こーちゃんがお屋敷の屋根の上をひょひょーい、って飛んだら何だかお堂みたいな所につきました!
真樹緒ですよ。
こんにちはー。
「ここ?」
「(こくん)」
こーちゃんが降りたとこはな、木がいっぱいの森みたいなとこで。
そこには何と立派なお堂が建っていたのです。
ぬー?
こんなところにこんなんあったっけ?
てか森あったっけ?
こーちゃん見上げてみたらす、ってだーれもおらんお堂の奥を指差すん。
「みんなおるん?」
「(こくん)」
ここにな、政宗様だけやなくてゆっきーとかさっちゃんとかもおるんやって!
けはい?で分かるらしいん。
皆の気配がここに集まってるんやてー。
流石こーちゃん!!
俺の自慢のこーちゃん!
ありがと!!
って事でちょいとおじゃましましょー。
「こーちゃん、入ろー。」
こーちゃんの手ぇ引っ張って古い感じのお堂にそろっと入ってみたら木のいい匂いがした。
ほんで何やひんやりしてるん。
結構中も広くってな、天井も高い。
緑色した垂れ幕?みたいなんがぷらーんって柱からぶら下がってて、何やタイコもある。
きょろきょろ見渡してたら奥に続く感じの扉が開いてあって、その扉の上に。
「ひゃくにんくみて…」
うん。
達筆な字で。
百人組手って書いた紙が入った額縁が。
「まじで。」
組み手するん。
ここでするん。
ほんならここ道場か何かかな。
でも百人てなに。
「…」
あれかな。
一対一のやつを百人とかかな。
でももしかして一対百やったらどうしよう。
ゆっきーとかおやかた様とかやったら何やそっちっぽくない?
……
………
どうしよう!!
「…政宗様もやったんかなぁ…」
こじゅさんも。
やぁ、百人組み手。
ほら政宗様ってノったらとことんノってくれるやんか。
おやかた様とゆっきーがこう、乗せたら組み手百人ぐらいやってしまいそうやない?
「(こくん)」
「ねー。」
やりそうやんねー。
しみじみその額縁見ながら続く扉を覗き込む。
でもやっぱり誰もおる気配無いねん。
このまま進んでもええんやろうか。
一応おじゃましますーって上がったけどやぁ。
「(とんとん)」
「ぬ?」
「(ふるふる)」
「こーちゃん?」
どうしよーって扉の前をうろうろしたてたらこーちゃんが肩をとんとん、って。
見上げたらこーちゃんが「ここで待ってて」っていうん。
こーちゃんな、この奥に行って政宗様らを探してきてくれるんやって!
俺が行って何がおこるか分かれへんからって。
やさしい!
こーちゃんやさしい!
「でも俺大丈夫やで?」
ほら、ここおやかた様のお国やろう?
入った感じ道場っぽいし、何も無いと思うで?
それに何や隠し部屋みたいなんがあってドキドキするやん!
俺も行きたい!
俺も行く!
こーちゃんお願い!
両手をぎゅって組んでお願い。
連れてってー。
こーちゃん俺も連れてってー。
じぃーってこーちゃんを見たん。
ほんならこーちゃんの口が動いて!
おおお…
こーちゃんおっけーくれるかな。
どきどき!!
「…」
「うずうず、」
「……、」
「こーちゃん、」
どきどき!!
お願い、お願い、って祈っててんけどな。
「(だ め)」
「!!」
ぬーん!!
あかんて言われた!!
だめって言われた!!
「こ、こーちゃん。」
「(だめ)」
「ぬー!」
だめですって!
こーちゃんがだめですって!
うう…
いつもみたいに首をふるふる振られるだけやったら、ちょびっと後つけていこうかなって思ってたんやけど、はっきりこーちゃんの口が「だめ」って動いてしまったん。
俺が行くのは無理っぽいです…!
「こーちゃん。」
「(ふるふる)」
もう一回だめもとでお願いしてみたんやけどやっぱりあかんくて。
待ってて、って俺の頭を撫でたこーちゃんがしゅばっと扉の奥に消えていきました!
ぬうう。
むねんです!
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