「真樹緒。」 「ぬ?」 「ここで少し待ってろ。」
こじゅさんが入っていったのは大きな家の隣にある小屋で。 そこからはカンカンカンとかゴォォォーとか色んな音が聞こえてきます。 ちょびっとまだ飴の事が気になってる真樹緒ですー。 こんにちは!
「ここが鍛冶屋さんかー。」
お隣は何やお店っぽいからもしかしたら刀屋さんかもなー。
こじゅさんの入っていった小屋の周りをうろうろ。 中は火とか使ってて危ないから入ったらあかんねんて。 やから小さい窓見つけてそこから覗いてみた。 ほんならこじゅさんと何やお髭はやしたおっちゃんがお話してるのが見える。 紙みたいなんを眺めながらな。
難しいお話やろうか? 窓から離れて、今度は目の前の道をじぃー。 小屋の壁にもたれながらじぃー。
「人おおいなー…」
ここから見える通りには人がいっぱい。 凄い町は賑やかで、俺が一人で歩いてたら絶対に人並みに飲み込まれてまうんやろうなー。 ぬー。 でもそれぐらいすごい人の数やねんで。
綺麗な着物を着たお姉さんらが笑いながら歩いていたり。 風車とか売っているお店が見えたり。 カゴみたいなん運んでる人おったり。 ちっちゃい子供らがかけっこしてたり。
政宗様のお国は平和やなー。 元気やなー。 そら政宗様が治めてるお国やもんなー。
「へへー…」
別に自分が何かした訳やないけどちょびっと得意になってみたりして。
やぁーって。 何かうれしいねんもん。 俺、政宗様が頑張ってるん知ってるんやもん。 一生懸命お仕事してるん知ってるねんもん。
「こじゅさんまだかなー。」
ちょっとご機嫌な感じでもう一回窓を覗いた。 ほんならまだお話中やってな、お話した後こじゅさんが腕組んで横におったおっちゃんが刀を取り出してカンカン、ってとんかちみたいなんで叩き出してん。
ぬー。 これはまだまだかかりそうー。 どうやって時間つぶそうかなーってきょろきょろしてたら道の端っこにお店出してる人が見えたん。
「ぬ?」
何かな、服がちょっと日本の人や無い感じ。 女の人か男の人か分からんねんけど頭から布被っててな、黒い布の上に売り物を並べてじぃっと座ってるん。 キラキラ光ってて売り物が見えへんねんけど。 何か不思議な感じやねんで。
「んー?」
気になるやん? 町の雰囲気と全然違う人が売ってる売り物気になるやん? やからそろっと近づいて行った訳です。
すいませんちょっとお邪魔しますー。 ここは何のお店ですかー。
「いらっしゃい。」 「こんにちはー。」
遠くからやったら口元しか見えやんかった人は近づいたら実はめさめさ美人な女の人でした! 大きめのアクセサリーをじゃらっとつけたその人は肌の色が小麦色で、笑うと白い歯が見えてとってもキュートです!
ぬー。 外国の人かなぁ? 美人さん!
「売り物見てもええ?」 「どうぞ、何でも見ていってさー。」
にこにこ笑ってるお店の人は綺麗な扇をぱたぱたしながら胡坐をかいて一つづつ売り物を説明してくれたん。 こっちの金色のんはブレスレットみたいに腕につけるねんて。 扇はこっちでは全然見たこと無い飾りがようさんついてるん。 ゴージャス!!
綺麗な石のついたネックレスみたいなんもあって、俺がおったとこでも珍しいものがいっぱい。 やっぱりお姉さんは外国の商人さんかなぁ?
「そう、船に乗ってきたの。」 「へー。」
すごいー。 船やって! 一人で外国から来たんやって! すごい!!
「あ、」 「うん?」
どうしたの、ってお姉さんが扇をあおぐのを止めた。
やぁ、やぁ、ちょっとな。 これ見たことあるなぁって思って。 ほんでこれ、まさかこっちで見れるとは思わんくって。 ちょびっとびっくりしたのですよ。
「これ…」 「ああ、可愛いでしょう?」
どうぞもっと近くで見て、ってお姉さんが渡してくれたのは指輪。 どこからどうみても指輪。 まさか戦国時代で指輪を見るとは思いませんでした!!
「ほー…」
銀色のリングにな、真っ青な石が一つついてるん。 凄い綺麗な青やねん。 濃いくって、じぃっと見てたら吸い込まれそう。 海の色でも空の色でも無い、真っ青なん。
ぬー。 この石何て言うたっけー? 見た事あるのに思い出せやんー。
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