09 >> 日向翔陽

あ、この香り…この香りを嗅ぐと、秋だなぁと実感する。金木犀の香り。すんすん。トイレの臭いとかいう風情のない人もいるけど。そこは無視。

「ん?なになに?どしたの?」

てってーと日向が近付いて来た。人懐っこいよなぁ。誰にでもこんな風に分け隔てないなんて…尊敬するわ…!

「あ、金木犀ね、いい香りだなーって…」
「え、きんもくせいって何?星?」

思わずギョッとする。え、そんな知名度低い?金木犀て…。星の匂いなんか分からんぞ私は…

「えと、植物だよ?」
「へーこれその匂いなのかー!」

すんすんっと宙を嗅ぐように鼻を鳴らす。無邪気だなぁ。私もすんすんしたけど。

「俺はね、あの、あの匂いが好き!エアーサロンパス!」
「え、えあー…?」

今度はこっちが聞き返す番だ。まさかいきなりカタカナ来るとは。

「エアーサロンパスっ!知らね?あの身体にシューってするさ!」
「あ、分かるよ、分かるけど…」
「大会でさ、体育館行くじゃん?そしたらその匂いがしてさ!大会って感じがしてすげーテンション上がるんだよ!!」

なんだこの匂いトーク。でも、何故か彼とするとこんな変な内容でも楽しくなる。もっと、いろんな話をしたいと思ってしまうよ。


モザイクシープ

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