私は知っていた。国見くんはあの及川さんと付き合っている人のことが好きで、私なんか全く眼中にないことを。でも、どうしようもなく好きだった。

私が国見くんの思いに気付いたのは、たまたま二人で帰っているのを見かけたのがきっかけだった。私はいつだってタイミングが悪くて、そんな姿、見たくなかったのに。

私の少し前を歩く二人。距離感は付かず離れず。でも、私には分かってしまう。いつも彼のことを見ているから、分かるのだ。彼は優しくない。好きでもない人の隣りに並んで歩いたりしない。私の隣りには、来てはくれない。

大体、なんであの人は国見くんと帰ってるの?彼氏に送ってもらえばいいのに。浮気だ。

なんて悪態をついていると、ふと二人の歩みが止まって私は慌てて物陰に隠れた。何してるんだろう。あの二人が、ではない。私の方だ。何コソコソ、こんなこと、好きでやってるんじゃない。

再び二人は歩き始めた。

何を話しているのか、全く私の耳には届かなくて、もどかしくて、なんで国見くんはあの人のことが好きなの?あの人は及川さんの彼女なのに。チャンスなんて、ないのに。

なんで、私のことを見てくれないの?私があと二年早く産まれてたら、私のことを少しは意識してくれたの?

酷い、本当に、なんだって私は、そんな彼のことがどうしようもなく好きなんだろうか。


闇を抱いて眠る

20150503



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