お前が、あいつの事しか見てなかったのは知ってるけど。

そう言おうとしてやめた。これは言う必要がない。あいつは関係ない。俺はお前の事が好きで、俺はあんな風に浮ついたりはしない。あいつの些細な一言に毎回丁寧に傷付いている苗字の姿を見ているのが、耐えられなくなった。

困ってる、のが分かるけど。後悔はしてない。これっぽっちもしてない。このまま、俺の事を好きになればいい。俺だったらお前の事を泣かせたりはしない。

「ごめん、いきなりすぎて、その…」
「いきなりなんかじゃねぇ。俺はずっと、お前の事だけ見てた」

もっと、いいタイミングで気持ちを伝えたかった。苗字はあいつが他の女と仲良く二人で帰る姿を教室の窓から見つめていた。苗字が弱っているところに、俺は漬け込むような形で告白した。

気付いてただろう、少なくともあいつは。俺の一番の相棒であるあいつは。こいつの気持ちにも、俺の気持ちにも。気付いていて、それでもずっと変わらなかった。だから、俺が変えてやる。もう邪魔なんかさせねぇ。


柔らかな殺意


苗字の目は濡れていて、それはあいつのせいだ。俺のせいなんかじゃない。俺は誓ったんだ。こいつを泣かせたりはしないと。こんな時、どうしたらいいのか分からない。何が正解なのか、誰か教えてくれよ。

20150912




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