月島蛍 >> 06

雨は憂鬱だ。でもこの、窓に当たった水滴を見るのは好き。粒だったのが、他の粒とぶつかって、大きくなって。そして一気にスッと下へ落ちていく。

今は英語の授業中だが、この先生は生徒に当てて答えさせることはない。ただ教科書を読んで、ちょこちょこっと解説するだけ。だから授業中、無数に広がる雨粒たちの様子をじっと見ていた。

気付いたら授業が終わっていた。学級委員の号令に少し遅れながらも立ち上がり、なんとなく礼をして、再び腰を下ろす。

「…君さ、雨好きなの?」
「…え?」

後ろから話し掛けられて、びっくりした。私は彼とほとんど会話したことがない。プリントを回す…くらい…空き時間はヘッドホンで音楽を聴いてるイメージ。あ、あと「ツッキーツッキー」言ってる子と一緒にいる。…一方的に付きまとわれている感じがしないでもないけど。

「ずっと外、見てたから」
「…ずっと、見てたの?」
「え、見てたじゃん」
「いや、私のこと、ずっと見てたってことだよね…?」

やっと私の意図が伝わったのか、一瞬目を見開いて、それから…

「す、すぐ前の席なんだから、見たくなくても視界に入るんだよ」

ガタッと席を立って、教室を出て行ってしまった。そ、そうだ。私ったら、自意識過剰だよね…!恥ずかしい…!

「あれどこ行くのツッキー?ツッキー!」

あ、ここでも彼は目敏く月島くんの行方を追っている。あああ、近くの席の人と険悪になるのは避けたかったのに…もう後ろ、振り向けない。


暈した輪郭の曖昧さ

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