「政宗さま―?」
あれー?
どこー?
「ぬぬ?」
ぽかぽかあったかな甲斐のお昼下がり。
忙しそうな政宗様をえいやってつかまえてお部屋にひっぱりこんで、日当たりのいいところを陣取って一緒にお昼寝してたのにやあ。
あれえ?
目が覚めればいつの間にか一人寂しくお部屋で寝てた真樹緒ですよ。
こんにちはー。
「政宗さまー!」
あのね、昨日宴会あったんやで!
おいしいご飯をいっぱい食べたん。
お腹いっぱい食べてちょう幸せやったんやけど、何でか俺昨日の事よう覚えてへんの。
朝起きたら頭くらくらでやぁ。
何てゆうか歩くのもつらい感じ?
何でやろう?って首傾げてたらこじゅさんが難しい顔で「ただの二日酔いだ」って俺の頭を小突くん。
二日酔いやって。
ぬー。
ゆっきーからお酒もらったとこまでは覚えてるんやけどなー。
それからの事はあんまり。
気がついたら政宗様と一緒にお布団に入ってたんやもん。
でもやぁ。
朝からゆっきーがお部屋にやってきて「一晩己自身と語り合いました」って。
「真樹緒殿のためならこの幸村、腹をも括る所存にございまする!」って。
「ご存分にせっ、せせせ接吻を…!!!」って叫んで政宗様とこじゅさんに必殺技っぽいのんかけられてたから、俺が何かやってしまったんは確かやと思うん。
でもせっぷんって何やろう。
さっちゃんに聞いても教えてくれへんかったん。
素敵なイケメンスマイルで「ご飯できてるよ」なんて言うからやぁ、甘い誘惑にまんまと負け美味しいご飯を頂いてしまいました!
「政宗さまー?」
ぬー。
ほんで気ぃついたら俺、今一人やねん。
やぁ、お昼になっても頭がちょびっとくらくらで、政宗様の素敵筋肉に抱きついてお昼寝してたたはずやのにいつの間にか政宗様の上着にくるまっててなー。
政宗様どこ?ってきょろきょろしてもお部屋がしぃーんってしてるだけなん。
「んー。」
お仕事に戻ってもうたんかなぁって思うけど、ここ政宗様のお部屋やし。
あ、忙しかったんはな、奥州へ帰る準備してたからなんよ。
同盟も無事すんだからそろそろ甲斐を出るか、って政宗様とこじゅさん言うてたん。
政宗様の怪我もリーゼントの兄やんらの怪我もばっちり治ったからね!
久しぶりの奥州!
楽しみ!
おシゲちゃんに会うのはちょびっとどきどきはらはらしてまうんやけども。
うん。
精一杯あやまってくるから大丈夫!
たぶん!
「まさむねさま…」
それ考えたらやっぱり無理やりお昼寝に引きずり込んだ俺が悪いねんなー。
どこやろー。
政宗様どこやろー。
ここはこじゅさんの力を借りたいところやけど、そのこじゅさんもいてへんし。
ぬー。
一人ぼっち。
おれ一人ぼっち。
もー。
政宗様どこよー。
政宗様の上着をもそもそ着てお部屋から出た。
ほんで廊下をきょろきょろ。
お庭におるんかなー?って下りてみたけど、全然全く人の気配がありません…!
素敵なお庭が広がっているだけです!
「ぬーん…」
孤独。
ちょう孤独。
ゆっきーもさっちゃんもいませんー。
ここはもう最終兵器を呼ぶしか無い感じ?
ほら、最終兵器。
またの名を俺のお嫁さん。
きゅーとなこーちゃんですよ!!
はい、せーの!
「こーちゃんやーい!」
「(しゅたっ)」
「おお早い!」
こーちゃんこーちゃんちょっと聞いてんか。
政宗様とこじゅさんどこにおるか知らんー?
政宗様はやぁ、一緒にお昼寝してたはずやねんけど気がついたらおらんかったんよー。
なぁ、なぁ、どこにおるか知らんー?
こーちゃんを見上げて首傾げたらこーちゃんがだっこしてくれた。
おお?
これは二人の居場所知ってるっぽい?
「こーちゃん、連れて行ってくれるん?」
「(こくん)」
「ありがと!」
やっぱり知ってた!!
さすがこーちゃん!
さすが俺のこーちゃん!
「ではではよろしくお願いしますー。」
こーちゃんの首にぎゅう。
いっつもごめんねー。
ありがとー。
ふるふる首ふるこーちゃんの髪の毛が頬っぺたにあたってくすぐったい。
でもそのままぎゅー。
その時、何かちょっと懐かしい感じがしてん。
「ぬ?」
けどやっぱり何にも覚えてへんし。
「…こーちゃん、俺昨日もだっこしてもらったっけ?」
聞いてみたんやけど。
やぁ、ほら何かこのふわふわなこーちゃんの髪の毛昨日も触ったような気がしたから。
「………(フルフルフルフル…!!)」
思いっきりこーちゃんが首振るのでやっぱり気のせいかもしれません。
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