黒尾鉄朗

いつもそのピアスだな、と言われた。あれ、気付いた?よく見てるねと答えると、見ればすぐに分かるだろと呆れた感じで返された。

「黒尾はピアス、しないんだね」
「おーまぁな」
「タバコは吸うのに」
「それ関係あるか?」
「ない」
「だろ」

私はタバコは吸わない。漂う煙を目で追っているだけ。でも受動喫煙しまくりだし、肺は喫煙者に負けないくらい黒いんだろうな。

「いつ開けたんだよ。大学?」
「高校」
「へー意外」
「そう?ピアッサーでさ、友達に」
「オトコ?」
「そそ、オトコ」

すっごい痛いのかと思ってたんだけど、あれ音がオーバーなだけでそんなに痛いとか思わなかった。

「そいつさ、お前のこと好きだったんじゃね?」
「なんで?」
「なんとなく」

なんとなくでそんなこと言われてもな。あぁでもどうして黒尾と身体を重ねるのかと問われれば、なんとなくと答えてしまうかもしれない。

「…自分の好きな人にさ、『好きな人からもらったピアス付けるためにピアッサーで穴開けて』って言われたら、傷付く?」
「…なんか、エロいな、それ」
「…ドMだね。ん?いやドSなのか?」

そういえば、黒尾は事後に必ずタバコを吸う。ヤったあとは吸いたくなるもんなんだろうか。いろいろ吸い足りなくて、口元がさみしいのか?なんてアホなことを考えている私にお構いなしに、奴は再び私の唇に唇を重ねてきた。


偶然に縋って生きる
私を許してね


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