「政宗様―。」
このだるま叩いてもいい?
黄色いの。
「よし、思い切り叩いてやれ。」
「はい!」
こじゅさんの背中に乗って進んだ先は何や床に穴がいっぱいあいてて。
お空からおやかた様の声が聞こえてきたと思ったら、色とりどりのだるまがその穴から出てきました。
巨大だるまたたき!!
真樹緒ですこんにちは!!
「えいやぁ!」
おやかた様が言うにはなー、何や次のお部屋に行くにはだるまさんを一杯たたかなあかんらしいよ。
黄色とー赤とー青とー黒があるねんけど黒は叩かんほうがええねんて。
たまにびっくりするぐらい背ぇ高いだるま叩きが出てくるから「ひょおっ!」ってなるん。
そんなんはこじゅさんや政宗様にお任せなん。
ほら俺背ぇ足らんから。
「政宗様、だるま引っ込んだ!」
「Good!!」
だるまな、ぽこんって叩いたら引っ込むねんで。
面白い!!
黒いのをよけつつ赤いのと黄色いのをぽっこぽっこ。
段々早くなってきてちょっと難しい。
ぬー。
追いつけやん!
「政宗様、」
「どうした小十郎。」
「急ぎませんと後ろから。」
「Shit!」
ぬ?
後ろ?
政宗様が舌打ちして、こじゅさんが面倒臭そうな顔して。
なぁに、って振り返ったらそこにはさっちゃんとこーちゃん、そしてめらめらしてるゆっきーが!
やぁ皆追いついて来たんやねぇ。
はようおいでー。
だるま叩き面白いで!
ものすごいスピードでだるま見えやんけど!
「はーい、小天孤仮面ちゃんはこっちにこようねー。」
「ぬっ!」
「ってめぇ猿!」
「政宗殿!こちらにおられたか!」
「っチ!面倒臭ぇ野郎が!」
こっちに走ってくる皆に手ぇふりふり。
早くー!って呼んでたんやけど一番前走ってたさっちゃんが俺をだっこしてやぁ。
あれ。
さっちゃん、俺もうちょっとだるま叩きしたいんやけど。
ほらあの高速で動くだるま。
おやかた様がだるま叩けって言うてたよ。
「はいはいあれは旦那達に任せとこうね。」
ちょっとこれから危ないから。
達磨叩きどころじゃなくなるから。
あの大将がただ達磨叩きだけやらせる訳ないでしょ。
「ぬ?」
「ちゃんと掴まっててね。」
大将のとこ行くよ。
奥にいらっしゃるから。
待ちくたびれてるんだから。
「ぬ?おやかたさま?」
「そう、今は火男仮面だけど。」
「ひょっとこ…」
えー。
ひょっとこやて。
おやかた様がひょっとこ。
さっちゃんとおんなじようにおやかた様はひょっとこのお面つけてるんやろうか。
…ちょっと見てみたい。
おやかた様は男前やからきっとひょっとこのお面も似合うよね!
「俺様と一緒に行くでしょ?」
「うぃ。」
「じゃぁ後ろのこーちゃんどうにかしてね。」
お願い。
さっちゃん負けるつもりはないけど、このままじゃ色々大変だから。
「ぬ?」
笑ってるのに笑ってないさっちゃんがいつもに増してまじです。
ひょい、ってさっちゃんの後ろを覗き込んだらこーちゃんが武器を持って迫ってました。
ほらあのいっつも背中に背負ってる武器。
たまに必殺技とか出ちゃう武器。
あれ、ついさっきまでクナイやったのにいつの間に。
「こーちゃん、こーちゃん、」
「!!」
武器しまって。
危ない危ない。
片付けて。
さっちゃんは俺をおやかたさまのとこまで運んでくれるだけなん。
やさしいんやでさっちゃん。
やから仲良くしてな。
もう、こーちゃん最初はさっちゃんと仲良かったのに最近どないしたんー。
……
………
「(フルフルフル)」
「俺様風魔と仲良くなった覚えは一度たりとも無いけど。」
「ぬ?」
あれ?
そうやったっけ。
うん?
松永さんとこで出会ったときは仲良さげやったように見えたんやけど。
見間違い?
首傾げたらさっちゃんとこーちゃんに思いっきり頷かれました!
ぬー。
俺のかんちがい!!
でもちゃんとこーちゃん武器は片付けてくれて。
今は俺とさっちゃんのお隣を飛んでるん。
いい子!
さすが俺のこーちゃんね!
「って事で、竜の旦那達はもう少し気張ってね。」
「Ah!?」
「政宗様、下から奇怪な音が。」
さっちゃんがにっこり笑ったらだるまが消えて下からごごごって音が聞こえた。
何の音やろう?
政宗様とかゆっきーとかがきょろきょろしてるん。
俺もさっちゃんの腕の中できょろきょろ。
こじゅさんは緊張した顔してるしやあ。
とんでもない大きさのだるまとか出てくるんやろうか。
どうやろう。
政宗様やこじゅさん、ゆっきーでも太刀打ちできへんようなだるまやろうか。
大穴でおやかた様とか。
おやかた様がひょっこりでてくるとか。
「だから大将は奥にいるんだってば。」
「あ、そうかー。」
「あそこから出てくるのは鬼兵ってねー。」
「鬼兵?」
「ほら」ってさっちゃんが指差した先には何やいかつい兵隊さんが。
いっぱい。
政宗様の二倍ぐらいはありそうないかつい兵隊さんがさっき可愛らしいだるまが出てたとこからいっぱい。
いっぱい!!
「さっちゃんあれ何。」
角ついてるよあの兵隊さん!
でっかいよ!
怖いよ!
金棒持ってるよ!
……
………
鬼に金棒とかそんなうまいことゆうても俺だまされへんよ!!
「政宗様、お下がりください。」
「何だぁこいつ等は!」
「甲斐の誇る鬼兵にござる!」
何でゆっきー目きらきらしてるん絶対それあぶないよ…!
「さー、大将んとこに行くよ!」
「ぬー…政宗様ら大丈夫やろうか。」
「強さだけが取り柄なんだから大丈夫だよ。」
「(こくこく)」
「ぬー…」
ちょびっと心配!
政宗様もゆっきーもこじゅさんも気ぃつけてね!
←book top
←キネマ目次
←top