいなん。
爆弾が命中したから五分くらい経ったと思うんやけど。

こーちゃんを見たら、こーちゃんがお山を指差した。
真っすぐ人差し指であそこ見て下さいって指差すん。


「うん?」


ほんなら!
ほんなら…!


「わぁ…」


ちょっとづつやけどお山の雪が動いてたん!!
ずずずって下の方にずれてきてるん!


「こーちゃん!!」
「(こくん)」


すごい!
ほんまに雪崩起きるよ!

雪が流れてくるん。
めさくさ積もってたからいっぱい流れてくるかな。
雪崩って実際見たこと無いから、どんな風にやってくるかは実は分からないのよねー。
政宗様らちゃんと避けれたらええねんけどー。
でもあんまり勢いよく流れて来てないから大丈夫やんなぁ?
こう、そふとにふんわり雪に包まれる感じやろうか。



ドドドドド…
ドドドドドドド…




「…」
「(…)」



やぁ、結構凄い音になってきたけど。
そふとにふんわりとは程遠い感じやけど。

こーちゃんと顔を見合わせて、二人でお山を見上げて、また顔を見合わせて。
暫く黙ってからまたお山を見上げた。

目の前にある雪山は白い煙をもくもく吐いてくすぶりながら動いてる。
始めは小さい振動やったのに今はまるで地震が起こったみたい。


「…」
「(…)」



お山とは結構遠いところにおったと思ったのに目の前は飛んでくる雪で猛吹雪。
顔にびしびし雪があたるん。

なぁ、こーちゃんこれ。
そふとどころかとんでもなくおっきい雪崩になるんちがう?
俺ら何や大変な事してもうたんちがう?


ぬーん…
まじで!!



ドドドドド
ドドドドドド


ドォォォン…!!!




「Ah?何の音だ?」
「む、山の方から聞こえてくるようですが。」



ゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴ




「え、ちょっと何あれ雪が。」


雪が物凄い勢いでこっちに迫って来てるんだけど何で…!!!


「政宗様!こちらへ!」
「旦那!雪崩だ!!」


それ以上進むな!
引くんだ!


下から色んな声が聞こえてくる。
やぁ、流石さっちゃん大正解―。


「(…、)」
うん、そんな事ゆうてる場合ちがうよね。


ういうい。
もう俺がここにいるのがばれるとかそんな事考えてる場合違うよね。
政宗様達の安全が第一よね。
って事でー。


政宗様―!!!


Ah!?
「あれは…」
「あっ、こら真樹緒!何してんの!!」
「っ真樹緒だと!?」


やぁやぁ皆さんごちゅうもくー。
戦やってるとこごめんねー。
急にごめんなさいねー。

でもね、聞いてほしいん。
何で俺がここにおるんかってゆうツッコミも後にしてくれると嬉しいわー。


ほら、さっちゃんゆうたみたいに今からでっかい雪崩くるんやんかぁ。
やぁ、これは作戦やから大成功なんだけどー。
ちょっと爆弾の量間違っちゃったみたいでー。
俺もこーちゃんもうっかりしちゃってー。
みんながおるそこな、ちょう危ないん。


やからやぁ。


にーげーてー。


ちょう逃げて!
お馬さんに乗ってちょう逃げて!
あの勢いやったらすぐにそこ雪で埋まってまうと思うからー。
がんばってにげて!!


「…」
「…」
「…」
「…Ah―…」



Jesus…


どこにだ…!!!


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雪崩作戦まずは成功です(笑)
つっこみ不在にもだもだしてたのですが、政宗様達とも顔を合わせることが出来てすっきりです。

政宗様達はちょうびっくりしました。
キネマ主がいるのにも驚きましたが、雪崩で思考回路はショート寸前です。
月に代わってお仕置きされるどころじゃないキネマ主。
のちにめさくさ怒られるのですが!


  

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