クナイをばびゅんと飛ばした後、こーちゃんがぷぃってなってもうて屋根裏へ上がってしまったん。
まさかのこーちゃんのぷぃに衝撃を受けてる真樹緒ですー。
こんばんはー。
あ、でも頬っぺたについてたっぽいお米つぶ取って行ってくれてんけど。
ぬー。
こーちゃんのぷぃー。
ちょう可愛いかってんけどやぁ、こーちゃんが俺にぷぃした…
ちょびっと切ないこーちゃんのぷぃ。
「こーちゃんもお米食べたかったんかなぁ…」
「それは無いと思うけど。」
「あ、さっちゃん大丈夫?」
ピンポントで狙われとったけど。
まっすぐこーちゃんのクナイ飛んでいってたけど。
さっちゃん平気?
避けてたんは見たんやけどさっちゃんの着物の襟んとこほつれてもうてるからやぁ。
ちょっと掠ったんかな、って。
「明らかに首狙いだったよねー。」
あはは、ってさっちゃんが遠い目。
「人体の急所でござる!」
「おお…」
急所やってこーちゃん。
あかんよ。
急所はあかんよ。
ゆっきーもそんなキラキラした目で言うたらあかんよ。
「さっちゃん…」
「なんのなんの。」
これぐらい大丈夫だよ、ってさっちゃん笑うん。
政宗様の方ちらっと見てから「真樹緒はいい子だね」って笑うん。
んんー?
いい子?
どうしたん急にー。
「何でも無いよー。」
「ぬ?」
ほらほらもっと食べな。
ちっちゃいため息ついたさっちゃんが美味しそうなお魚の煮付けとご飯を出してくれました!
おお!!
いい匂い!!
ふあんと甘辛い感じのいい匂い!
小料理屋さんとかに置いてそうなお魚やで!
お魚の乗ってるお皿もこじゃれててすてき。
おいしそう!
いただきますー。
「真樹緒殿は本当に幸せそうに食べまするな!」
「んんー?」
お魚の骨をほじほじして、一口ぱくん。
口に広がるおいしさに顔が思わずふにゃんとなってたらゆっきーが言うたん。
ぬー?
やぁーって幸せやもん。
おいしいもん食べたらこう、幸せな気持ちにならん?
ゆっきーもそう思わん?
もぐもぐ口動かしながら首傾げてゆっきー見る。
ゆっきーも食べてみて、ってお魚差し出そうとしたんやけどゆっきーな、お酒飲んでたん!
「ゆっきー!」
「?何でござろう。」
「ゆっきー、お酒飲めるん?」
ゆっきーがお酒入ったおちょこをぐぐーって。
まるで水飲むみたいにぐぐって飲んでるん。
まさか水ちがうやんなぁ?
さっきさっちゃんがお酒だよって言うてたし!
「真樹緒殿は下戸にござるか?」
「旦那はこれでザルなんだよねー。」
「ぬー?」
げこ?
ざる?
何?
さっちゃんがゆっきーにお酒を注いで笑う。
何よー。
げことざるって何よー。
お魚もぐもぐ食べながらぶー。
ほんならさっちゃんが「真樹緒はお酒飲めないの」って。
「んん?」
下戸ってお酒飲めやん人の事らしいで。
ザルはお酒飲んでも中々酔えへん人の事やねんて。
ゆっきーはザルなんやあ。
すごい!!
お酒飲んでも酔えへんとかすごい!
「お酒かぁ。」
やぁ、飲めやんて言うよりは飲んだ事が無いっていうか。
ほら、俺のとこやったらお酒は二十歳になってからやから。
お兄はよく飲んでたみたいやけど。
ビールと何やカクテルみたいなんがいっぱい家にあったもん。
でも俺は飲んだことありません!
「ならば一口いかがか。」
「おお!」
まじで!
いいの!
おおおお…
これはちょっとお酒の味が気になってたお年頃な俺の気持ちがバレてもうたんやろうか。
にっこり笑ったゆっきーがおちょこをどうぞ、って!
「さっちゃん!」
ゆっきーが一口どうぞって言うてくれた!!
飲んでもええ?
ちょっと試してみたいんやけど!
見上げたらさっちゃんがきょとん、って。
やぁ、ほら。
さっちゃんにはちゃんと確認取っとかなあかんやんか。
もしかしたら真樹緒にはまだ早いでしょ、って言われてしまうかもしれへんし。
……
………
甲斐のお母さん!!
「誰がお母さんなの。」
「ぬ?」
ちなみに奥州のお母さんはおシゲちゃん。
怒ったら怖いん。
なぁー。
さっちゃん、お酒。
飲んでみたいんー。
いい?
飲んでいい?
ちょっとだけ、ってさっちゃんにお願いしたらさっちゃんが「はぁ、」ってため息吐きながら俺の頭を撫でてやぁ。
「気持ち悪くなったら無理しないで出すんだよ。」
「!!」
さっちゃんのお許し出ました!
飲んでええんやって!!
やった!!
「ゆっきー!!」
おちょこおちょこ!
ちょっと一口くださいなー。
俺のお酒デビューやで!
「どうぞ、こちらを!」
「おおきにー。」
ゆっきーがお猪口にお酒を入れてくれたん。
ゆるゆる揺れてるんは、見れば見るほどお水です。
くん、って匂いかいでもそんなお酒の匂いはせぇへんで。
透明なただのお水に見えますよ。
おちょこに口をつけてみたらさっちゃんとゆっきーがじぃ、ってこっち見てるん。
やぁ、大丈夫よー。
ゆっきーごくごく飲んでたもん。
やから俺もぐいーって。
「……ぬ、」
「真樹緒殿?」
「どうしたの?気持ち悪い?」
「ぬー…だいじょうぶ、っぽい。」
うん。
多分。
やってぐぐって飲んでも気持ち悪くないもん。
や、美味しいとかも無いねんけど。
ちょっと顔が熱くなっただけ。
大丈夫!!
「顔、ぽかぽかー。」
「あらら、可愛らしく染まっちゃって。」
「李のようでござるな!」
「ぬー。」
なんだか体もあったかくて気持ちいいので、もう一杯いただきますー。
あまっくってまるでジュースやから何杯でもいけそうですー。
ぬーん。
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