だっこは手がふさがってしまうから、ってこじゅさんの背中に乗っかって暫く、相変わらずシャッキーンって伸びてくる針を物ともせずにこじゅさんは俺を針山の出口に連れてってくれました。
真樹緒ですこんにちは!
お久しぶりね!!
「…小天孤仮面じゃねぇのか。」
「は!!」
そうやった。
うっかり。
ちょっと俺うっかり。
仕切りなおしで小天孤仮面ですよこんにちは!!
こじゅさんの背中はとっても居心地がよくってやぁ、俺安心しておぶさってられたよ。
あったかいし広いし素敵な背中やねん。
落ち着くん。
「真樹緒。」
「小天孤仮面なん。」
「…」
「…」
……
………
「真樹緒。」
「……はい。」
「降りるか?」
取りあえず安全な所には辿り着いたみてぇだが。
こじゅさんがでっかい扉みたいなとこの前で振り返った。
額にちょっと乱れた髪の毛が垂れてて、いつもより一層こじゅさんは男前ですよすてき。
でも先にいったはずの政宗様がまだ扉のとこにおらんくって、針山の方探してた俺は「うん?」って。
「どうする。」
「ぬぬ?」
やぁやぁこじゅさん。
もちろん降りるよー。
やって重たいやろう?
さっきはちょっと天孤仮面さんにおぶってもらってたんやけどもうこんな針山みたいな危ない場所無いと思うしやぁ。
俺が歩いてても大丈夫やと思うん。
このお面前が見えやんのちょいと困るんやけどな、こじゅさんとか政宗様も一緒にいってくれるやろう?
そりゃぁこじゅさんの背中はずーっとおっときたい気持ちでいっぱいやねんけどなー。
あったかぬくぬく。
広くて思わず眠ってしまいそーな素敵な背中!!
……
………
「…おってもええ?」
「…落ちるなよ。」
しっかり掴まってろ。
後ろからそおっと覗き込んだらこじゅさんが俺の体を抱えなおしてくれてん。
若干お疲れなこじゅさんやけど、その笑顔はやっぱりイケメンです!!
おおきにこじゅさん!
落ちやんようにぺそっとくっついてるからね!
よろしくお願いします!
「Hey真樹緒!」
「あー!!政宗様!」
「cuteな格好だな。」
お面をちょっとずらしてこじゅさんに笑ってたら政宗様が!
政宗様が針山からようやくやってきてくれました!
待ちくたびれたよ政宗様!
てっきり先に行ってるかと思ってたのに。
ゆっきーと遊んでたん?
ちょっと前髪がすすけてチリッとなってるんはそのせいやろうか。
サラサラな黒髪がそこだけちょっぴりちりっとなってるん。
「…あの野郎、こんなとこで火ィ出しやがって。」
「政宗様も雷を出しておられたのでは。」
「Ha!売られた喧嘩を買わずにどうする!」
そうよねー。
政宗様はそうよねー。
買っちゃうよね。
俺としてはその喧嘩の原因がとっても気になるところやけど。
さっちゃんは何にも教えてくれへんかったし。
あ、そういやさっちゃんどこやろう。
さっきは上の方におったんやけど。
ひょいって針山の方振り返ったらやぁ。
「ぬっ!貴様は先ほどの忍!」
真樹緒殿をどこに隠した!
申さねばこの真田幸村、今再び全力を以ってそなたと対峙しようぞ!
「うっわちょっと本気で面倒臭い!!」
大将!
俺様もう知らないからね!
取りあえず先にそっち行くから!
「逃げるか!」
「俺様も暇じゃないんでね!」
「(ヒュッ!)」
「えっちょっ!あんたどっから!」
あ、こーちゃん。
こーちゃんそこにおったん。
姿が見えへんから心配してたんやけどここにおったん!
相変わらずさっちゃんとは仲良しね!
「ちょっ!そこの小狐ちゃんこの子止めてくれない!」
えー。
でもー。
「まさむねさま…」
「止めとけ。」
「…こじゅさん。」
「政宗様の言う通りだ。」
「むーん。」
何やこーちゃんが行ったらあかん空気出してるしー。
先に行っててゆうてるしー。
こじゅさんも政宗様も目が行くなってゆうてるしー。
ここは多数決で俺はこじゅさんの背中におっときたいなー、なんて。
「そなたは真樹緒殿の…!」
よく参られた!
真樹緒殿を攫った忍がそこに!
(…)
シュッシュッシュッ
「もう、あんたも相当面倒臭い奴だね!!」
……
………
「…やぁ、何か大変そう…」
ゆっきーはゆっきーでメラメラしてるし。
さっちゃんはさっちゃんでぴょんぴょんしてるし。
こーちゃんはこーちゃんでクナイをシュシュシュってしてるし。
ぬー。
邪魔したらあかん、っぽい?
どうしよう。
どうしよう、天孤仮面なさっちゃんがゆっきーに追いかけられてるけどって政宗様見下ろしたら前におるこじゅさんが「そんな事より真樹緒」って。
「ぬ?」
「何でお前がここにいるんだ。」
「…ぬ?」
あれ?
言うてへんかったっけ?
やぁ、一緒にお昼寝してた政宗様が起きたらおらんかったからこーちゃんに頼んでこのお御堂まで連れて来てもらったん。
さっきまでこーちゃんとおったんやけど、様子を見て来ますってこーちゃんが先に行ってくれてなー。
でも俺もちょっとお御堂の奥入ってみたくてやぁ、その時調度やってきたさっちゃんこと天孤仮面さんにここまで連れてきてもらったんよー。
「寂しくて追いかけてきたのか。」
「わかってるんやったら急におらんようにならんとってー。」
「この野郎!」
「わぁ!!」
ほんまにびっくりしたんやで。
政宗様のちりっとなった前髪わさわさしたら、政宗様は笑いながら俺のほっぺたをむにっと引っ張るん。
もー。
やめてやー政宗様。
寂しかったんはほんまやけどー、そんなにほっぺた引っ張らないでー。
こちょばい!!
「Oh、sorry」
「もー。」
次は気をつけてね。
ぷにっとするんやったらもうちょっとそおっとやってね。
ほら、俺こちょばいの弱いから。
へら、って笑ったら政宗様も笑ってこっちへ来いって。
どうせ奥まで進まなきゃ外に出られねぇんだって言いながらこじゅさんの背中におった俺の腕を引っ張るん。
そっかー。
出口は奥なんや。
ぬー。
でもやぁ。
「あかんよあかんよ政宗さま。」
「Ah?」
「今日はこじゅさんのきぶんなん。」
「……Ah?」
やからずっとこじゅさんの背中におるん。
さあさあこじゅさん、次のお部屋にいきましょー!!
次はどんなお部屋なんやろうか。
もう針山とか恐ろしいのやなかったらええのにね。
「れっつらごー!!」
ほら、こじゅさんもごー!やで。
政宗様も!
扉の置くの道を指差してこじゅさんと政宗様を呼んで。
次のお部屋に出発です!
「…小十郎。」
貸せ。
「…否、」
この先何が待ち受けているやも知れません。
どうせこの後も何かと真田と対峙するのでありましょう。
そんな危険な領域に真樹緒を入れられますか。
ここは小十郎が。
「この野郎…!」
「何と言われましても。」
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