「で?」
「う?」
「卿は何故ここにいるのかね?」
やぁやぁ、まつながさん。
おじゃましますー。
夜分にしつれいしますー。
ちょっと宴会のお席でお酒をいただいてほろ酔い気分の真樹緒君ですよ。
こんばんはー。
「おさけのんでたん。」
「…それはそれは…」
卿には似合わぬ香が随分とすると思えば。
まさか酒とは。
その場の醜状な有様が易々と推察される。
「ぬー?」
「いやはや。」
「?」
ぬー。
まつながさんが何かむずかしい事いうてるけどようわからんー。
何?って首かしげても笑われるだけやしやー。
もうー。
まつながさん相変わらずいけめんなんだからー。
「独眼竜はよくも酔った卿をこんなところに放っておけたものだ。」
「まさむね様?」
「一人なのだろう?」
「んー…」
あんな、あんな。
まさむね様なー、何やお庭に方に行ってもうてんー。
多分、さっちゃんとかゆっきーの声聞こえてたからやと思うん。
えーと。
「真樹緒どこー!?」とか、「むっ!向こうに政宗殿の気配が!」っていう声が聞こえてやあ?
それまでまさむね様とちゅーしてたんやけど、まさむね様が急に黙ってもうてー。
「ここで待ってろ」って言ったっきりまだ帰ってけえへんのん。
やからちょいとおじゃましますー。
「…独眼竜も難儀な事だ。」
「?なんぎ?」
何、なんぎ?
まつながさんのお部屋はな、俺とまさむね様がおった廊下からちょびっと行ったところにあるん。
いっつもそこでお茶してるからもう覚えててやあ。
やからまさむね様帰ってくるまでかまってーってやってきた訳ですよー。
「まつながさんー。」
かまってー。
あそんでー。
おれ、ひまになってもうたんー。
まさむね様はついていったらあかんってゆうしやぁ。
なーなー。
あそぼー。
「酔っ払いの相手程疲れるものは無いのだよ。」
「よってへんもん。」
ぶう。
そんなにお酒飲んでへんもん。
頬杖ついたまま俺を見てるまつながさんのおひざにのっしり。
もー。
ちゃんと見てやー。
俺、酔ってへんもん。
「どの辺りがかね。」
「にゅー。」
ほんならまつながさんが俺の髪の毛をぐりぐり、って。
おお…
まつながさん、耳の後ろはあかんよ。
何やぽーってなるやん。
頭やったら撫でてもらってもええんやけど。
耳の後ろをそのおっきな手でぐりぐりされるとなー。
力ぬけてしまうわー。
「くく…子猫のようだ。」
「ねこちがうもん。」
力がぬけるからまつながさんの首にまきついた。
まつながさんのいじわるめー。
俺、ねこちゃうしー。
もー。
そんな事いうちょい悪さんにはちゅーしてしまいますよ!
顔じゅうにちゅーしてしまいますよ!
真樹緒君のちゅーですよ!
逃げられませんよ!
「怖い怖い。」
「…きもちがこもってへん。」
ほんまに怖いとおもってるんー。
俺がお膝に乗っても笑ってるだけやしやー。
もう、ってまつながさんのおでこと俺のおでこをごつん。
じろーって目ぇ見たらやっぱり楽しそうなん。
ぬー。
これはもうちゅーしやな気ぃすまん感じよ、おれ。
まつながさんびっくりさせやな我慢ならん感じよ。
「まつながさん。」
「何かね。」
ちゅーしてまうで。
望むところだ。
「むぅ。」
頬杖ついてたまつながさんの頬っぺたむにょ、って掴んだ。
おお…
以外にやわらかい。
「いまからやめろ、って言うてもあかんねんで。」
言うたらまつながさんが肩すくめるん。
ぬー。
もー。
信じてへんねー。
おれはやるって言うたらやるねんから。
せやからな、首のばしてやぁ。
目の前にあるまつながさんのお鼻をかぷり。
すてきなちょい悪ぐあいな高いお鼻をかぷり。
噛んだってん。
まつながさんのお鼻。
「あ、ちょっとびっくりした。」
「…真樹緒、」
へへー。
まつながさんちょっとびっくりした。
目がいつもよりみひらかれてるもん。
ちゅーやとおもた?
あまいあまーい。
ほら、こう、ふぇいんと的な?
むふふ。
俺のかち!
「全く、卿は…」
「へへー。」
目ぇつむってちょびっと眉毛をしかめたまつながさんに笑う。
あきれてる感じなまつながさんが「やれやれ」って。
「でもちゅーはするんー。」
ほら、何かいますごいいい気持ちやから。
あったかくてふわふわしてるから。
ちゅーするん。
歯型がついてもうたお鼻にちゅう。
かんにんなー、ってちゅう。
なぁ、なぁ、まつながさん。
目ぇあけて。
ほんでちゅーしよ。
「真樹緒。」
「はい、ちゅー。」
まつながさんのほっぺたもちゅう。
ほら、おれもちゅうして?
右のほっぺた差し出したら、まつながさんが今日いっちばん長いため息をはいて。
「ぬ?」
「…卿程の大物はお目にかかった事が無い。」
やっぱり何かむずかしい事言うてたけど俺のほっぺたにちゅ、ってしてくれました!
おやかた様とおんなじでおひげがちょびっとこしょばかったん!
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おまけの松永さん編でございます。
おっさまは動じませんでした(笑)
でもこの小さい子供には一生敵わないのだろうな、と松永のおっさまは諦めました。
多分、キネマ主がねだったら何でも買ってくれますこのおっさま(笑)
これにてちゅー魔は終わろうと思っていたのですが、「こーちゃんは?」と拍手でメッセをいただいたので、もう少し続きます。
うっかり!
私とした事がうっかり!
なので次はこーちゃんと。
松永のおっさまから奪っていただきます。
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